オリ主がGS世界で色々変えようと奮闘するお話   作:ミニパノ

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ちょっとだけ通常話を挟むぐらいのつもりが、どうしてこうなった。



8:青春大爆発

「あぁ!すみません!なんだか知らないけど反省してます!」

 

えぇ……。

なんか歩いてたら横島がスケバンみたいな人に足蹴にされてるところに出くわしたんだけど……。

なんだこれ?

 

「あぁ、シュウ!助けてくれ!」

 

「あぁん!?何ガキに助け求めてんだテメェ!勝手に人の手握っておいて情けねぇこと言ってんじゃねぇぞ!」

 

なんだ、いつものナンパか。

どうしよう、助けるか迷う。

 

「違うんです!違うんっす!何か知り合いだと思ったらそうじゃなくて、俺もよく解ってなくて!」

 

「何わけわけんねぇこと言ってんだテメェ!」

 

あ、なんだろう、凄い頭の端っこに引っかかる何かが。

一応聞いてみるか。血まみれで地面に沈んでいる横島に声をかける。

 

「横島、誰と勘違いしたんだ?」

 

「おキヌちゃんだと思ったんだけど、違ったっつぅか、いやそもそも俺もなんでおキヌちゃんだと思ったのか俺自身も良くわかんねぇんだけどさ」

「何シレッと復活してんだテメーは!!」

「ギャー!」

 

あー、そうか、おキヌちゃんがこのヤンキーの身体に入ってたけど横島が目を見ただけで正体見抜いた話か。

コイツマジですげぇよな。こういうところが俺も好きになった理由の一つかもしれない。

仕方ない、助けるか。

 

「あー、悪いんだけどさ、ソイツの勘違いだったってことで一つ大目に見てくれないかな」

 

「はぁ?なんでテメェにそんなこと言われねぇといけないんだよ。ガキだからって殴られないとか思ってんじゃねぇぞ!あたいは今猛烈に機嫌が悪いんだ!」

 

そうか、確かこの娘の守護霊にさっきまで説教食らってたんだったか。

いや、だとしても八つ当たりじゃないか。

凄んでるつもりなんだろうけど、正直最近の悪霊だの猿神様だの色々考えると全く怖くないんだよなぁ。

 

「あのー、やめておいたほうが……」

 

「あぁ?」

 

「いや、そいつ滅茶苦茶強いんで」

 

「はぁ?何いってんだてめぇ」

 

横島が一応止めようとしてるけど全く聞いちゃいない。

というかあまり正気じゃない感じだな。

まぁ仕方ないか、いきなり強制幽体離脱させられて説教受けてたと思ったら横島に手を握られてたんだから混乱くらいするか。

 

「とりあえず落ち着きなって」

 

「んだこらぁ!」

 

いきなり胸ぐらを掴まれる。

なんだかんだ言って殴ってこないな。あんなに横島のことは殴ってたのに。

これはまた子供だと思われてるパターンか。

 

「あのなぁ、俺、そこにいるやつと同い年だからな?」

 

「あ?マジかよ。なら遠慮はいらねぇなぁ」

 

意外にも信じてもらえた。

ちょっとこいつの評価上がったわ。

とはいえただ殴られるのも嫌なので悪いと思いつつも、胸ぐらを掴んでいるこいつの手を掴んで引き剥がす。

 

「いってぇ!っは、離せ、いてててて!」

 

そのまま少し強めに手を握って下に向かって引っ張る。

スケバンの体勢を崩して強制的に座らせようとする。

 

「とりあえず落ち着けってば」

 

「こ、この馬鹿力が!はな、せって!」

 

俺が手を話した瞬間、ビンタしてくるヤンキー。

その勢いを利用してスケバンを身体ごと一回転させて正座させて頭をポンと叩く。

リアルでこんなこと出来る日が来るとは思わなかったわ。

護身術の範囲超えてる気がするけど。

 

「は?」

 

「落ち着いたか?」

 

「……は?」

 

何が起きたのか解ってない様子でキョトンとしたまま俺の顔を見てくるスケバン。

結構な勢いで回ってもらったからな、ちょっとした放心状態なんだろう。

まぁ良いや、とりあえず落ち着いたみたいだし、帰ろう。

 

「横島、帰るぞ」

 

「お、おう、お前ほんとに対人相手だと敵なしだな」

 

「ゴーストスイーパーで対人の依頼ってほぼ無いと思うんだけど」

 

ため息一つついてスケバンに向き直る。

 

「そうそう、あんた、暫くろくな目にあわないかも知れないけど、心入れ替えたら多分元に戻るから、この機会に更生してみたら?」

 

「……」

 

俺の言葉が届いているのかどうかは解らないけど、自分の手を握ったり開いたりしている。

とりあえず帰るか。

それにしても横島の周りって本当に色んなことが起きて退屈しないわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………どうしてこうなった。

次の日、普通に登校してたら昨日のヤンキーに襲撃された。

不意打ちではなかったが、正面からいきなり走ってきて殴りかかってきた時はビックリして転がしてしまった。

流石に大怪我させたりはしなかったが、多少擦りむいたとは思う。

で、その後が問題だった。

 

「や、やっぱり偶然とかじゃねぇ!なぁ!アニキって呼んでいいか!?」

 

……舎弟が出来ました。

 

 

 

 

 

 

「いや何でそうなるんだよ」

 

頭痛がする気がしてきたので、頭に手をやって、隣を歩くヤンキーに聞く。

名前は茜というらしい。名前って漫画に載ってたっけ?

 

「あたい、喧嘩じゃほとんど負けなしだったんだ。前に別の奴に一度だけ負けた時だってそんなに差があったわけじゃねぇ、途中で悪霊の邪魔が入ったがあのまま続けてたら私が勝ってたはずだ」

 

「悪霊の邪魔?」

 

「え?あぁ、河原で喧嘩してたんだけど、水の中から悪霊があたいの足を掴んでな」

 

「おいおい、大丈夫だったのか?」

 

「あぁ、それがたまたま喧嘩相手が霊能力持っててな、助けられちまったって話だ」

 

へぇ、霊能力者って結構いるもんだな。

茜の話を聞きながらジュースを飲む。

 

「一文字のやつ、次あったら決着つけてやる」

 

「ブー!!」

 

「うわっ、アニキ汚ぇな」

 

「ごほっ、ごほっ、早速アニキって呼ぶな!」

 

一文字ってあのおキヌちゃんが学校に入った時に同級生になる、あの一文字魔理だよな?

あれ?茜って一文字と知り合いなの?

あ、ちょっと待った、そういえば一文字が霊能力に目覚める的なエピソードがあった気がする。

マジか、その時のケンカ相手ってこいつ?!

ぜ、全然覚えてなかった。世間って狭いなぁ。

 

「いや、その話は良いんだよ。そうじゃなくてな、そんなあたいが全く手も足も出なかった」

 

「あぁ、こないだの話か」

 

「最初は偶然ってことも考えた。けどさっきは改めて真正面から挑んで、全然勝てるイメージが沸かなかった。そんなのは初めてだったんだ」

 

それでアニキってか?

素直すぎるでしょ、勘弁して。

 

「たまにで良いんだ。稽古つけてくれよ」

 

「やだよ、俺学校もあるしゴーストスイーパーのバイトもあるし」

 

「へぇ、アニキゴーストスイーパーやってんのか」

 

「アニキって言うな。いや、霊能力は皆無だし、美神さんのところでただの荷物持ちのバイトやってるだけなんだけどな」

 

「じゃあその合間で良いって」

 

「殺す気か」

 

そんな暇無いわ。

というかそろそろ学校着くんだけど。

あ、しまったこれで学校バレた。まさか今後付きまとわれたりしないよな。

 

「ほんとにたまにで良いんだ。それこそ見かけたら、くらいで構わないからたまに手合わせしてくれよ。どうしても一文字に勝ちてぇんだ」

 

「あー、それが目的かぁ。でもそいつ強いんだろ?」

 

「……まぁさっきは強がったけどよ、正直に言うと、多分続けてたって負けてたのはあたいだったとは思う」

 

「んー……、じゃあ多少生活態度を見直したら考えるよ」

 

「お、おう!」

 

はぁ、マジでどうしてこうなった。

まぁ、そんなに積極的に絡んでくるタイプじゃなさそうだから、たまにだったら良いか。

というか、普通校門で帰らない?なんで下駄箱まで来てるのコイツ。

 

「解ったらお前も学校いけよ。生活態度直すって話したばっかりでサボリはどうかとぉ?!」

 

「アニキ!?」

 

俺の意識はそこまでで途切れている。

その時は何が起きたかすら解っていなかった。

アニキって言うな……。

 

 

 

 

 

〈横島視点〉

 

こないだはひどい目にあった。

後で聞いたら、あのヤンキーの身体にはおキヌちゃんが入っていたらしい。たまにすげぇな俺。

 

「横島くん、さっき依頼主からキャンセルの電話があったから、アンタも学校行ってきて良いわよ」

 

「え?」

 

おいおい、折角シュウが入ってくれたお陰で出席日数がギリギリ何とかなっているから、チャンスとばかりにバイト入れたのに。

またカップ麺の生活が続くのかよ……。いや、よく考えたら最近はおキヌちゃんがご飯作りに来てくれたりしてたわ。

……ええ娘なんだよなぁ。

あれで身体があれば……。

いかんいかん、考えが逸れた。

 

「マジっすか。じゃあ、準備して学校行きますかね」

 

「そうしときなさい、アンタ、シュウくんよりギリギリなんだから。多少勉強はしておかないと後で困るわよ?」

 

「そ、そうっすね……」

 

電話が鳴る。

 

「はい、はい?はぁ。解りました。とりあえず向かいます」

 

美神さんが言葉短く電話をきってこちらに向き直る。

 

「横島くん、私も行くわ。なんか、シュウくんが机の妖怪に飲み込まれたって」

 

あいつ、なにやっとんじゃ……。

 

 

 

 

 

 

「というわけで、机に食われたところを見かけた生徒から話を聞いたところ、上坂君だった、というわけでして」

 

「ったく、何やってんだかあの子は。で、机は何処に行ったか解らない、と」

 

「はい、それと、一緒に別の学校の生徒も飲み込まれたと聞いています。どうやらスケバンの様な風貌の」

 

は?それってひょっとしてつい最近絡まれたあのスケバンか?

なんでシュウと一緒に……。まさか!

 

「あ、あの野郎、抜け駆けして他校の生徒をナンパしやがったな!?」

 

「アンタじゃないんだから黙ってなさい!」

 

「あぁ!こんなんばかしっ!」

 

くそぅ、シュウのせいで殴られてしまった。

つぅか、真面目な話、あいつ大丈夫なのか?

霊力無いのに妖怪に食われるとか。

 

「おぉ……!あの人が横島のバイト先の」

「横島で良いなら俺だって……!」

「おねーさま!!」

「犬と呼んで下さい!」

「おそばで使って下さい!!」

 

「うわっ!?何なのこいつら!?」

 

人だかりの中から男子生徒がこぞって美神さんの元へ群がっていく。

さ、させてたまるかぁ!!ふざけんな!この乳も尻も太ももも俺のもんじゃー!」

「誰がお前のもんだ誰が!!」

「あぁ!口に出してた……!」

 

「み、美神さん!横島さん!!」

 

いつも通り美神さんにシバかれていたら、おキヌちゃんが焦った様子で天井を見ているのが見えた。

つられてその視線の先を辿ると、天井に机が張り付いていた。

 

「げっ!」

「しまった!」

 

天井の机妖怪は舌を伸ばして俺と美神さんを捕まえる。

そして、俺達は為す術もなく、机の中に引きずり込まれてしまった。

 

 

 

 

 

暗闇を通って視界がひらけた先は見たこと無い教室だった。

そこに居たのは制服を着ているところを見ると学生であろう集団。ただ制服は統一されておらず各々別の制服を着ている。

現れた俺達を見て、いや正確には美神さんを見て、駆け寄ってくる。

 

「せ、先生!この学校にもついに先生が!!」

 

「これで授業が出来ますわ!この学園に幽閉されて以来、私達は生活を充実させようと努めてきました。

ですが、学生しか居なくてはホームルームくらいしか出来ず、私達は教師を待ち望んでいたのです!」

 

だいぶ興奮して捲し立てるように話す女の子。

えっと、話を纏めると、つまり、ここに居るのは全員あの机に取り込まれた連中で、学生じゃない美神さんを見て教師が来たって興奮してるわけか。

わけわからん。

 

「センコーなんてダルいっつぅの。あたいはサボらせてもらうぜ」

 

興奮する生徒達とは別の冷めた様な声がする。

その声に振り返るとそこにはあの時のスケバンが、いや何で居るんじゃアイツは、つか何馴染んでるんだよ。

 

「おいおい、愛子さんだって委員長として皆のことを考えてくれてるんだ。

お前も尖ってばかりいないで、授業を受けろ。更生するんだ!それが青春ってやつだろ!!

何なら俺と河原で殴り合って青春を取り戻すか!?

いや、お前ならそんなことをする必要も無く解ってくれるはずだ!青春!!」

「あ、アニキ。。。」

「「ってお前は何でそんなところで馴染んどんじゃー!!」」

 

スケバン相手に説得にかかった生徒を見ると、まさかのシュウだった。

いや眼キラキラさせて青春!とか叫んでるんだけど、キャラ違くない?語尾が青春、みたいになってるけどおかしくねぇか?

あと、いつの間にスケバンのアニキになったのお前……。

ツッコミどころは絞ってくれねぇかな。

え?なんですか美神さん、取り憑かれてる?あぁ、影響受けやすいんっすねアイツ。

 

「って誰が先生よ!」

「え?先生じゃない?」

 

美神さんが我に返ってツッコミを入れたところ、今まで青春だの何だの叫んでいたシュウの眼が怪しく光る。

 

「美神さんが先生じゃないの?でも教室に居る?生徒でもない?じゃあ……」

「しゅ、シュウくん?大丈夫かしら……?」

 

シュウの異様な様子に、先程まで熱弁していた委員長らしい愛子と呼ばれていた女の子が狼狽え始める。

なんだ、ここの連中としても想定外なのか?ひょっとしてこの状態のシュウはここでも扱いにくいって共通認識になっとんのか?

 

「俺達の青春を邪魔しに来たってことですよね?」

「シュウ君?あんた、取り憑かれて……!」

 

美神さんが話し切る前にシュウが飛びかかってきた。

驚いて固まっていた美神さんの手を引く。そのすぐ横をシュウの拳が通り過ぎる。

そのままの勢いで黒板に突き刺さるシュウの拳。

美神さんは俺の腕の中に収まる。

 

「やーらかいなー!(あぶねぇだろシュウ!)」

「建前とセリフが逆になってるじゃないの!!ふざけてる場合じゃないわよ!」

 

「横島、お前も青春の邪魔をするのか!大丈夫だ、俺の拳を受ければ、二人も青春の素晴らしさが解るはずだ!」

 

「「黒板に突き刺さる拳を受けたら人間にも突き刺さるだろーが!!」」

 

「青春パンチ!!」

 

「のわぁ!?」

 

全く話が通じないシュウの拳を再度避ける。なんだ青春パンチって!

まだまだ無意識に手加減をしてくれている様だが、この速さでも洒落にならんスピードだ。

正直最近気まぐれにシュウと組手とかしてなかったら一発目で美神さん共々見せられない状態になっていただろうな。

近くの机が破壊される。

 

「や、やめなさいシュウ君!教室で暴れては駄目よ!?」

 

「愛子さん、今はそれどころじゃないんです!この二人には青春の素晴らしさを解ってもらう必要があるんです!」

 

言いながらも教室を破壊する勢いで暴れまくるシュウ。

周りに居た集団も逃げ回るだけで、最初の異様な雰囲気じゃなくなってる気がする。

というかアイツらは妖怪の洗脳解けてるんじゃないか?涙目で逃げ回ってるけど。

 

「青春キック!!」

 

「あぶなっ!」

 

美神さんを狙ったシュウのキックは教室のドアを突き破る。

しめた、と廊下に出る美神さんとそれについていく愛子と俺。

後ろからはシュウが追いかけてきている。青春、青春、と呟きながら走ってくる。

バーサーカーか何かかアイツは。いや、もはやターミネーターだわ。

 

三人で肩を並べて走るが、その後ろを凄まじいスピードで追いかけてくるシュウ。心なしか目が光っている気がする。

所々で攻撃を仕掛けてくるが、全てギリギリ避ける。

その度に校舎が破壊されていく。

 

「ちょ、ちょ、や、やめ、、やめて、私の学校が……!この子取り込むんじゃなかった……!」

 

「!?やっぱりアンタだったのね!この空間を作ってる机妖怪は!」

 

狼狽える愛子を見て美神さんがすぐに問い詰める。というか間抜け過ぎるだろ自白するとか。

なんか暴れるシュウを見ながら涙目だったから普通に同情してたけどコイツだったのか。

 

「ちょ、それどころじゃないです!あなたのとこの従業員でしょ!何とかして頂戴!これじゃこの空間ごと崩壊するわよ!」

 

げ、どんだけだよシュウ!

 

「何言ってるのよ、アンタが洗脳解けば良いだけの話じゃないの!」

 

文句を言い合いながらも涙目で走って逃げる愛子に、肩を並べて走って逃げる美神さんが逆に文句を言う。

あ、そっか、と急に振り返る愛子。よく見るとシュウの後ろから「アニキー!」と叫びながらスケバンも追いかけてきていた。

 

「はっ、俺は一体何を……!」

「あたいは一体……!?」

 

愛子が洗脳を解いたのだろう、二人共何かに気付いたようにキョロキョロし始めた。

 

「シュウ!!アンタは後で絶対しばく!」

「え?あ……」

 

美神さんに怒鳴られて今までのことを思い出したのか顔を青くするシュウ。

すまん、南無三としか言えん。

 

「で、アンタがこの世界を作っている妖怪ね」

 

「し、しまった!でも!私の正体が解ったところでどうなるものでもありませんわ。この学校を運営しているのは私ですもの」

 

「涙目で言っても説得力無いぞ」

 

「う、うるさい!私はただ楽しい学校をつくろうとしただけなのに、邪魔するなんて許せない!!」

「ここは私の学校よ!!」

 

美神さんに正体を見破られて学校に溶け込む愛子。

次の瞬間、妖怪が憑依したのか、床を突き破って口が付いた化け物バスケットゴールが現れる。

 

「うわぁ!」

 

「この馬鹿!何が学校よ!生徒を洗脳して、自分勝手にやってただけでしょ!しょせんあんたは腐ったミカンなのよ!」

 

美神さんが神通棍で化け物バスケットゴールをしばき倒す。

 

「み、美神さん、これ以上あまり刺激しないほうが……」

 

ただでさえ追い詰めた感あるのに、……主にシュウが。

 

「先生!私、私……本当は叱ってほしかったんです!」

 

「こいつはこういうノリが好きだと思ったのよ」

 

「だぁぁぁ?!」

 

急に女子生徒の格好に戻って泣き始める愛子。

なんでやねん!

 

「青春を味わってみたかっただけなんです!学校に憧れてたんです!それが、こんなことになるなんて……!

ごめんなさいー!しょせん妖怪がそんなもの味わえるわけないのに……!!」

 

「愛子くん、君は考え違いをしているよ。君が今、味わっているもの、それが青春なのさ」

 

「高松君……!!」

 

おいお前どっから出てきた。

生徒の一人がどこから出てきたのか愛子の肩に手を置いてダバダバ涙を流している。

それに対して愛子も感動して言葉を失っている。

 

「操られていたとはいえ、君との学園生活は楽しかったよ」

 

「みんな……!?私を許してくれるの……!?」

 

うおっ!?マジでどっから出てきたこの集団。

振り返ると教室に居たはずの生徒達全員が全員涙を流して愛子を見ていた。

 

「みんなクラスメートじゃないか!!」

 

「ごめんなさい……!ごめんなさい……!!私!私……!!」

 

「先生、これでいいんですよね!?僕たち間違ってませんよね!?」

 

「はいはいそーよ。人とゆう字は人と人がささえあってんのよ」

 

美神さんも心底疲れた表情で適当に相槌を打っている。完全に棒読みだ。

 

「えーと……」

 

そこに気まずそうに近付くシュウ。

ビクッと愛子の肩が震える。おいちょっとしたトラウマになってるんじゃねぇか。

 

「ごめんな、俺、人より霊力が低くて、洗脳とか影響とか受けやすくて。怖がらせちゃって申し訳ない」

 

「……くすっ」

 

シュウの謝罪に涙を拭きながら笑う愛子。

 

「正直あなたは一番怖かったわ」

 

「うっ、申し訳ない」

 

愛子の言葉に縮こまるシュウ。

まぁあそこまで暴れれば気まずいわな。

 

「でも……」

「あなたの青春パワーは素敵だったわ!!」

 

ピシッと固まるシュウ。

 

「青春パンチ!青春キック!どれも青春を感じたわ!!」

 

「あ、あの、もうその辺りの話は……!」

 

あぁ、あれ、多分シュウのやつ記憶全部あるな。

うわぁ……あれ覚えてるとか地獄だろうな。

 

「そうだぞ!君も正気ではなかったんだから仕方ないさ!それにカッコよかったぞ青春チョップ!」

「え、と、青春ドロップキックとか、い、威力はすごかったぜアニキ」

 

シュウが落ち込んでいると勘違いしたんだろう、他の生徒達も便乗し始めた。

スケバンはちょっと顔がひきつってるところを見ると頑張ってシュウに気を使ってるっぽいけど、どう考えても追い打ちだよなあれ。

 

その後、現実世界に戻るまでずっと生徒に囲まれて青春の必殺技について褒められるシュウが顔を上げることは無かった。

 

ちなみに、愛子はその後学校側に気に入られて、生徒扱いを受けることになったらしいが。

おかしくねぇか?この学校も。

可愛い女子が増えるし、俺としては別に良いけど。

ただ机なんだよなぁこいつ。うーむ、難しい問題だな。

 

 

 




スケバンの茜ですが、一応原作キャラです。(多分コミックスには名前が入ってなかったと思いますが)
独自設定もありますが、今後出していくかは考え中。

ちょっと書き溜め作らないと、、、
次話の投稿は時間置くかもです。

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