傲慢ヒーロー 〜太陽の個性を持つ少年〜   作:ANES

1 / 7
リメイク版です。これからよろしくお願いします。


入学編
その男、傲慢につき


事の始まりは中国軽慶市

"発光する赤児"が生まれたというニュースだった!

 

以降各地で「超常」は発見され

原因も判然としないまま時は流れる

 

いつしか「超常」は「日常」になった「架空」は「現実」に!!

世界総人口の約八割が何らかの"特異体質"である

超人社会となった現在!

 

混乱渦巻く世の中で!

かつて誰もが空想し憧れた

一つの職業が脚光を浴びていた‼︎

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「太陽!起きなさい!遅刻するわよ!」

小さなマンションの一室に、甲高い母さんの声が響き渡る。

 

「ふぁ、ふぁーい。」

枕に顔を埋めながら、僕は今出せる精一杯の声で返事した。

 

「何寝ぼけてんの!はい、ちゃっちゃと準備する!今日が本番でしょ!」

 

少し焦りの色が混じった母さんの声が、僕の意識を現実世界へ呼び戻す。

 

「え!?本番?何の?」

 

「何言ってんの!今日でしょ!雄英の入学試験!」

 

「......そうだったー!!母さん!急いでご飯の準備お願い!」

 

「もう....とっくにできてるわよ。まったく、何時まで寝てたと思ってるのよ...」

 

僕は勢い良く飛び起きると、そのまま部屋を出て勢い階段をかけ下りる。

しかし、勢い余って1段目を踏み外した事に気付いた時には、もう遅かった。

 

ガッ!ドッ!ドドドドド!ガンッ!

「痛ててて....当日に転ぶなんてついてないなぁ。」

 

それを見た母は頭を抱える。

「この子ったら....本当にこんなんで大丈夫なのかしら...」

 

母さんの大きなため息が後ろから聞こえた気がした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕の名前は早乙女(さおとめ)太陽(たいよう)

見ての通りドジで間抜けな性格だ。おまけに臆病で、気も弱い。身長は大体170前後、大きくもなく小さくもない。

 

顔は、美人の母さんのお陰で「早乙女君って、顔のパーツは整ってるよね。」と中学の頃、隣の席になった女子に何度か言われた事を覚えているけど、自分ではそんなこと全然思ってなくて、むしろ特徴がないのが逆に悩みでもある。

 

強いて言えば髪の色素が生まれつき薄くて、金髪よりの茶髪に見える事くらいで....まあ、そのせいで不良に見られて変な人たちに絡まれる事もあったりして...

 

今は母さんと2人で暮らしてる。父さんは僕が幼い頃に殉職した。立派なヒーローだった。

 

あまりにも急な出来事で、当時の自分はすぐ理解する事はできなくて、何度も母さんに「父さんはいつ帰ってくるの?」なんて聞いた事を覚えている。でも僕は、ボロボロになりながらみんなの為に戦う父さんの姿が本当にかっこよく見えた。そんな父さんが大好きだった。

 

相手の(ヴィラン)の素性は未だに掴めておらず、まだどこかで何かしてるのかと思うと、悔しくてたまらなかった。僕は父さんの仇を討つためにプロヒーローを志し始めた。

 

僕がその目標を叶えるために、まず真っ先に思い浮かべたのがヒーロー科最難関と呼ばれる"雄英高校"だ。オールマイトをはじめ、トップヒーローはみんな雄英出身だ。

 

僕が最初に雄英を目指す、なんて言った時は母さん含め周りのみんなに止められたけど僕の気持ちが伝わって、今ではみんなが応援してくれている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

雄英についた太陽は目の前にある校舎を見上げた。

 

「う、うわー.....でかい......。さすが雄英だ。」

 

いざ、校舎の前に立つとブルッと体が震えた。それは緊張か、はたまた武者震いか。

 

【雄英高等学校 入学試験会場】

 

そう書かれた看板が立てかけられた校門をくぐる。一歩一歩を噛み締しめるように歩いた。

 

(僕だって....この日の為に頑張ってきたんだ....!)

 

血の滲むようなトレーニングや夜遅くまで勉強する自分の姿を思い出す。あれだけやったんだ...!と自分に言い聞かせ、太陽は校舎へと進んだ。

 

 

指定された席に座る事数十分。ボイスヒーロー"プレゼントマイク"が実技試験の説明を始めた。

 

プレゼントマイクの説明によると、試験内容は10分間の模擬市街地演習で演習場にはポイントの異なる三種のヴィランが多数配置されていて、ポイントを稼ぐらしい。もう一種類いるらしいけどそれは0pなのであまり考えないようにしよう。

 

「俺からは以上だ!最後にリスナーへ、我が校校訓をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!」

 

「"Plus Ultra"!それでは皆いい受難を!」

 

体が痺れた。僕の受験は今始まった!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ひ、広い.....!」

最初に出た言葉はそれだった。

 

連れていかれた先には、本当の街とさほど変わらない模擬市街地が広がっていた。

 

そして周りには太陽と同じ受験者と見られる少年少女数十人が、今か今かとスタートの合図を待っている。

 

太陽は大きく深く深呼吸した。そして両手で頬を叩いた。

 

バチン!!

 

「よし、行くぞ!」

 

その時だった。

 

ドンッ!

 

誰かの体が太陽にぶつかった。驚いた衝撃で太陽は床に尻をつく。

 

「い、いて!.....じゃなくてごめんなさ...」

 

太陽が言葉が詰まるのも無理はない。

顔を上げると、太陽にぶつかったであろうツンツン髪の少年が特徴的である赤目の三白眼で太陽の事を睨んでいたからだ。そして、その少年は太陽に向かって、怒鳴り散らす。

 

「あぁ?なんだてめぇ!よそ見してんじゃねぇよカス!そんな体幹で雄英受かると思ってんのか!思い出作りなら家に帰れやクソが!」

 

「す、すみません....」

 

あまりの迫力に、完全に萎縮した太陽を他所にその少年はスタスタと歩いて行った。

その光景を見た周りの受験者からケラケラと笑い声が聞こえてくる。

 

「ハイ!スタートー!!」

 

え?今なんて.....?スタート....?

 

「どうしたぁ!実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!走れ走れ!賽は投げられてんぞぉ!」

 

その瞬間周りの受験者が一斉に市街地に走り出した。体を起こして、太陽は少し遅れて急いで後を追いかける。

 

大丈夫だ...大丈夫だ....,この日のためにやってきた事を思い出せ!いざとなったら.....個性を!いや....あれはダメだ!自分の力だけで!

 

そう自分に言い聞かせた刹那、横から轟音が鳴り響いた。

 

「ガッシャーン!!ビビ!標的補足!」

 

「....来た!これが仮想敵!想像以上に速い!」

 

仮想敵が太陽を襲う。

太陽は建物の影を上手く利用し、なんとか仮想敵の後ろに回り込んだ。

 

そして右腕を大きく振りかぶると渾身の力で拳を振るった。が、

 

ガンッ!という音と共に、鈍い痛みが体に伝わる。

 

「ヒィィィ!痛い!とても素手じゃ殴れない!」

 

鉄でできているのか、太陽の拳では傷一つつけられなかった。

 

「こんなの、一体どうすれば...」

 

すると横からものすごい勢いで何かが近づいてくる。

 

「どけ!クソナードが!」

 

BOOOOM!!!

 

爆音と砂煙と共に、先ほどの少年が手のひらからの爆破らしき個性で敵を破壊した。

 

あまりの迫力に息を呑む。

 

「これが....プロヒーローの卵の実力.....やっぱりどうせ僕じゃ.....」

 

「アデュー!あと4分20秒ー!」

 

嘘だろ...!まだ....0pなのに....!

 

「今日のために...頑張ってきたんだ...!ここまで来て...!こんな所で、終わりたくない....!」

 

太陽は焦りながらも、中心部へと駆け出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モニターで様子を見ている教師達

 

「この入試は敵の総数も配置も伝えていない。」

「限られた時間と広大な敷地...そこからあぶり出されるのさ」

 

「状況をいち早く把握するための情報力、遅れて登場じゃ話にならない機動力、どんな状況でも冷静でいられる判断力、そして純然たる戦闘力...」

 

「市井の平和を守るための基礎能力がP数という形でね。」

 

「今年はなかなか豊作じゃないか?」

 

「いやーまだわからんよ」

 

「真価が問われるのは...これからさ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まだ残っている敵を必死に探しながら、太陽はある異変に気付く。

 

何やら周りが騒がしい。辺りを見渡すと、何人かの受験者がこちらに向かって走ってくる。まるで、何かから逃げるかのように。

 

「こっちにはもう敵はいないのに....どうして...?」

 

遠くに視線を移すと、その瞬間太陽は言葉を失った。

 

高さおよそ20mはあるであろう巨大な機械がこちらへ向かってくる。

 

ガシャャャャャン!!ゴゴゴゴゴゴッ!!

 

「おい...,なんだよあれ....あれが、0pの、もう一種類の敵....?あんなの構ってたら本当に1pも...」

 

そう言って背を向けようとした時だった。巨大敵が進む足元に人影が見えたのは。そこには、黄色の髪の少年が両親指を立てて「ウェーイ」と言いながらウロウロしている。

 

騒音と、敵の迫力で自分以外は誰もその少年に気付いてはいなかった。

 

「な、なんで逃げないんだ!ほっとくか!いや、だめだ!あのままじゃ危ない!でもどうすれば..個性を...!」

 

太陽は考えた。限られた時間で最大限に頭を回転させて。

ふと過去を思い出した。周りに倒れている友達の姿。割れた窓。粉々の机。だが、ここは教室ではない。ヒーローになるための試験会場だ。

 

太陽は意を決した。そして胸に手を当て目を閉じる。

そして小さく呟く。

 

「母さん....ごめん...」

 

 

 

その瞬間、太陽の体からものすごい熱と光が放たれる。

 

その数秒後、光が収まるとそこには、

先程の太陽とは別人の言っても良いだろう。

すべてを見下したような目つきと、以前の太陽からは考えられないほどの急激に発達した筋肉を持ち、異質と言えるほどのオーラを放った男がその場に立っていた。そして体からはありえないほどの熱を発していた。

 

周りの受験者が声を掛ける。

「お、おいお前大丈夫か?急に光って....それで...」

 

その問いに、太陽と思しき人物は指の節をパキパキと鳴らしながら、ゆっくりと答える。

 

 

「問題ない。何故ならこれが、偉大なる我が個性」

 

 

 

「"太陽(サンシャイン)"」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。