それから、クラスでは千秋はいないものとして扱われていた。
最初こそ一夏と千冬は注意をしていたが、アインザームカイトへの恐れ、千秋に体する不信感からか次第にその扱いを擁護するようになった。
授業に出席しようがしまいがお構い無し。しまいには、部屋にいなくても気にしなくなっていた。
千冬(違う!あれは千秋じゃない。束が仕組んだ事なんだ。わたしが千秋を突き放すと思っているんだ。)
すると、いつぶりか千秋が部屋に帰ってきた。
千秋が入ってくると、千冬はビックリとして千秋と距離をとった。
その行動を見て、千秋はいつもと違うと理解しふしぎそうに近づいていった。
そして千秋が千冬に対して手を伸ばすと、千冬はそれを拒み反射的に千秋を殴ってしまった。
千冬「お前が・・・、お前が悪いんだ!!お前がISなんて使わなければ、一夏が怪我をする事は無かったんだ!!」
千秋に馬乗りになり、千秋に大量の拳を浴びせた。
そして千秋の首を絞めた。
今までは教育や自分の欲望をぶつけるためにしていた暴力だったが、今回のは否定。
自分の感情の否定。アインザームカイトへの否定。
そして千秋への否定が籠ったその両の手に遠慮は存在しなく、本気で千秋の首を絞めていた。
あまりの苦しさに、千秋はクチから泡を吹き始めていた。
それを見た千冬は我に返り、直ぐに千秋から退いた。
千冬の両手に残る明確な殺意、受け入れがたいその感情を否定したかったが、今の千冬には否定出来なかった。
そして千秋の状態が回復するや否や、また殴り首を絞めた。
その繰り返しをしている内に、千秋の中で何かが生まれ始めていた。
今まで沢山の理不尽な暴力、強姦を受けてきた千秋だったが、その何かを感じる事は無かった。
それ故に、その何かの正体。そしてそれが生まれる理由が分からなかったのだ。
そして千秋は涙を流していた。
それを見た千冬は、より力を入れていた。
あの日以来、一夏は骨折が治るにつれてISを展開するのが怖くなっていた。
誘拐された時とは違い、戦う術を身につけていたにも関わらず、痛みを受けたこと。
圧倒的な暴力ともいえる攻撃を受けた事がトラウマになりかけていたからだ。
だが、もうすぐクラス代表戦が控えている現状で泣き言は言えないと本腰を入れた。
2組に鳳 鈴音が転校してきたこともあり、負けるわけにもいかなかったからである。
そんな様子を影で見ていた千冬は、歯痒い思いをしていた。
だが、教師である以上一人の生徒に肩入れするわけにもいかず、ただ見まもる事しか出来なかった。
そして運命のクラス代表戦を迎えてしまった。
そして一夏と鈴音の対決が始まった。
鈴音「一夏!私との約束忘れて無いでしょうね!?」
一夏「あぁ、良くわかんないけど、負けるわけにはいかないぜ!」
一夏は何とか時分の間合いに近づこうとするが、突然体に衝撃が走った。
鈴音の表情から、鈴音の攻撃と理解したが何をしてきたのかはわからなかった。
鈴音「ふん。あんなに威勢の良い事いって、まさかそれだけって訳無いでしょうね?」
一夏「当たり前だろ?まだ勝負は始まったばかりだからな。」
見えない攻撃に少しでも慣れようと一夏はなるべく攻撃を受ける事にした。
そうする事で、攻撃のタイミングや感覚を肌で覚えて行ったのだ。
次第に慣れてきたのか、鈴音に近づくことが出来てきていよいよ反撃に出ようとした瞬間、会場に大きな破壊音と共に、一機のISが天井を破壊して降りてきた。
明らかに非常事態だと理解した会場は、大パニックを起こしていた。
そしてそのISは、一夏達に向かってビームを撃ってきた。
ビームを避けた二人は眼を合わせた。
鈴音「ねぇ一夏。明らかにあれ、私達に攻撃したわね。」
外部と連絡を取ろうとしたが、妨害されているのか一切の連絡がとれなかった。
一夏「ヤバイな。千冬姉と全く連絡が取れねぇ。」
鈴音「って事は、最悪あれは私達で何とかするしか無いってことなのね。」
一夏「あぁ。じゃあ鈴音、俺達で倒すぞ!!」
そう言って二人は、そのISに向かって行った。
そんな様子を会場内で、周りに見つからない場所で静かに見ている影があった。
アイン「あれが束がいってたおもちゃか・・・。無人機とは面白そうだな。まさかこのまま壊されるなんて事・・・。まぁ、そんときは乱入するだけだしな。」
アインザームカイトは、まるで遊びの時間を待つ子供の様にウキウキしながら、一夏達を見ていた。