ただそこにある絶望   作:なめらかプリン丸

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銀の福音との戦闘は、本筋と関係ないんで飛ばします。


第22話

束はこの時をずっと待っていた。

普段は面倒に感じる徒歩も、今は幸せに感じていた。

 

目の前の道が全て花畑に見えるほど浮かれ、スキップをしながらとある場所へと向かっていた。

 

そして目的地につくと深く深呼吸をした。

 

束「迎えに来たよあーくん。ここまで待たせてごめんね。」

 

そう言って千冬の部屋を開けた。

 

中には柱に首を繋がれ、疲弊している千秋しかいなかった。

そして千秋は、束を見つめ首を傾げた。

 

なぜ束が来たのか。それが理解出来なかったのだ。

 

束「もう!相変わらずちーちゃんはひどいね。これじゃペットの犬扱いだよ。」

 

束は千秋に近づいて首輪を外した。

そして千秋を強く抱きしめ、頭を撫でた。

 

束「今まで辛かったよね?苦しかったよね?でも、もう安心して。束さんがあーくんを救いに来たんだよ。」

 

その束の暖かさに千秋の目からは大粒の涙が溢れていた。

自分では理由は分からなかった。

 

だが、その涙を止めることは出来ずに、この感覚を永遠に味わいたいとすら思ってしまっていた。

 

すると部屋に向かって足音が聞こえてきた。

 

千冬「千秋大丈夫か!!」

 

急いでいたのか、息が上がっている千冬が扉を壊す勢いで入っていた。

そして目の前の状況を見たとたんに、表情が険しくなっていた。

 

千冬「束、今すぐ私の千秋から離れろ!!」

 

束「何言ってるの?今まで酷いことしといて私の?ふっ、相変わらず冗談が苦手だねちーちゃんは。」

 

煽るように笑うと、千冬の怒りはより沸いていた。

 

束「それにあーくんが、私を選ぶんだよ?しかも、自分の意思でね。」

 

千冬「ふざけたことをぬかすな!さぁ、千秋。さっさとそいつから離れろ。」

 

千冬はそう言って手を伸ばした。

 

だが、今の千秋には千冬の事を今までと別の想いで見ていた。

自覚がないが、それは恐怖だった。

 

そして束の体に隠れる様に、千冬から距離をとってしまった。

 

その瞬間、千冬の表情は絶望に染まっていた。

 

束「だから言ったでしょ?あーくんが束さんを選ぶって。まぁ、これまであーくんの為に・・・違うか。束さんの為に行動してくれて、本当に感謝してるよ。やっぱり、持つべきは親友だね。」

 

そう言って束は、千秋を抱き上げた。

 

千冬「ち、違う!騙されるな!そいつは危険なんだ!お前をまもってやれるのは、私だけなんだ!」

 

束「はいはい。良い歳した大人が見苦しいよ?じゃああーくん、行こっか。」

 

束は千秋を抱えたまま、窓の外へと出ていった。

 

千冬は、膝から崩れ落ちその場に倒れこんだ。

 

千冬「・・・ざけるな。ふざけるな!!私の千秋が、私の千秋が!!許さん。絶対に許さん!!」

 

そして千冬は涙を流し始めた。

 

千冬「返せ、私の千秋を返してくれ・・・。私の、私の千秋を!!」

 

怒りと哀しみからか、握りしめた拳からは、出血していた。

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