銃声が響き、辺りが静寂に包まれた。
だが、射たれたラウラに出血は無く外傷も無かった。
何が起きたのか誰もが解らなかったが、次の瞬間にラウラは頭を抱えて苦しみ出した。
異常な苦しみ方に一夏はラウラに駆け寄り声をかけたが、ラウラはそれどころでは無いほど苦しみ出していた。
一夏「おい!ラウラに何をしたんだ!!」
アイン「何って、さっきも言っただろ?全てを味わえってよ。
さっきの銃弾は記憶だ。千秋のこれまでの記憶、そして今までの痛み苦しみを、教えてやったんだよ。」
千冬「なぜ!なぜ、こんな事をする!」
怒りの表情を見て、千冬はアインに詰め寄った。
そしてアインの右頬を、殴り付けた。
アイン「なぜだと?フッ、フハハハ!!理由は、お前達にはわからないだろうな!だが、冥土の土産だ。せっかくだから、教えてやるよ。」
アイン「束に創られた俺が千秋の専用機になって、幾日がたった。束の本来の目的は、俺に暴れさせ千冬を怒らせ、孤立した所を保護する。それで千秋を独り占めする算段だった。だが、誤算があったのさ。」
アイン「それは俺に最高のAIを搭載した事さ。千秋と過ごす内に千秋の過去を知り、俺は全てに殺意が産まれた。原因であるお前らを殺しても良かったが、それだけは出来なかった・・・。」
そう言うと、やりきれない怒りがあったのか、そのまま地面を殴り付けた。
凄まじい威力だったのか、砂浜の地形が替わるほどの衝撃で地面が震えた。
アイン「優しい千秋は復讐は心から望んで無かった。なら、俺に出来ることは何だ!?どうすれば千秋は幸せになるのか!?千秋の深層心理を覗いたときに、答えが出てきたんだ。」
千冬「答えだと?それはなんだ!!」
アイン「こいつの望みは、自分の全てを知って貰う事。自分が受けてきた凌辱や暴力を誰かと共有する事が望み。そしてもうひとつ、最も望んでいた事。
それはお前達に成長した強さを見せて、自立出来ると証明するのさ!!」
アインの言葉に千冬達は衝撃を受けた。
千秋にそんな望みがあった。千秋に人並みに何かを望む心があることに驚いていた。
アイン「まぁ、その二つは俺なりのやり方で千秋に幸せを味合わせてやるがな。」
そうこうしている内に、束がやって来た。
アイン「さて、これで役者が全員そろった訳だな。じゃあ最後の仕上げといきますか。」
そして一夏に近づき、そのまま腹部を殴り付けた。
殴られた一夏が前のめりになると、後頭部を掴み勢いを付けて、乾麺に膝蹴りを食らわせた。
衝撃で倒れ込んだ一夏は、鼻血を出してしまい、突然の事に痛みよりも恐怖が襲ってきていた。
アイン「どうした?ちゃんと手加減をしてやっただろ?さぁ、反撃してこいよ。素手か?ISでか?まさか、IS学園のヒーローがこんな程度でお仕舞いじゃないだろうな。」
小バカにした様な口調で言いながら、アインは嬉しそうに笑っていた。
あまりの事に動けずにいた一夏以外の代表候補生が動こうとすると、アインは地面に線を引いた。
アイン「お前達とも遊んでやりたいが、俺の目的は一夏と千冬と束とラウラだ。それ以外は特別に見逃してやるよ。だがもし、その線を越えてくるのなら・・・容赦はしないがな。」
感情のこもっていない言葉でそう話すと、アインは一夏達の法を向いた。
アイン「あっ、でもラウラは終わってるか。既に精神が崩壊してるもんな。だが、その苦痛を千秋は長い間味わって来たんだぞ?」
千冬と束が動こうとしたとき、アインは二人を制止させた。
アイン「忘れてるかも知れないが、俺へのダメージは全て千秋へのダメージなんだぞ?それを理解してるのか?
まぁ、それでもお前達は俺に攻撃するだろうな。」