アイン「さぁどうする?お前達が束になれば、千秋もろとも俺を殺すのも簡単だろ?それとも・・・。」
そう言ってアインは、一夏に近づき、右手で顔面を掴んだ。
そして力をゆっくりと入れ始めた。
アイン「まだ痛みも怒りが足りないのか?少しは抵抗しろよな。なもなきゃ、俺も面白味がないんでな。」
一夏は必死にアインの手を引き剥がそうとしたが、まるで万力かの様な握力には敵わずにいた。
そんな光景に業を煮やしたのか、千冬は走り出しアインの右腕を掴んだ。
その行動で嬉しそうにアインが笑うと、一夏を離した。
アイン「流石は人類最強の御人だ。あまりの力に手が痺れたよ。さて、次はお前が相手だな。」
アインはそう言って千冬の顔面に蹴りを入れた。
その蹴りを千冬は紙一重で避けた。
そしてアインは休むこと無く様々な攻撃を繰り出した。
だが、その全てが千冬には届かず避けられていた。
一夏「す、凄い。やっぱり、千冬姉は凄い!あの攻撃を全部避けるなんて!」
束「うん。でも、なんだが様子が変だよ。」
束の心配通り、全て避けてはいるが千冬に余裕など少しも無かった。
なぜなら、避けているのでは無く、避けさせられているからである。
攻撃が当たる瞬間、アインはわざとらしくスピードを落としていたからだ。
それを物語るかの様に、少しずつだがアインの攻撃が千冬にかする様になってきていた。
そしてついに、アインの蹴りが腹部に命中し後ろへと飛ばされてしまった。
アイン「そうだ!千秋、これこそがお前の実力なんだよ!!お前は強い!誰よりも、そして何よりもだ!!」
束「なにが実力だよ。所詮は、束さんが創った玩具のお陰じゃないか。」
束がそう言うと、アインは大笑いをした。
アイン「それもそうだな。だがそれなら、そこにいる一夏はどうなる?そいつが今の地位にいるのは、姉である千冬の名声のお陰、そしてその力こそ、お前の玩具のお陰だろう?」
アイン「約束されたエリート街道。その一本道だ。それはそれは窮屈だろう。だが、この千秋はそんな窮屈すらも感じられない!!生きる希望を探すだけで、苦しみ続けた。」
アイン「だが、そんな千秋にも俺と言う希望が産まれた。俺の喜びはこいつの喜びへと変換される。俺だけが、千秋を幸せにする事が出来る、唯一の存在なんだよ。」
そう言ってアインは、自分の左腕を引きちぎった。
すると左腕がサバイバルナイフへと変わった。
アイン「さて、そろそろ仕上げと参りますか・・・。」
武器を持ったアインに、一夏達は身構えた。
だが次の瞬間、アインの行動に驚いてしまった。
なぜなら、そのナイフでアインは自分の首を斬ったからだ。
そして出血が止まらなくなっていた。
千冬「き、貴様!!なにをしている!!お前へのダメージは全て千秋に!!」
アイン「そうだ。それで確実に千秋は死ぬだろう。だが、これで千秋は地獄から解放される!!千秋を解放したのは、お前達じゃ無い、この俺だ!!」
アイン「それに、お前達は知らない、千秋の心からの笑顔も俺が独り占め出来た・・・。お前達が千秋に与えたことは、痛みと苦しみ。ただそれだけだ。後悔するがいい。これでお前達が千秋を幸せにする事は、文字通り一生不可能になったんだよ!!」
嬉しそうに大声をあげると、そのままアインは解除され、千秋が倒れ込んだ。
千冬が駆け寄るが、既に千秋はアインの言葉通り生き絶えていたのだった。