ただそこにある絶望   作:なめらかプリン丸

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第26話

アイン「さぁどうする?お前達が束になれば、千秋もろとも俺を殺すのも簡単だろ?それとも・・・。」

 

そう言ってアインは、一夏に近づき、右手で顔面を掴んだ。

そして力をゆっくりと入れ始めた。

 

アイン「まだ痛みも怒りが足りないのか?少しは抵抗しろよな。なもなきゃ、俺も面白味がないんでな。」

 

一夏は必死にアインの手を引き剥がそうとしたが、まるで万力かの様な握力には敵わずにいた。

そんな光景に業を煮やしたのか、千冬は走り出しアインの右腕を掴んだ。

 

その行動で嬉しそうにアインが笑うと、一夏を離した。

 

アイン「流石は人類最強の御人だ。あまりの力に手が痺れたよ。さて、次はお前が相手だな。」

 

アインはそう言って千冬の顔面に蹴りを入れた。

その蹴りを千冬は紙一重で避けた。

 

そしてアインは休むこと無く様々な攻撃を繰り出した。

だが、その全てが千冬には届かず避けられていた。

 

一夏「す、凄い。やっぱり、千冬姉は凄い!あの攻撃を全部避けるなんて!」

 

束「うん。でも、なんだが様子が変だよ。」

 

束の心配通り、全て避けてはいるが千冬に余裕など少しも無かった。

 

なぜなら、避けているのでは無く、避けさせられているからである。

攻撃が当たる瞬間、アインはわざとらしくスピードを落としていたからだ。

 

それを物語るかの様に、少しずつだがアインの攻撃が千冬にかする様になってきていた。

 

そしてついに、アインの蹴りが腹部に命中し後ろへと飛ばされてしまった。

 

アイン「そうだ!千秋、これこそがお前の実力なんだよ!!お前は強い!誰よりも、そして何よりもだ!!」

 

束「なにが実力だよ。所詮は、束さんが創った玩具のお陰じゃないか。」

 

束がそう言うと、アインは大笑いをした。

 

アイン「それもそうだな。だがそれなら、そこにいる一夏はどうなる?そいつが今の地位にいるのは、姉である千冬の名声のお陰、そしてその力こそ、お前の玩具のお陰だろう?」

 

アイン「約束されたエリート街道。その一本道だ。それはそれは窮屈だろう。だが、この千秋はそんな窮屈すらも感じられない!!生きる希望を探すだけで、苦しみ続けた。」

 

アイン「だが、そんな千秋にも俺と言う希望が産まれた。俺の喜びはこいつの喜びへと変換される。俺だけが、千秋を幸せにする事が出来る、唯一の存在なんだよ。」

 

そう言ってアインは、自分の左腕を引きちぎった。

すると左腕がサバイバルナイフへと変わった。

 

アイン「さて、そろそろ仕上げと参りますか・・・。」

 

武器を持ったアインに、一夏達は身構えた。

だが次の瞬間、アインの行動に驚いてしまった。

 

なぜなら、そのナイフでアインは自分の首を斬ったからだ。

そして出血が止まらなくなっていた。

 

千冬「き、貴様!!なにをしている!!お前へのダメージは全て千秋に!!」

 

アイン「そうだ。それで確実に千秋は死ぬだろう。だが、これで千秋は地獄から解放される!!千秋を解放したのは、お前達じゃ無い、この俺だ!!」

 

アイン「それに、お前達は知らない、千秋の心からの笑顔も俺が独り占め出来た・・・。お前達が千秋に与えたことは、痛みと苦しみ。ただそれだけだ。後悔するがいい。これでお前達が千秋を幸せにする事は、文字通り一生不可能になったんだよ!!」

 

嬉しそうに大声をあげると、そのままアインは解除され、千秋が倒れ込んだ。

千冬が駆け寄るが、既に千秋はアインの言葉通り生き絶えていたのだった。

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