魔法少女が好きだけど悪役になってしまったからあえて敵の幹部として愛でようと思う 作:天性悪徳令嬢
「分身とはいえ一撃で消し去るとは予想以上に重い一撃ですね。」
カマキリ怪人が呟く。
成る程さっき倒したのは分身だったという事か。
「ですが、変身を解除した今、私の敵ではありません。」
怪人が鎌を振り上げると、
そこに黒いエネルギーが収束しているのが見えた。
あれ、これまずいんじゃないか?
「蹴撃の名を持つ者よ、ここで消えてもらおう」
怪人が跳躍し少女に向けて鎌を振り下ろそうとする。
ヤバい!
そう思った瞬間身体が勝手に動いていた。
壁から身を乗り出し、壁を蹴って怪人に向けて跳ぶ。
私は怪人に向けて体当たりをしていた。
「何ッ?!」
跳躍することで宙に浮いていた怪人は私の体当たりをモロに受ける事で吹っ飛んだ。
吹っ飛んだ後は近くの建物の屋根に怪人と一緒に落ち、
身体で衝撃を受けつつ転がる。
「やらせはしないさ」
決めゼリフが勝手に口から出る。
だが、今の私には自分に酔っている余裕なんてなかった。
何故なら、今私の胸には怪人の鎌が深々と刺さっているからだ。
ぐッ………。
痛てぇ。クソ痛てぇ。
眼には勝手に涙が滲み、口からは血を吐き出す。
あー...真面目にヤバいかもしれん。
「ヒーローにでもなったつもりでしょうか?飛んだ邪魔が入りました。」
そして胸からはから吐きたくなるような、ドス黒い衝動が身体中に染み渡る。
おそらく鎌にまとわりついていたエネルギーだろう。
怪人はこちらに構わず容赦なく鎌を抜く
「ぐぅっ!」
鎌と一緒にドス黒い血が吹き出し、身体の中を風が通るような感覚が走る。
心拍数が早くなるのを感じる。
「ああ...クソッ」
体が危険信号を出している。
目の前が霞むのを無理矢理堪えて意識を保つ。
建物の下の方を見ると、少し離れたところで少女がドリブルをしていた。
気付いていない...のか。
あのペースだと時間稼きをしてもすぐに追いつかれるだろう。
私に出来ることといえば、注意を促して変身させることくらいだが…。
「がッ!っっは...あ...あ」
怪人は私の喉に鎌を突き立てる。
こいつ、私が叫ぶ事すら許さないのか!
「マギストライカーのファンといったところでしょうか?」
首に突き立てた鎌をグリグリと動かしながらカマキリのような顔を近付けてくる。
「もうその歳なんですから。いい加減にそんなくだらない事やめませんか?」
くだらない事...だと?
こちらを見据える怪人の眼は何も変化のない複眼の筈なのにこちらを嘲笑っているかのように見えた。
「貴方が魔法少女に憧れたところで所詮はただの力をつけた人間です。」
怪人は顔を上げ、巫山戯た事をほざき始める。
「魔法少女の力の源である"白の勇気" そんなもの我々のパワーに比べればチンケな物です。」
怪人は再度顔を近付る
「いくら魔法少女が強くても、所詮は人間なんです。ちっぽけで弱い、ただの人間なんです。」
2020/9/5
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