魔法少女が好きだけど悪役になってしまったからあえて敵の幹部として愛でようと思う 作:天性悪徳令嬢
此方が喋れないのをいいことに、カマキリの野郎は巫山戯た言葉を捲し立てる。
私は強い憎しみを感じながら意識が遠のくのを感じた。
◆◆◆
幼い頃、私は孤児院で暮らしていた。
自分の親の事は未だに知らないし、知ろうとも思わない。
私はその事に怒りや悲しみなんて物は感じなかった。
最初から知らないのだから、自分の中で思う事なんて無いのだろう。
ただ、純粋に虚無感は感じていた。
高校生にもなった頃には、近くの高校に入学して毎日通っていた。
同じクラスの友人もできた。
そして仲の良い友人と居る間は虚無感なんて感じかった。
だが、友人が親について愚痴を言う時や
休日に友人が家族と居る所を見た時には言葉にできないような感情を感じた。
だが私はその思いを抑圧し、表面上は取り繕って生きていた。
怒ったところで、どうにもならない。そもそも怒りの矛先を向ける場所すらないのだ。
自分の存在価値を見出せなかった、自分は何故生きているのかどうしてもわからなかった。
そんなある日、私の住んでいた街に怪物が現れ、怪物は街を容赦なく破壊して回った。
その時外出していた私は怪物の暴れているど真ん中に立っており、
意味も無く通っている学校が破壊され、目的もなく住んでいた家が破壊されるのをただ黙って見ていた。
暫く暴れていた怪物は不意に私を見つけると、大きな咆哮をあげ私に向かって爪を振りかざした。
対する私は、驚きもせず、冷めた目で自分の死を受け入れていた。
そんな時に魔法少女は現れたのだ。
光に包まれた矢が数本怪物の腕に突き刺さり、怪物は建物の壁に磔になった。
その魔法少女は怪物の反撃を躱し、獅子の魔法と光の矢で怪物を圧倒した。
私はその姿を見て生きる希望を見つけたのだ。
次の日から私は魔法少女について調べあげ、
部屋はポスターや雑誌で溢れかえるようになった。
いつの日か、自分が魔法少女を助けられるようにとトーレニングも始めた。
孤児院を出た後は魔法少女に縁のある地域を巡り、
正真正銘魔法少女のオタクになっていた。
そうだ。
ああそうだ。
私は好きなんだ。
魔法少女が好きなんだ。
その為に生きてきたのに
ここで、
今ここでこんな奴に殺されてたまるか。
開き直る事で、私の心に潜む何かが目覚めたように感じた。
途端に身体から衝撃が走る。
喉から鎌が抜ける感触がする。
息苦しさや体の痛みがみるみる内に引いていく。
手を付き、立ち上がる。
今まで以上に身体に力が入る。
「こんな所で...終われるわけないだろう!」
先程の衝撃で吹き飛ばされたらしい怪人は驚いたような声で言った。
「ほう、覚醒したのですか。」
2020/9/5
文章を全体的に修正。
特に主人公の行動について変更。