魔法少女が好きだけど悪役になってしまったからあえて敵の幹部として愛でようと思う   作:天性悪徳令嬢

6 / 7
お気に入り数が過去最高でとても嬉しいです...!

主人公のキャラがまだ固まっていないので、
もしかしたらいきなり口調が変わることがあるかもしれません。


恐ろしき黒

身体中に力が湧くのを感じる

 

「素晴らしい!まだ不安定ですが、確かに強い"黒の邪念"を感じます。」

 

怪人は鎌になっている手で拍手をする。

 

「どうです?私の部下になれば、そこらの怪人とは違う高い階級を差し上げますよ?」

 

私は吐き捨てるように言った

 

「魔法少女をバカにするような屑とは手を組みたくないね」

 

「そうですか...。なら、残念ですがここで消えてもらいましょう」

 

そう言って怪人が振りかざした鎌に再度エネルギーが収束されていく。

 

 

どうする?

今の私は傷も回復して、力もある。

だが、相手は恐らく手練れの怪人で、さらに私にはまだこの力の使い方がわからない。

 

何の方法も無しに真正面からやりあったら恐らくうち負けるだろう。

 

必死に方法を模索していると、

不意に自分の影がこちらへ向けて手を振っているのが見えた。

 

まさか。

 

私は影に向かって念じる。

 

 

“やれるのか?”

 

 

それに対して影は頷く事で返事をした。

 

 

 

そうか、つまりはそういうことか。

 

鎌を振りかざして迫ってくる怪人に対して私は叫んだ。

 

恐ろしき黒(ドレッドブラック)!」

 

私の呼び掛けに応えるように、"影"は跳躍した。

 

私は地を走る影を目で追う。

 

私の影は跳躍した後分離し、2体の魔法少女のシルエットを形作った。

 

影が向かう先は相手の"影"

 

1人の影が怪人の影へ蹴りを入れた。

 

影を蹴られた怪人はそのまま吹っ飛んだ。

 

「何?!貴様!今何をした!」

 

怪人の方はまだ影に気付いていないようだった。

 

2人の影が手を前にかざすと、その手の中に日本刀が出現する。

 

そして走りながら怪人の背後に移動した影は

そのまま怪人の影を斬りつけた。

 

「ぐッ!」

 

1人は背中を、もう1人は右腕の鎌を。

 

影によって斬られた箇所には明確に傷が浮かび上がり、

緑色の体液を噴出していた。

 

流石に怪人も影に気がついたらしい。

 

「影とは小癪な...!」

 

影の少女達は再度攻撃を仕掛ける。

 

地を走るように移動する影に向かって

怪人は左腕の鎌を突き立てた。

 

が、影には攻撃できない。

 

「くっ、ここは一旦戻って体制を...!」

 

怪人は鎌を上にかざして何らかの術式を開始する。

 

「させるわけないだろ!」

 

私は懐からボールペンを取り出し、怪人の複眼に向かって投げつけた。

 

ボールペンはまっすぐ怪人の右目に刺さり、そのまま奥までぶっ刺さった。

 

腕力が確かに強くなってる。

 

気を逸らせれば十分だったのだが、ダメージを与えるまでしてしまった。

 

ダメージを受けてよろめく怪人に向かって

影達は跳躍して切り刻んだ。

 

「ぐあああああああ!!!!!!!」

 

断末魔を上げながら怪人は無残な肉片へと変わった。

 

「はぁっ、はぁっ。」

 

よろけながら私は怪人の死体に近付き、複眼からボールペンを引き抜くと、

生々しい嫌な感触と共に緑色の液で染まったボールペンが出てきた。

 

頭が痛い。

 

身体が地面に引き寄せられるような

重苦しい感覚と共に私はその場に倒れるのであった。




ドレッドブラックは影を操る能力ですね。

操作する影は自立行動も可能で、影の形を変えて様々な形態を取る事ができます。

ドレッドブラックは影のあるものだったら触れる為、攻撃することが出来ますが、
影の無い物に関しては触れられないので攻撃することも防ぐ事も出来ません。

2020/9/5
文章を全体的に修正

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。