魔法少女が好きだけど悪役になってしまったからあえて敵の幹部として愛でようと思う 作:天性悪徳令嬢
気が付くと私は深い闇の中に居た。
しかし、ただの闇ではなく
強い力のようなものが感じられた。
声が聞こえる。
『貴様を我が一族に迎えてやろう。』
耳からではなく、脳内に直接響く重苦しい声。
『我は"Zの完本" 。無の化身であり、世界を聖なる闇へと還す者』
声の持ち主は何故かわからないがすぐにわかった。
3mほど前方に居る
オーラというのだろうか、
眼に見えなくてもその存在を確かに感知できるほどの明確な「力」
心無しかそいつが居るであろう場所は闇が濃い気もした。
『"グリモア"を...。その力を我に差し出すのだ』
その言葉を聞いた瞬間、
身体の内側からなにか強い力が湧き出るのを感じた。
自分でも驚く程の力が身体の内側から溢れる。
そして湧き出た力が私の周りを取り囲むように移動していく。
それが一定の強さに達した時、
私の目の前に一冊の本が現れた。
黒い皮のような素材に
金銀の装飾が施されており、
表紙には禍々しい字体でアルファベットの「O」が描かれていた。
『ほう、貴様のグリモアは"Oの断章"のようだな。』
声のする方向から黒い邪気が送られてくる。
『良いだろう。貴様は我の幹部として選ばれた』
黒い邪気は"Oの断章"に吸い込まれていく。
『"我の一部"として、貴様には自由を与えよう。好きにするがよい。』
◆◆◆
声の持ち主から放たれた黒い邪気を本が全て吸い込んだ辺りで私は現実へと意識が戻った。
「なんということか!私の『愛』は闇の力だったと言うのか!」
非情な現実を目の当たりにした私はその場にひれ伏し、涙を流した。
「これじゃあタキ〇ード仮面みたいなロールプレイができないじゃないか!良くてプリ〇ュアの敵の幹部として登場するイケメンキャラじゃあないか!」
自分の事をイケメンに当てはめて考えていることはこの際どうでもよかった。
私は今まで通りのおっかけができなくなることに涙し、床を拳で思いっ切り叩いた。
思いっ切り叩いた事で床には亀裂が入り、
闇の力で力が強化されていることを嫌でも理解し、尚更腹立たしかった。
だが、私はある事に気付く。
敵の幹部として魔法少女を愛でるのもそれはそれで美味しいのではないか?
「ふふ...ふはははは!!!」
今までのおっかけとは違う!
正真正銘魔法少女と対等な立場で愛でれるのだ!
「蹴撃の少女マギストライカーよ!いずれまた会おうではないか!」
興奮してよくわからない事を言った後、私は建物から飛び降りた。
建物は思ったより高かったが、足に痛みはなかった。
設定等
・魔法少女
女性が強い想いを解き放つ事により変身できるようになる。
「白の勇気」と呼ばれるエネルギーをグリモアを通じて使役する。
・怪人
「黒の邪念」と呼ばれる負の感情を使役させて変身する闇の使徒。
魔法少女と違って男でも変身できる。
・グリモア
魔術を行使するのに必要な道具。
このグリモアを媒体とし、自身の魔力をイメージに乗せることで魔法が使える。
本来魔術師となるにはこのグリモアを製作する必要があるが、
現代では二つの完本がグリモアの作成を自動で代行し、魔法少女を増加させている。
・シャドウフォルク
所謂怪人サイド
Zの完本に従い、世界に闇をもたらすのが目的。
己らは世界の影でしかない。だが、闇という真理を抱く唯一の一族である。
・フェアリエルファミリア
所謂魔法少女サイド
怪人から世界を守ることが目的。
平和とは幻想でもある。だが、絆という魔法は幻想すら現実へと変える。
2020/6/20
魔法少女サイドの名前変更
2020/9/5
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