土砂降りの雨の中1人の青年が倒れており、傍には刀を腰に据えた桜髪の少女が地面に膝を着いていた。
青年は心臓を抉られているようでそこからどくどくと血を流していて、少女は必死に何事かを青年に告げていた。
「………………本当に…………いいの…………か……?」
「えぇ、構いませんとも。私の身も心も余す事無くその全てが貴方のものなんですから。」
「すまない…………な。願いを…………叶えれ……なくて…………」
「私の愛しい人が救えるのならば構いません。儀式に取り掛かるので少々お待ちくださいね。」
少女は己の主の命を救うべく
準備が出来次第、少女は血濡れた青年の服を破り捨て、自分の和服を脱いで一糸まとわぬ姿になった。そして、青年に覆い被さる様にして、儀式の詠唱を唱えた。
真夜中と共に少女と青年が光り、数秒後には収まった。後には、少女と瓜二つになった青年が1人しかいなかった。
「………………すまない……総司……約束は必ず果たす。」
そう1人ごちた青年はゆっくりと立ち上がって
「さしずめ
確認が出来たら、少女が脱ぎ捨てた和服を身に纏う。無論、パンツを穿いてサラシも巻いてからである。最後に少女の刀を腰に据えて
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俺が聖杯戦争のために召喚した
そして、
「呵呵呵呵呵呵ッ!!!!未だ消滅しておらんとは死に損なったなぁセイバーよ。なに、今一度死ねばいいだけよ。」
「…………………………」
「ふん、余興も楽しめぬか。アサシン、殺れ。」
「御意」
蟲翁……間桐臓硯こと、マキリ・ゾォルケンはどうやら俺の事をセイバーと認識しているようだ。まぁ、バレないならそれに越したことはない。アサシンが気配遮断で暗闇に溶け込み姿を消した。
だが、場所は分かっている。臓硯の隣から大回りをして背後に回っている。分かる訳は俺の魔術師としての属性が風と
認識した空間の気流の動きで場所が分かるのだ。
左真隣にアサシンが来たら、縮地でアサシンの目前に移動して抜刀し、アサシンの首を断つ。
「なっ!?有り得ん!?!?!?」
臓硯が驚愕した声が聞こえる。無理もない。今のは紛れもない次元跳躍……ワープそのものなのだから。その隙を突いて臓硯をその場に空間固定をする。
そうすると、臓硯は一切動けなくなった。俺は解析の魔術を使って臓硯の状態を確認。
肉体を構成する蟲を支配して、その蟲に臓硯の魂を癒着させることで臓硯自身は延命しているようだ。その中に本体とも言える蟲を見つけ出した。
「…………これは唯の仇討ちです。御覚悟を!」
「なっ!?やめっ……………………………………ッ!!!!」
固定されて動けない臓硯の本体を一閃。その一撃で臓硯は死に絶え、肉体を構成する蟲達は塵となって消えていった。
それを見届けてから背後にいる2人に声をかけた。
「キャスター陣営ですか。」
「いかにも。キャスターソロモンとそのマスターのマリスビリー・アニムスフィアだ。では…………」
「言いたいことは分かります。ですが、戦いません。」
「…………マスター、この者はセイバーではなくセイバーのマスターだ。マスターの言っていた
「ご説明ありがとうございます、キャスター。そういうことなので勝者は貴方々です。貴方々に聖杯の使用権があります。」
「……………………分かった。後で話したいことがあるから待っててくれ。」
マリスビリーは巨万の富を聖杯に願い、ソロモンは王という存在から人間になることを望んだ。
俺とマリスビリーが見守る中ソロモンは転生し、残ったのは俺とマリスビリーだけであった。
「それで、話したいことなんだが…………………」
「分かりました。その話に乗ります。ですが…………………………」
マリスビリーからのとあるお誘いに条件付きで乗ることにした。