フランの異世界召喚記 作:松雨
「ねえ、リーダーさん。何してるの?」
グランドドラゴンたちを討伐し、証明として角を3本取った後に竜肉や傷ついていない鱗や爪をバスターのメンバーたちがナイフ等の道具を使って剥ぎ取っていたのを見た。竜肉は食料の為だと分かるが、鱗や爪って何に使うのか全く分からなかったので、リーダーに聞いてみた。
「上級土属性武器や防具・高級魔道具製作に使えそうな素材集めだよ。グランドドラゴンの素材は最適だからね。それに……」
どうやら討伐したグランドドラゴンの鱗などの部分は、その丈夫さや魔力の豊富さから上級武器や防具・高級魔道具によく使われるらしい。
今回討伐して剥ぎ取った素材を商業ギルドの素材買取受付まで持っていけば、この量でも金貨20~25枚となるほどだと言う。凄い需要がある素材なんだなぁと思った。
「そう言えば、フランちゃんってランク何だっけ?」
そんな話をしていると、突然リーダーが私のランクを聞いてきた。不思議に思ったけど特に隠すような事でもないので正直に答える。
「Eランクだよ!」
「ハハ……あのデタラメな強さでEランクとか嘘だろ……まあいいや。それで、今まで剥ぎ取りした覚えはある?」
「ないよ! 今まで討伐したことあるグランドドラゴン以外の魔物は、スライムにコクカクロウって奴なんだけど、スライムは弾幕1発で倒したら消滅したし、コクカクロウはレーヴァテインで燃えていなくなったから」
Eランクだと正直に答えたら苦笑いされた。先ほどの戦闘のせいだろうな。
その後にも剥ぎ取りした覚えはあるかとも聞かれた。今まで討伐したことのある魔物は自然消滅するか消し飛ばしてしまっていた。なのでしたことないと答えると、スライムは性質上仕方ないとしてもコクカクロウの方は素材としても有用らしく、もう少し手加減してやってくれと呆れられた。
そうして全ての素材を剥ぎ取り、どう考えても入りそうにない大きさの革の袋に全て詰め込んだ。一体何の魔法が使われているのだろうか。
「さて、ギルドに戻りましょう。それにしても、グランドドラゴンをこんなにも早く討伐できたのもこの2人、特にフランさんの活躍が大きかったですね」
「実力だけならSランク冒険者ですよこの子。見たことないオリジナル高威力魔法を使いますし、身体能力が凄いですから」
会話をしながら停めた荷馬車の場所まで行って乗り、そこから休憩なしでシャームの町へ戻ってギルドに向かい、討伐の報告をする。
「ただいま戻りました! 無事にグランドドラゴン討伐してきました!」
「おお! 流石バスターの人たちで」
「いえ。リトルグランドドラゴンの方は僕たちですが、親のグランドドラゴンの方は全部このフランちゃんが1人で討伐してくれました」
「「「……え?」」」
バスターのリーダーがそう説明すると、まるで信じられないといった感じだった。まあ、いきなりそんな事を言われて信じろという方が無理だろう。
「うーん。カーネイドさん、裏の魔法練習場使ってもいいですか? もしかしたら破壊してしまうかもしれませんが……」
「了解! ラムアルの頼みとあらば構わないよ。修理費半分負担してくれれりゃね」
「ありがとうございます! ここに居る皆さん、今から裏の魔法練習場でフランちゃんが討伐してきた証拠となる物をお見せ致しますので来て下さい!」
もしかしたら冒険団バスターのリーダー、ラムアルは私の力を皆に見せれば信じてもらえるだろうと踏んだのだろう。なので私はラムアルについていき、その作戦に乗ることにした。
「よし、ここなら最悪練習場が吹き飛ぶぐらいで済むだろう。じゃあフランちゃん、お願いできる?」
「良いけど、何を見せたら良いの?」
「それじゃあ、あのドラゴンの爪攻撃を受け止めた炎剣を本気でお願い」
「分かった……『禁忌 レーヴァテイン』!」
グランドドラゴン戦と同じレベルの魔力をつぎ込んで作った炎剣を思いっきり振り下ろすと、地面に接触した瞬間に炎が上がって爆発し、小さいクレーターが出来上がった。
「……うん。これなら納得だな。ドラゴンを討伐したのも信用できる」
「確かに、角も2つありますし。となるとSランク冒険者並みかそれ以上の力があるでしょうね。でなきゃこの破壊力の魔法剣を生成出来ないでしょうし」
皆の反応は良く、これで大半の人が納得してくれたみたいだ。
「おーいフランちゃん! 他に高威力の魔法はあるか?」
「まだあるよ!」
「じゃあ頼む」
「分かった……『禁弾 スターボウブレイク』」
これも同じく、先ほどの戦いの際に使った時と同じ魔力をつぎ込んで上空に放ち、雨のように降らせる。
魔法石のような形をした弾幕は目の前にあった鉄製の鎧を貫通して地面に突き刺さる。
「鉄の鎧がこうもあっさりと貫かれるなんてな」
「何という攻撃力の魔法なんだ……」
「まだあるけど見る?」
「いや、もう良い。ドラゴン討伐で疲れてるだろうし……あ、もしかしてこんなこと頼んで迷惑だったか?」
「大丈夫だよ。迷惑だとは思ってないし。だけどさ、疲れてるだろうと思ってたなら頼まないでよ……」
「確かにそうだね。ごめん」
力の一部を見せることによって、皆にグランドドラゴンを討伐したのは私だと認めてもらうことが出来た。
その後ギルドの中に戻ると、カーネイドと呼ばれた女の人が話しかけてきた。
「君がフランか。私はカーネイド。シャームの町のギルドでギルドマスターをやっている者だ」
「あ、うん。一応自己紹介すると、私はフランドール・スカーレット。呼び方はフランでお願い」
「分かった。それでだな、今私がフランに声をかけたのはランクアップを知らせるためだ」
話を聞くと、Eランクである私がAランクのグランドドラゴンを2頭討伐すると言う快挙を成し遂げた功績を認めてDランクに上げる事にしたと言う。ちなみに、ミアも回復魔法による強力なサポート等が認められてDランクに上げる事が決まったらしい。
「フランちゃん、Dランクおめでとう! 凄い戦いぶりだったね!」
「そう言うミアこそ、ランクアップおめでとう! あの回復魔法を上手く使って戦況を優位にしていたし」
そんな風に互いを労っていると、ラムアルが再び声をかけてきた。
「フランちゃん、ミアちゃん。今回は本当にお疲れ様。突然で悪いんだけど、もしよければ僕たちと一緒に疲れ癒しを兼ねてシャーム観光しない? グランドドラゴン討伐に付き合ってもらったお礼にって思ったんだけどどうかな?」
「え、いいの?」
「もちろん!」
「ありがとう。じゃあよろしくお願いね!」
こうしてラムアルに町の観光に誘われた私たちは、疲れを癒すのも兼ねてついていく事に決めた。
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