フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、王都の宝石店に行く

 理不尽な理由でいきなり攻撃してきた人たちを撃退し、城を出た後、私は宝石店に向かっていた。

 

「確か『蒼宝の館』だったっけ? 全体が青い外観の建物みたいだからすぐに見つかると思ったけど、意外と見つからないなぁ。それにしても、日光浴びた時に蒸発しなかったのは何でだろう?」

 

 私には全く分からないけど、お陰でこうして昼間に堂々と外を出歩けるのは嬉しい。まあ、日光を浴びた瞬間にヒリヒリした弱い痛みを感じる程度には影響を受けているので、早急に魔法石を売って得たお金で日傘を探して買おう。

 

「あぁぁ……全然見つからない。おまけに体から煙が出始めるし」

 

 30分位歩いても全くそれらしき建物が発見出来ない。そうこうしている内に日光を直に浴びている腕や脚、顔と言った部分から少しずつ蒸発し始めた。痛みは相変わらず弱く、まだ行動に支障はないけど……

 

「このまま体から煙を出しながら歩くなんて怪しいよね……」

 

 吸血鬼がここではどう思われているのかなんて分からない。

 だけど王様のあの様子を見ていたら、この国では国民の末端まで他種族が忌み嫌われている可能性が高いと思う。

 そうなると、私が吸血鬼だとバレてしまえば……外の世界を楽しむどころか無事に帰れるか怪しくなってしまうだろう。

 

 そう考え、日陰で休まなきゃと思った私は即座に大通りから少し外れた路地裏に入って行った。

 すると、すぐに蒸発が収まってヒリヒリした痛みも一瞬で消え、地味に消費していた体力も回復してきたので、この選択は正解だった。

 

「空を飛びながら探せば簡単そうだけど、そんな事をしたら『私は人じゃありませんよ~』と、自分から盛大にバラすことになるよね……」

 

 土地勘のある人1人一緒につけてもらえるようにすれば良かったし、地図をもらえれば良かった。

 今さら公開しても遅いけどさ。

 そんな事を考えながら路地裏のベンチで休憩していると、向こうからいかつい感じの風貌をした若そうな男の人が2人と女の人が1人、私を見つけたのかこちらの方に歩いてくる。

 

「おい、嬢ちゃん。何やってんだこんなとこで? 王都とは言え、路地裏は結構危ないぞ!」

「えっと……この魔法石を売るために蒼宝の館ってお店に行きたいんだけど、歩き回って探しても場所が全然分からなくて、今は疲れて休んでたところなの」

 

 実際は全く疲れていなくて、日光で身体が蒸発し始めたからなのだけれど、それを言うと今後に支障をきたす可能性が高いから最も納得の行く理由をでっち上げ、持っていた青い魔法石を彼らに見せる。

 

「……すげぇなこれ。こんなに魔力がぎっしり詰まってる魔法石見たことねぇぞ」

「これ使えば良質な魔道具が作れるわね。いや、どっちかと言うと魔導武具向きかもしれない……」

「ねぇ、そんなに凄いの? これ」

「そりゃあもう! 嬢ちゃんの行く店に売ればかなりの量の金貨を貰える位にはな。それにしても、こんなものをどこで……」

「知り合いからもらったんだ~」

 

 まさか自分の羽から取った魔法石とは言えず、知り合いからもらった物と言う事にしておいた。

 

「そうか。じゃあ嬢ちゃん、今から俺らがその店まで案内するから付いてこいよ」

「良いの? ありがとう、お兄さん!」

「ハハハ! 嬢ちゃん、俺らお兄さんって呼ばれる歳じゃないんだよ。もう50になったんだぜ」

「あ、そうなの?」

 

 どうやら目の前の3人組が目的の店まで案内してくれるみたいなので、一緒に付いていく。

 まるで迷路のような路地裏を進むこと5分、看板に蒼宝の館と書かれた小さな青い外観のお店に到着した。

 こんなに目立たない場所にあるなんて思わなかった。そりゃああれだけ歩き回っても見つからなかったわけだ。

 

「入るぞ~。店主、居るか?」

「居る……何だあんたか。また何か買いにでも?」

「違う違う。この店に売りたいものがあるって嬢ちゃんを連れてきただけだ」

「ほう。あんたの後ろについてきていたあの金髪の子ね。売りたいものは……手に持っている青い魔法石か?」

「あ、うん。そうだよ」

 

 そうして私は、出てきた店主のおばさんに持ってきた青い魔法石を手渡す。その瞬間、おばさんの顔が先ほどとはうって変わってにこやかな物になり、あらゆる角度から魔法石を見渡しながら独り言を呟いていた。

 

「なんと素晴らしい魔力の多さと質の良い魔法石なんだこれは!? 魔道具や武具、他にもいろんな事に使えるわ。そうなると売却額は……金貨13枚だろう」

「おお、やはりその位は行くのか」

「当たり前だ。こんなに良質かつ大きさもあるのだからそれくらいは当然!」

 

 その後、簡単な手続きを経て魔法石を売却し、対価として金貨13枚をもらって店を後にした。

 

「ここまで付き合ってくれてありがとうお兄……おじさん」

「おう! あ、路地裏抜けるまで付き合うぜ。危ないからな」

「うん!」

 

 そうして来た道を戻り、路地裏を抜けて、私を店まで案内してくれた3人組と別れた。

 魔法石を売ってお金を得ると言う目的を達成したので、次は日傘探しをする事に決めた。

 

「あ、さっきの3人組に日傘を売ってるお店を知ってるかどうか聞いておけば良かったな~」

 

 今更そう思っても仕方がないので、町を歩いていた人に声をかけて日傘が売ってる店があるか聞いてみる。

 そして5人目に聞いた時、日傘を売っていると言うお店の情報を聞き出せたので、町の人の好意で案内してもらった。

 

「ここが日傘を売ってる店だ。そういや言い忘れたが、ここの日傘やたら高いぞ。その分耐久性は高くて軽いし、魔法とかにも強いからな」

「そうなんだ。でも、それについては心配しなくても良いよ。ちゃんと用意はしてあるから」

「そうか。確かに金貨13枚もあれば十分だろうな」

 

 店に入り、店内を歩き回ってよさそうな日傘がないか見て回る。

 どの傘もかなりの高級品らしく、1番安い物でも銀貨7枚はするみたいだ。

 

「どれにしようかな……あ、これにしよう」

 

 店内を歩いていて私が気になったのが、全体的にほんのり赤みがかっていて何かの花の絵が描いてある日傘だった。

 

「すみません。これ下さい」

「はーい。えっと……『紅夜の日傘』ですね。金貨1枚、銀貨6枚になります」

 

 銀貨は持っていないので金貨2枚を出した。

 

「金貨2枚……お釣りは銀貨4枚です」

「はい。ありがとうございます」

 

 そうして店員さんが鍵を外し、紅夜の日傘を受け取ってお店を後にした。

 

 

 

 

 




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※この世界の貨幣価値は銅貨→銀貨→金貨→白金貨の順に高く、
銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚です。
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