フランの異世界召喚記 作:松雨
「よーし。さてまずは、どこ行こうか」
「ラムアル、あなたまだ決めてなかったのですか?」
「まあね。だってその場の思い付きで言っただけでどこ行こうか決めてなかったし。エノス、どこ行くか考えてくれない?」
「うーん……」
観光に誘われ、ラムアル一行についていくことになった私たち2人だったが、行く場所を決めていなかったらしく、かれこれ30分程その辺をうろうろするだけでどこにも寄ったりしていなかった。
まあ、私とミアにとっては初めて来る町なので、今日1日の予定がただの散歩になっても別に良いのだけれど。
そんな事を思っていると、エノスと呼ばれた女性剣士が何か思い付いたらしく、ラムアルに話しかける。
「じゃあ、私たちがよく行く大衆食堂に行きませんか? あそこの料理は美味しいから、是非フランちゃんとミアちゃんにも是非食べてもらいたいですし」
「なるほど、確かにそうだ! それで行こう。2人共、大丈夫? 嫌なら言ってね」
「嫌じゃないよ!」
「わたしも同じく」
冒険団バスターの人たちが、これ程までに推してくる『大衆食堂』の料理がどれだけ美味しいものなのか、気になるので了承した。そもそも、ラムアル一行についていった時点で命の危機がある所以外なら、断るつもりは全くないけど。
そうして商店街にあると言う大衆食堂に皆で向かうことになった。途中私が使うスペルカードやミアが使うオリジナル回復魔法について話しながら歩いていると、目の前にシャーム大衆食堂と書かれている看板が立てられた建物が見えたので入店する。
「いらっしゃいませ、冒険団バスターの皆様。そちらの方は、紅魔の少女フラン様に蒼銀の天使ミア様ですね」
「あ、はい。もしかして私たちの噂を?」
「ええ。それでお2人の、特にフラン様の噂は凄いものですね。グランドドラゴンを2頭を1人で討ち取るなんて。ミア様だって、詠唱破棄でホイホイ上級回復魔法を連発してバスターの方々をサポートしたみたいですし」
いつの間にかドラゴン討伐をした事が町中に拡散されていたらしく、店に入った瞬間に店員さんから二つ名付きで呼ばれた。
この町に来る前助けた冒険者たちから付けられた二つ名もしっかり伝わっていたみたいだ。
「すっかりこの町じゃ有名人だね、フランちゃん」
「そうみたいだね! でも、ミアだって一緒だよ」
「凄いですねフランちゃん、ミアちゃん。それだけ町の人に印象に残ってるってことですから。あ、そうだ店員さん、いつもの料理を全員分お願いします」
「かしこまりました」
エノスからの注文を聞いた店員さんは調理場の方に向かっていった。それから30分程待っていると、何かの肉のステーキとサラダが出てきた。これは何なのか聞いてみると、イノシシのような魔物『グレイトボア』肉のステーキに『ビター』と呼ばれる野菜を苦味を抜く処理をして、秘伝のドレッシングをかけた物らしい。
「フランちゃん美味しいね、これ」
「うん。確かに美味しいよね!」
「気に入ってもらえたみたいで良かったです」
流石この店によく行き、美味いと薦めてきたバスターの人たちがいつも食べる料理で、とても美味しい。
余りにも気に入ったものだから、思わず同じものをもう1つ頼んで食べてしまう位だった。
それらを完食して店を出た後、次はどこに行くのかと聞いたらシャーメイ図書館と言う所に行くらしい。あらゆる種類の本が所に
狭しと並べられていて、魔導書もそこそこ揃えられている場所の為、一般人や魔導師が良く使う図書館らしい。
建物自体が数百年前の、書物等の資料を駆使しながらほぼ再現する事に成功した歴史ある物で、観光目的の冒険者等の人が来ることがそこそこ居る場所でも在るとのこと。
当然、行ったことのない場所だったのでどんな所なのか楽しみにしながらその図書館を目的地にする。
「ここがシャーメイ図書館、結構大きいね。それに、凄い古びた感じがしてて歴史を感じる」
「フランちゃん、あんまり驚かないね」
「まあ、これより大きな図書館を見たことがあるから」
到着して中に入ると、紅魔館にあるパチュリーの図書館を小さくしたような感じだった。
とは言ってもかなり広く、何万冊レベルで本がありそうだ。
「魔導書コーナーは……あった」
現在、私の攻撃手段はスペルカードと身体能力を生かした物理攻撃だけである。今はまだこれだけでも何とか対処出来ているものの、今後それだけでは対処できないような事態や敵が現れる可能性だってある。その為、この世界の攻撃や防御系の魔法をシャームの町に居る間に、最低でも1つや2つ位覚える為にここの魔導書コーナで学ぶ事に決めた。
1時間程魔導書を読んだ後、カーテンド王国の歴史や神話・美味しい料理店が書かれた本等を読み漁った結果、図書館を出る頃には外は真っ暗であった。
「ごめんねラムアル、他にも連れて行きたい所があっただろうに……」
「全然大丈夫だから気にしないでね。そもそもフランちゃんとミアちゃんを楽しませてリラックスさせる為に誘ったからね。楽しんでもらえたのなら良かったよ」
夜に観光出来る所はこの町にはないそうなので、今日はこれまでと言う事になった。明日も一緒に回るのかと聞いたら、どうやら明日にはシャームの町を依頼で出ていくから無理だと言われた。まあ、そう言うことなら仕方ないだろう。
軽く挨拶を済ませた後ラムアル一行と別れて宿に戻った私たちは、浄化魔法で身体を綺麗にした後すぐにベッドに寝転がり、眠りについた。
そうして翌日の朝目を覚ますと、早速支度をしてギルドに向かった。緊急的なグランドドラゴン討伐でランクアップをしてDランクになったのは良いが、まだ普通の依頼に関しては経験がほぼ無い。このままでは冒険者として経験を積めず、良くないと思った私は今日から2~3日程は依頼を連続で受けようと計画した。
ミアも賛成してくれたので早速ギルドに向かい、到着した。
依頼を受けようと受付の方に向かおうとした時、そこでなにやら小さな騒ぎが起きていた事に気づいた。
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