フランの異世界召喚記   作:松雨

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今回の話には弾幕についての独自解釈が存在します。


※アンケートの締め切りは9月12日の予定です。


フラン、少年に弾幕を教える

「どうかお願い出来ませんか?」

「うーん……ちょっと無理ですね。その依頼内容だと、受けてもらうには最低でも金貨3枚は必要になりますね。銀貨9枚だと受けてくれる人が出てくる確率が極めて低くなりますので、こちらとしてはやはり金貨3枚からしか……」

「そこを何とかお願いします!!」

 

 話が聞こえる位置まで行って聞いてみると、魔法使いの格好をした推定10代前半の男の子が何か依頼をしているのを、受付の人が断っている所だった。依頼を受けるのに受付が空かないと困るので、話しかけてみることにした。

 

「ねえ、どうしたの?」

「だからそれ……あ、フランさん。実はですね、あの男の子に銀貨9枚で依頼をしてきたのを断っているのですが、なかなか引き下がってくれなくて……」

 

 受付の人に話を聞いてみたところ、そこに居る男の子は1週間誰か魔法を教えてくれる人を探しているとのこと。それ自体は問題ないらしいが、提示してきた報酬が期間と内容の割に少な過ぎて受けてくれる人が居ないので無理だと言ったものの、食い下がってきて困っていたらしい。

 

「じゃあ君に質問するけど、その教えてほしい魔法って何でも良いの? オリジナルでも?」

「え……あ、はい。むしろオリジナルならありがたいと思ってます。今度俺の通う学園で魔法の大会があるんですけど、専属の先生が急用が出来て帰ってしまい、困っていた時に冒険者ギルドに依頼しようと思ったのですが、俺の家貧乏なんで、これが出せるお金の限界なんです」

 

 なるほど。弾幕はこの世界ではオリジナル扱いだし、依頼を探していた私たち2人にとっても好都合な依頼だ。お金にも比較的余裕があるし、初めてだけどこれも良い経験になるかもと思ったから受けてみようかなと思った。それをミアに相談してみると……

 

「良いんじゃない? わたしが居れば怪我したとしても直ぐに治せるから訓練にはもってこいだと思う」

 

 賛成してくれたので男の子の方に向き直り、こう言う。

 

「良いよ! その依頼、私たちが受けるから!」

「本当ですか? ありがとうございます!」

「と言う訳で受付のお姉さん、私たちが受けるから手続きよろしくね!」

「分かりました」

「あ、そうだ。依頼を同時に2つ以上って受けるのは駄目なの?」

「1つ目の依頼に影響が出ない程度の依頼なら問題ないですよ」

「分かった。ありがとう!」

 

 学園に通う男の子に魔法を教える依頼を2人で受けることになった。教えるとなると、互いに名前を知らないのは問題なので自己紹介する。

 

「じゃあまずは私から。名前はフランドール・スカーレット、フランって呼んでね」

「えっと……わたしはミア。王国に認められた回復魔導師やってるの。練習中の回復は任せてね」

「最後に俺ですね。ジェノと言います! 火と風属性魔法は中級、光と闇属性は初級までですが使えます。他は全く使えません」

 

 一通り自己紹介を終えると、早速ギルド裏の魔法練習場を使わせてもらい、教える事になる弾幕を見せる。運良く誰も居なかったのでおおっぴらに出来るのでよかった。

 

「じゃあこれから教える魔法について実演してみるから見てて」

 

 まずは通常弾幕を一通り見せ、次に一部のスペルカードを見せた。いきなり全力でやるのはあれかなぁとも思ったので威力は控えめにしておいた。

 案の定見たことない魔法だったらしく、食い入るようにして弾幕を見ていた。

 

「なるほど。これがフランさんの使うオリジナル魔法『弾幕』ですか。威力もさることながら、美しいですね」

「まあ、人に見せることも考えてるし」

 

 そうして実演は一旦おしまいにして、今度は実際に説明しながらの練習に入る。上手く説明出来るのか分からないけど、受けた以上、通常弾幕は扱えるようになってもらうように教えないと駄目だろう。

 

「ジェノ、試しに1つ弾幕を作ってみよう。自分の魔力を球状にまとめるイメージでやってみて」

「こうかな?」

 

 ジェノが集中し始めると、彼の手元に青く輝く光球が出現したので的に発射してもらうと、上半分が見事に消し飛んだ。とても初めての弾幕とは思えない。

 

 その後も食事と休憩をはさみつつ、弾幕の練習をすること8時間、密度はまばらながら弾幕ごっこがある程度出来そうな位には同時に作って発射する芸当が出来るようになっていた。何度も思うが、ジェノは適応力が高すぎないか?

 

「じゃあ、外も暗くなってきたからもう終わりにしよう。また明日にここで待ち合わせでよろしくね」

「はい! 今日はありがとうございました!」

 

 こうして、今日1日の弾幕練習を終えて宿に戻って眠りにつく。

 

 

 次の日の朝、起きて朝食をとった後すぐに魔法練習場に行くと、既にジェノが自主的に弾幕を練習して待っていた。待たせてしまったことを詫びつつ、昨日の後半と同じ感じで練習に入った。

 

「ジェノ、たった1日でここまでって凄いよ! 才能あるんじゃないかな」

「フランちゃん、この人凄いね」

「ありがとうございます。それにしても、この通常弾幕って凄い便利ですよね。威力は確かに低めですけど、それを補っても余りある手数の多さには驚きました」

「でも、確かに手数では圧倒的だけど、ある程度強い相手に対しては魔力を込めても威力不足が否めないからね。緊急でグランドドラゴン2頭を相手にした時はほんの僅かダメージを与えた程度だったし」

 

 そう言うと、ジェノは驚いていた。流石に町で私の噂が流れ始めているとは言え、まだ全体に行き渡ってはいないだろうから、私が冗談を言っているように聞こえたのだろう。

 

「グランドドラゴンってあれですよね。Aランクの……あ、そう言えば確か、現れたグランドドラゴンを1人で2頭相手にしてほぼ無傷で討伐した少女が居たって誰かが言ってたような……それってまさか」

「それ私の事だよ」

「じゃあ俺、今そんな人の魔法を教わっているって事になるんだよな。まともに扱えるようになれば魔法の大会だって行けるかもしれない」

 

 そう言うとジェノは、再び弾幕の練習を始めた。その様子を見ていると、もしかしたら1週間の内にスペルカード会得まで行けるかもしれない。と言うか、行けるだろう。

 

 3時間程休み休み練習していると、疲れたから1時間位休ませてくれと言ってきた。無理をして身体を壊し、魔法の大会に支障が出てしまえば教えている意味がなくなるので了承した。

 

「お疲れ様ジェノ」

「回復魔法いる?」

「はい、お疲れ様ですフランさん。回復魔法は大丈夫ですよミアさん」

 

 休憩中ベンチに座りながら他愛もない会話をしていると、ジェノを呼ぶ男の人の大きな声が聞こえて来たので、全員でその声が聞こえた方に振り向くと、ジェノと似たような格好をした推定50代のおじさんが居た。

 

 




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