フランの異世界召喚記   作:松雨

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1日1日練習の話を書いていると何話も同じような感じで続きそうなので、次話で今話から5日間時間を飛ばします。


※オリジナルスペルカードが後半で出ます。独自解釈もあります。


フラン、擬似弾幕ごっこをする

「ふぅ……疲れた」

「ジェノ君、お疲れ様」

「2人ともお疲れ様! じゃあ、もう夕方だし戻ろう」

 

 周りの事を考えず、ミアを拐おうとした馬鹿を半殺しにしたせいで魔法練習場が一時的に使えなくなったので、シャームの町を少し出た所で弾幕の練習を再開し、夕方までひたすら弾幕を打ちまくっていた。

 

「それにしても弾幕って便利な物ですね。あの練習試合でジェノ君が使ってきた時は驚きました。無詠唱でいきなり光弾を凄い数放ってきたんですから。途中から思わず魔法大会の時まで使うつもりのなかった切り札の『風霊一体』を使ってしまいました」

「あれって切り札なんだね。急に消えて後ろに現れた時はビックリしたよ」

 

 私もシルフィオの風霊一体と言う切り札を見た時はビックリした。途中まで良い感じで押していたのに、それを使われた瞬間攻撃が当たらなくなり、物凄いスピードで逆にジェノが押されてしまったからだ。

 

「物理ダメージ無効・火属性以外の魔法ダメージ半減・速度増強・風属性吸収する効果がありますけど、強力過ぎるが故に魔力の消費も強烈で、1分位しか持たず、効果が切れると疲労が凄くなるのが欠点ですけどね」

「いや、あのスピード1分耐えるのはキツいから十分だと思うけど」

 

 2人の会話を聞きながらシャームの町に戻り、私とミアが泊まっている宿に流れで一緒に泊まる事になった。道中、急にとある事を思い付いたので

 

「ねえ、この町の魔道具店ってどこにあるか知ってる?」

「あ、はい。俺たち御用達の魔道具店がありますけど、何か用事ですか?」

「まあね。明日に教える事に必要な物を買いに行くから」

 

 そうしてジェノとシルフィオの案内の元、魔道具店に到着した。

 

「えっと……あった! これでいいや」

 

 15枚の魔方陣が描かれた用途不明の魔法カードを金貨2枚購入し、すぐに魔道具の店を出て、再び宿に向かう。

 

 到着してすぐ、軽く食事と浄化魔法をかけて汚れと臭いを落とし、ベッドに横になった。

 

 

 そして翌日、前の日と同じ場所に行って弾幕の練習を始めた。ジェノに関しては、持ち前の適応力によって少しずつ様になってきていた。この調子で行けば5日後に控えている魔法大会で使っても問題ないレベルにはなるだろう。シルフィオの方もかなり調子が良さそうだった。

 

「そうだジェノ、シルフィオ。この辺で1回私と弾幕の打ち合いをしようよ順番で。実践形式でやれば鍛えられると思うんだよね」

「「え!?」」

「大丈夫だよ! 本気でやらないし、いざとなったらミアの超回復魔法で治せるから」

「戦闘じゃ役立たずだけど、回復ならわたしの本領発揮が出来るから安心してジェノさん、シルフィオさん」

「まあ、そう言うことなら……」

 

 若干不安そうだったが、王国一の回復魔導師の称号を持つミアの一言が効いたらしく、擬似弾幕ごっこをやることになった。

 

「では、まずは私から行きますねフランさん」

 

 そう言うとシルフィオは白銀に輝く弾幕を10個程展開し、こちらに向けて発射してきた。

 よく見てみると、弾幕の周囲に風を纏わせているようだ。恐らくそれによって与えるダメージと、弾の速度を上げて当てやすくしようと言う考えだろう。

 

「よっと、ほい!」

 

 ただ、これでも幻想郷では色んな人妖たちと日々弾幕ごっこをやっていた経験がある。それに種族に備わる身体能力が加われば、油断さえしなければ避けるのは容易だと思った。

 

「これでどうですか!?」

「っ!」

 

 避けたはずの弾幕が後ろで曲がり、再びこちらに向かって飛来してくるのが分かった。それも避けるが、また同じように曲がって迫ってくる。

 このまま避け続ければジリ貧となり、最終的には負けてしまうかも知れない。

 

「打ち落とすか、それっ!」

 

 向かってくる弾幕をこちらも弾幕で迎え撃ち、相殺した。

 その後、今度は私が威力は手加減して弾幕をシルフィオに放つ。

 

「凄い密度……風霊一体!」

 

 練習試合の際に見せたあの魔法を発動させた瞬間、シルフィオの身体が僅かに薄くなり、放たれる威圧感が増大する。

 放った弾幕は半分避けられ、残りの半分は当てられるもあらぬ方向に弾かれてしまう。

 当然、向こうの攻撃の威力は増大しているので先程よりもはるかに避けづらくなっているものの、全部避けきるか相殺させた。

 

 1分避け続けて風霊一体の効果が切れ、疲労した所に弾幕の嵐を叩き込んでダウンさせた。

 

「……フランさん、ありがとうございました」

「お疲れ様。ミア、回復よろしく!」

「分かった」

 

 シルフィオを回復してもらい、擬似弾幕ごっこを終わらせた私は、すぐにジェノとの擬似的弾幕ごっこを始める。

 

「では行きます!」

 

 ジェノはそう宣言すると、早速弾幕をかなりの数展開して放ってきた。シルフィオよりも速度・密度は優れているが、避けた弾幕が後ろから襲ってくると言った事はなかった。

 

「全部避けられてる……さすがです!」

 

 回避した後はこちらが先程と同じように威力を手加減した弾幕を放つが、ジェノはそれを紙一重で避けつつ回避不可能なものについては自身の弾幕で相殺した。が、3分程続けていると疲労もあり、被弾回数が急に増えた。

 

 更に5分程粘っていたジェノも被弾による地味なダメージの蓄積と疲労により、限界が来たようで倒れてしまった。

 

「ミア、たびたびごめんね。ジェノの回復よろしく!」

「うん。分かった」

 

 そうして擬似弾幕ごっこを終わらせた私は、地面に座って休憩している2人の元に向かい、昨日買った魔法カードを渡した。

 

「これは昨日買った……まさか、フランさん俺たちも遂に」

「そう! 今から貴方たちに必殺技『スペルカード』の会得方法を教えるね。まずは頭のなかで技を考えて、しっかり決まったら魔方陣を書いてその真ん中にカードを置いて、最後に自分の魔力を入れれば契約完了、スペルカードが完成するの! やってみて」

 

 私がそう言うと、2人は少し考え込んだ後すぐに魔方陣を書き始め、カードを真ん中に置いて、魔力を入れ始めた。

 徐々にカードが発光し始め、そして一瞬眩い閃光が走る。

 

「……おぉぉ!!」

「これが、スペルカード……」

 

 どうやら上手く行ったようなので、気になって見てみた。

 ジェノは『炎槍 イグニスランス』と言う小さい火の槍を雨のように上空の魔方陣から降らせるスペルカードのようだ。完全にマスターすればとんでもない強さになりそうな奴だろう。

 

 シルフィオは『風霊 インテグレイズシルフ』と言う、風の精霊を召喚して風を纏う弾幕を嵐のような激しさで放つスペルカードが出来た。鍛えてマスターすればジェノの奴よりも強くなる可能性を秘めている。

 

 そんな事を考えていた時、向こうの方からゴブリンが近づいて来るのが見えた。

 2人も気づいたようで、戦闘準備を始めた。

 

「あ、ちょうど今にも俺たちを襲おうとしているゴブリンが7体も来たから、早速試し撃ちしてみよう。シルフィオさん」

「そうですね」

 

 そうして、2人は早速スペルカードをゴブリンに向けて使用した。結果、哀れなゴブリンは攻撃するまもなく消し飛んでしまった。

 

「よし! 初めてだったけど、もっと頑張って練習して、魔法大会でも活躍できるように頑張るぞー!」

「そうですね。まだ5日残っているんですから、出来るだけフランさんから吸収して技をより多く得ましょう」

 

「フランさん、あと5日よろしくお願いします。ミアさんも回復お願いします!」

「もちろん!」

「もちろんです!」

 

 こうして大会が始まるまでの5日間、ひたすら弾幕とスペルカードの練習と擬似弾幕ごっこを繰り返す事となった。

 

 

 

 

 

 

 




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