フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、いかにもな輩を制圧する

「取り敢えず、オウラン学園の勝利になって良かった~」

「うん。あ、そう言えばフランちゃん、次のオウラン学園の試合っていつだっけ?」

「えっと……2時間後らしいよ。まあ3強の学園じゃないみたいだから、多分私たちが見ることはないとは思うけどね」

 

 さっきの試合を見終えた私たちは再び、会場警備の仕事に戻っていた。

 ジェノが弾幕とスペルカードを使うまで追い詰められた時は、あの2人が通ってる学園を追い詰める相手にいきなり初日で出会うとは、どれだけレベルの高い試合なんだと、もっとスペルカード作らせれば良かったかと思って焦ったが、何とか引き分けには持ち込めたし、しかも終わってみれば相手のドーピングが明るみに出て、無条件にオウラン学園側の勝利となっていた。

 

 つまり、ドーピングがあってジェノと互角という事だ。もしなければ、弾幕とスペルカードを使わずともジェノは負けることは……いや、そもそもジェノが出る前の最初の2人辺りで決着がついていただろう。

 

「じゃあ、3強の学園との戦闘が無い限りはずっと会場警備の仕事かな?」

「そう言う事になる……」

 

 ミアと話しながら会場をウロウロしていると、会場に来た観客らしき人に声をかけられた。

 

「あんたら、もしかして紅魔の少女様と蒼銀の天使様ではないか?」

「うん、まあ一部の人は私たちをそう呼ぶみたいだけど……」

「そうか……」

 

 そう言うと彼は土下座をして、私たちにお願いを言い始めた。

 何でも、友人が明らかにヤバい集団にリンチされているらしい。

 

「全然警備が通りかかってくれなくて、ようやくあんたらが……」

「説明は良いから、早く案内して!」

「あ、すまない。こっちだ!」

 

 当然お願いなどされなくても、そう言うトラブル等を解決したりするのが私たち2人が今受けている会場警備の仕事であるので、頼み込んできた人に案内を頼んで現場へと向かう。

 

 そうして案内された場所に着くと、かなり酷い状況になっていた。何人か勇敢にも止めようとした人が居たらしいが、全員半殺し以上の怪我を負っていたりしていた。彼の友人も半殺しにされながら防御に全力を注いでいたためか、死んではいなかったようだ。

 

「アイツらだけならまとめて排除出来たのに!」

 

 奴らの側には怪我をして動けない人が何人もいる。その人たちを無視して弾幕やスペルカード・この世界の魔法を使うのは簡単だが、そんな事をしては全くもって助けにきた意味がない。

 

(能力使うか……)

 

 考えた結果、ありとあらゆる物を破壊する程度の能力を活用する事を思い付く。もちろんアイツら本人に使えば簡単なんだけども、周囲に臓物を撒き散らしながら爆散すると言う、ある意味今のこの状況より遥かに酷い事になるのは確実なので、慎重にアイツらの持っている武具だけをまとめて破壊する。

 

 そうして出来た隙を突いて、人だかりを飛び越えてアイツらの輪の中心に着地し、怪我人を守るようにして対峙する。

 

「何だ貴様ぐぁ!」

「邪魔をぉ!」

 

 右手に『禁忌 レーヴァテイン』を発動させ、向かってきた奴らを殺さない程度に斬りつける。左手には畳んだ日傘を持ち、相手の攻撃を受け止める。

 そんな感じで戦うこと15分程、ヤバい集団を全員怪我人たちと同様に半殺しにして制圧する事に成功した。

 

 思わず日傘を武器に使ってしまったので、耐久性が高いとは言え流石にボロボロになっているかと思いきや、多少の傷はあるものの、日傘としての機能は失われていないようだ。もはやこれは武器なのではないかと思った。

 

「フランちゃん、怪我した人を連れてきて! わたしが治すから!」

「分かった!」

 

 戦いが終わった後すぐに、ミアから怪我した人を連れてきてと言われたので1人ずつ慎重に連れていき、リンチ事件の犯人以外に回復魔法をかけて治療してもらった。

 こうして今回は死者を出すことなく乗り切ることが出来たが、いかんせんリンチ事件があってから私たちに話が伝わるのが遅すぎたようで、精神にトラウマを植え付けられた人が居た。

 

「ミア、どうにかならない?」

「うーん……回復魔法は傷は癒せても、精神までは癒せないからね。こればかりはどうしようもないんだよ……」

 

 ミアは悔しそうにその人を見ていた。そうして小さく一言……

 

「わたしいつかきっと、精神を癒せる回復魔法を開発して見せるよ! フランちゃん」

「うん、頑張ってね!」

 

 そうして死なない程度に半殺しにしたヤバい集団を縛り上げ、警備隊長の元へと連れていった。その時に隊長がドン引きしていたが、ここまで連れてくるのに同じ方法を使っていて、隊長と同じ反応を何度も見た為特に気にすることもなく、再び会場警備の仕事に向かう。

 

 その後は特に何か起こることもなく、警備の仕事を終えて隊長の所に戻った。すると、隊長とその部下の人たちが物凄い疲れている顔をしていたので気になって聞いてみた。

 

「どうしたの隊長さん?」

「ああ、実はな……」

 

 どうやら私たちがヤバい集団を縛り上げて連れてきてから少し経った後、自分から罪を告白しに来た人たちが急激に増えたらしい。ご丁寧に、証拠まで添えて。

 

「皆こう言っていたぞ。『紅魔の少女に半殺しにされる前に来ました』とな」

「……まあ、手間が省けて良かったんじゃない?」

 

 こうして大会1日目の警備の仕事は、かなり濃い物となった。

 

 




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