フランの異世界召喚記   作:松雨

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他の小説が落ち着いてきた為、投稿頻度を上げます。後、決勝戦の話はもう一話あります。


フラン、魔法大会決勝戦を観戦する(その1)

 大会2日目、宿泊場所で昼食を取った私とミアは、昨日と同じく警備の仕事をしていた。

 

「昨日と違って本当平和だねフランちゃん」

「うん。たまに見かけるヤバい奴らも私と目が合うと逃げてくし、隊長の所に来る被害報告も昨日に比べてほぼ半分以下らしいからね。輩を半殺しにしたのが効いたのかな?」

 

 昨日はそれなりに絡まれたり目の前でトラブルが起きたりもしたが、今日は殆んど絡まれることも、トラブルもなかった。

 たまに来る輩は居たが、それらは謎の仮面集団に首根っこ掴まれて連行されていった。

 

「それにあの仮面たちって一体誰なんだろう? まあ、面倒な輩を連れてってくれるからいい人たちなんだろうけど」

「きっとこの町の自警団的な組織なんじゃないのかな?」

「なるほど」

 

 そうして何事もなく無事に2日目の仕事を終えることが出来た。帰り際に隊長に試合結果を聞いてみた所、オウラン学園は相手を全く寄せ付けずに圧勝したらしい。流石強豪だと思った。

 

 

 ――――――――――

 

 

 そして大会最終日、私とミアは強豪同士のオウラン学園とルーフィオレ学園の決勝戦を遅れたものの、観戦していた。

 

「相手が残り2人、こっちも残り2人。やはり強豪だけあって強いねフランちゃん」

「うん。だけど、ジェノは少なくともドーピングした相手に相討ちするくらいには強いし、それに勝った事があるシルフィオも居るからきっと大丈夫だとは思うけどね」

 

 不正した相手ではなく、強いのであれば本当の実力で強い相手であって欲しいと思いつつ、試合が始まるのを待つ。

 

『えっと……ただ今より、オウラン学園のジェノさんとルーフィオレ学園のアルゼさんの試合を始めます!』

 

 そうして司会者が試合開始の合図を出し、2人が身構える。まず先手を打ってきたのはアルゼの方だ。地面から噴水の様に水を噴き出させて攻撃する魔法『ウォータースプラッシャー』を発動させ、ジェノに攻撃の隙を与えさせない。

 

「あの時の戦闘を見させて貰った! お前は火属性魔法が得意らしいが、俺は水属性魔法が得意だ。これでそれは封じた。後は、弾幕と言う少し厄介なオリジナル魔法だな。幸い威力はそこまで高くないみたいだからなんとかなるか」

「はぁ……これだから1回戦目で使いたくなかったんだけどな……」

 

 そんな事を言いながら噴き出してくる水を、軽やかなステップで避け続けるジェノ。時折隙を見つけては火属性魔法をアルゼに対して放つも、水属性魔法で打ち消されてしまっていた。

 それにより弾幕による圧倒的手数の攻撃による戦闘に切り替え、少しでもダメージを稼ぐ方針に転換した。

 

「くっ……今回のオウラン学園の副将、かなり手強いみたいだ。攻撃がことごとく当たらん!」

「俺のお師匠様のお陰ですよ。彼女のスパルタ式訓練に比べればはっきり言ってそのくらいの弾幕であれば回避は出来ます」

「お師匠様? それってフランドール・スカーレットの事か?」

「ええ。あそこに居る金髪少女が俺のお師匠様です!」

 

 ジェノは私が見に来ている事に気づいたらしく、こちらを向いて手を振ってきたのでこっちも振り返した。てか、相手はどうやら私がジェノたちに魔法を教えた奴だと知っていたらしい。もしかしたらあの森の中での訓練風景を見られていたのかも知れない。

 

「……これは出し惜しみしている場合ではないな」

 

 そう言うと相手の魔力が途端に膨れ上がり、身体能力も上昇した。

 

「これが俺のフルパワーだ! 行くぞジェノぉーー!!」

「っ! 速い!」

 

 ジェノも対抗して魔力を開放し、凄絶な中級魔法と弾幕の撃ち合いが始まる。

 単体の威力では負けている弾幕を沢山集中させて相殺したり、こっそり何個か背後に忍ばせておいて不意打ちしたり等、相手が強豪であっても引けを取っていなかった。

 

「喰らえ……『炎槍 イグニスランス』!」

「スペルカードか! ならばこちらは……『マルチウォーター』!」

 

 そうして燃え盛る炎の槍と、複数の水の弾がぶつかり合って辺り一面に蒸気を撒き散らした。

 

「くっ……これで互角とは、なんて威力のあぁぁーー!!」

「よし! 当たった!」

 

 水蒸気で相手の目が眩んだ一瞬の隙を突き、炎の槍を相手の背後から激突させた。それを確認したジェノはすぐさま魔力を弾幕に注ぎ、一発の威力をかなり上げた物を大量に浴びせかけた。その結果、自分の魔力限界ギリギリでなんとか相手を気絶させる事に成功した。

 

『そこまで! この戦いの勝者はオウラン学園のジェノさんです!』

「よっしゃあーー! フランさん、俺やりましたよ!」

 

 こうしてこの試合を勝利で飾ることが出来たジェノ。

 15分の水分補給等の小休憩を挟んで、闘技場へと進む。

 

「っ! 何だこのプレッシャーは!?」

「ジェノくんだっけ? 流石フランに教えて貰っただけのことはあるね! ボク、今ワクワクしてるんだ!」

 

 そうしてジェノが見たのは、今までの敵とは桁が違うと言っても過言ではないプレッシャーを放つ、紅い髪の少女だった。

 

 

 

 




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