フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、魔法大会決勝戦を観戦する(その2)

「何か強そうな女の子が出てきたけど、大丈夫かな……」

「……勝ってくれれば嬉しいけどね」

 

 ジェノが次に戦う相手である、ルーフィオレ学園の大将『サラ』から発せられるプレッシャーに私は驚いた。あのドーピングした相手ですらそこまで強烈ではなかったからだ。

 アルゼとの戦いで消費した魔力はまだ回復しきっていないように感じた為、正直私は勝つのは厳しいと思った。

 だからと言ってジェノの方を応援しないつもりなど全くないし、むしろ大逆転してくれる事を望んでいる。

 

(ジェノ、頑張れ!)

 

 心の中でそう思っていると、司会者が大きく声を張り上げる。

 

『それでは、戦闘を開始してください!!』

 

 その合図と同時に2人は構えた。

 

「さあ、ジェノくん! お先にどうぞ」

「随分余裕ですね。では、お言葉に甘えて……『マルチフレア』」

 

 複数の火の弾に弾幕も加え、本格的な弾幕ごっこのような密度でサラに襲いかかるが……

 

「そうそう! 圧倒的な魔法戦闘、これがしたかったんだ!」

「……マジかよ」

 

 彼女は、面白い物を見つけた小さい子供の様にはしゃぎながら、その弾幕の嵐を()()()()()()()。私から見てあれは、弾幕初見の人が避けられるレベルではなかった。仮に何回か見た事があったとしてもかなり難しい。それを彼女は余裕かどうかは分からないものの、全て避けきってみせたのだ。

 ジェノは放心状態になっていたが、私があの立場だったらきっと同じようになっていただろう。

 

「凄い……」

「ジェノが万全状態ならまだ良かったけど、一戦やった後だしなぁ……」

 

 そう思いながら見ていると、ついにサラが動き出した。

 

「じゃあ、次はボクがいくね! 『マルチライトニング』」

「うぉっ!」

 

 他のマルチ系の魔法と同様、複数の雷撃を放つ雷属性中級魔法を発動させた彼女。しかし、それはもはや中級魔法とは思えなかった。

 

「なんて威力だよこれ!? 同じ中級魔法じゃ歯が立たない、ならば……『炎槍 イグニスランス』!」

 

 今出せる全力のイグニスランスを、雷撃を打ち消すべく放つジェノ。どうやら威力はほぼ互角の様で、激突した瞬間に互いがほぼ消滅し、たまたま軌道が逸れた炎槍がサラに被弾した。

 

「おぉぉ……それがスペルカードなのか! 凄い、凄いよそれ!」

「……」

 

 まるで堪えていない。いや……ダメージはあるようだけど、どう見ても軽い怪我程度である。

 それを見て私は思った。どう考えても万全状態ではないジェノに勝ち目は皆無であると。

 

「万全じゃなくてもこの威力……きっと万全だったらボクも危なかっただろうね」

 

 そう言うとサラは、ジェノに向かってとある魔法を放った。

 

「今度は万全の時に戦おうね!『グロウライトニング』」

「なっ……ぁ」

 

 瞬間、地面から猛烈な雷を伴う柱が何本も突き出した。その内の1つに当たってしまったジェノは、そのまま倒れてしまった。

 

 こうして、勝者はルーフィオレ学園のサラとなった。

 

「あ、ボクは休憩いらないよ! このまま次の人と戦わせて!」

 

 15分間の休憩時間が与えられたものの、彼女は体力に余裕があるらしく、そのまま次の試合に行くことを要望した。

 

『分かりました。それでは次の試合、オウラン学園の大将シルフィオさんと、ルーフィオレ学園の大将サラさんの試合を始めます!』

 

 そうしてすぐに、シルフィオとサラの試合が始まった。

 

「それじゃ、シルフィオ行くよ! 『マルチライトニング』」

「これ中級魔法ですよね……『風の舞』」

 

 襲い来る雷撃を、風と一体化したような動きをしているシルフィオは見事に回避し、反撃に風の上級魔法『バラージカノン』を放つ。

 

「っ! はぁ……はぁ……。流石に強豪学園の大将ともなると強いね。上級魔法をこうも易々使いこなせるなんて」

「それはどうも。しかし、これを受けても戦いに支障は無さそうですね。少し残念です」

 

 万全状態のジェノにすら勝てるシルフィオ。その彼女が万全状態であるなら、これほど心強い事はないであろう。

 

「まだ戦える。けど、君のその風魔法は強い。そう何発も喰らえばいくらボクでも危ないくらいにはね」

「そうですか」

 

 今のところ戦況はほぼ互角、機動力で優れているシルフィオが若干有利と言った所だろう。スペルカードもある為このまま行けば大丈夫だろうが、そうは都合よくいかなかった。

 

「雷柱出でよ……『グロウライトニング』!」

「ジェノを倒したあれですか。厄介な……」

 

 あの時よりも、更に激しい雷を纏った柱が地面から突き出してくる。出が早い魔法なのですぐに避けないと当たってしまうが、風の舞で機動力が上がっているシルフィオには回避は容易い。しかし、その時サラが隙をついて雷属性上級魔法『ピアシングサンダー』を発動、魔方陣から放たれる青白い雷がシルフィオを襲う。

 

「げほっげほっ……隙を作ってしまったようですね。反省です」

「これを耐えるの!? 凄いよ! こんな相手に出会うなんてボク、本当に大会に出て来て良かったぁ~」

 

 一瞬何であれ喰らってダメージそれだけなのかと驚いたが、シルフィオから訓練中に聞いた、彼女は元々風属性以外に雷属性に耐性があると言う事を思い出した私は、落ち着きを取り戻した。

 

「これはボクも最大級の魔法――」

「『風霊一体』!」

 

 シルフィオは最大の切り札を繰り出した。この後の1分で決着をつけるつもりなのだろう。

 

 サラはシルフィオの異変に気付き、すぐさま雷魔法攻撃を仕掛けてくるが……

 

「弾かれた!? ならば次は……あぁぁー!」

 

 さっき使ったばかりの魔法である『バラージカノン』が、猛スピードで飛んできてサラに豪快にぶつかる。吹き飛んで壁に叩きつけられた彼女に対してシルフィオは更に追撃を下す。

 

「もうすぐ限界が近い……だからこれで決着です!『風霊 インテグレイズシルフ』」

 

 風の精霊を召喚し、風を纏う弾幕を嵐のような激しさでサラに打ち付ける。更に自身も弾幕をこれでもかと浴びせかける。そうして風霊一体の効果が切れたその時、同時にサラが膝をついて宣言した。

 

「あーあ、負けちゃった。ボクもう動けないや……でも楽しかった! ありがとうシルフィオ、お陰で越えるべき目標が出来たよ」

「……それは嬉しい事です」

 

 そう言うシルフィオも、立って歩くのが限界位には魔力がない。結果的には辛勝と言った所だが、勝ちは勝ちである。

 

 こうしてこの試合の勝者はシルフィオに決まり、その時オウラン学園の優勝が確定した

 

 

 

 




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