フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、防衛戦に参加する

「うわぁ……これは凄い数だね」

「1000体は居ると思うよフランちゃん」

 

 魔物の大群が攻めてきていると言う方向の門の上から見てみたら予想を遥かに超える規模、場を埋め尽くさん限りの魔物がそこには居た。ゴブリンやオーク、それらの上位種が見た限りでは1番数が多そうだ。

 

 更に奥にはまだ私の知らない魔物がかなり沢山いて、そのどれもかなり強そうな感じが伝わってきた。

 

「嬢ちゃんら、よろしく頼むよ」

「は~い、頑張ります! ミア、捕まって!」

「え?」

 

 いちいち下に降りてから門を通っていくのは時間の無駄であると思ったので、上から飛び降りる。ただ、普通に飛び降りて平気だと怪しさ満点なので、持っていた魔導書に書いてあった風属性魔法を唱えて、衝撃を緩和しているかのように見せる。

 

「ゲホッゴホッ……ごめんミア。唱える魔法間違えてた」

「まあ、無事に着地できたから良いんじゃない?」

「それもそうだね」

 

 そして門から出た冒険者たちと共に向かってくる魔物を迎え撃った。

 先に襲いかかって来たのはゴブリンやオークと言った弱めな魔物だった。しかし、数が桁違いに多い為油断は出来ない。

 

「手加減は禁物だね……『禁忌 レーヴァテイン』!」

 

 グネグネした棒に燃え盛る炎を纏わせ、私の周囲を囲むようにしている魔物たちを円形に凪ぎ払い、真っ二つにした。それと同時に弾幕が拡散、着弾した弱い敵は燃え上がって灰になる。

 

「フランちゃん、冒険者の人にも当たってるからもう少し手加減してくれたら嬉しいな……」

「嘘!? ご、ごめんなさい!」

「ハハハ、気にすんなフラン嬢! ミア嬢の回復魔法で大したことないからな。それにしてもとんでもない威力の炎剣だ。凄いぞ!」

 

 取り敢えず、ミアのお陰で冒険者に大したダメージが残らずにすんで助かった。やはり彼女と一緒に冒険していて良かったと改めて思う。

 

 その後、面倒ではあるが1体ずつレーヴァテインで斬って燃やしつつ、囲まれている冒険者をスペルカードで援護したりしながら立ち回る。

 ただ、これだけ魔物を殺しているにも関わらず一向に数が減っている気配がない。むしろ増えてる気がするので、側に居た冒険者に私の考えた事を伝える為に戦いながら声をかけた。

 

「あの! 今から初披露の広範囲殲滅魔法を唱えるので、声をかけて退避するように皆に伝えていただけませんか?」

「よーし分かった! 時間が掛かりそうだからちょっと耐えててくれよ」

 

 私が声をかけた冒険者は危険を省みず了承してくれた。もちろん、ミアの自動回復魔法をかけるのを忘れない。

 

「さて、それまでこの場で耐えるか……っ!」

 

 そんな事をしていたら後ろから何かに斬られた感じがした。振り向くと、鋭い黒爪を持ったかなり大きな狼が私を喰らおうと襲いかかって来たのが見えた。

 

「油断した……そらっ!」

 

 バックステップで噛み付き攻撃を避け、炎剣で斬りつけるが黒い爪で防御される。どうやらかなり強力な魔物でなおかつ火属性にも強いらしい。

 

「ミア! コイツ強いから少し距離を取ってて!」

「分かった。フランちゃん、この魔物Bランクの『エンロウ』って奴だから気をつけて!」

「エンロウね。分かった、ありがとう!」

 

 すると、エンロウと呼ばれた魔物がミアに対して襲いかかって行ったのを見たので、私は本気の速度で前に回り込んで炎剣で黒爪を防いで弾き飛ばす。

 

「『禁忌 カゴメカゴメ』!」

 

 弾き飛んだ所を緑色の弾幕で包囲、大玉の弾幕を発射したのをトリガーにして緑色の弾幕もエンロウに殺到し、土煙を上げる。しかし、まだ起き上がるしぶとさを見せたので通常弾幕の嵐を止めに叩き込み、おまけで大玉弾幕を数発放った。その結果、何とか討伐に成功した。

 

 その後はミアの周りに居る魔物を掃討しながら耐えていると……

 

「おーい! 周囲から避難させたぞ。やってくれぇ!」

「どうもありがとう!」

 

 ちょうど良いタイミングで避難が完了したらしく、冒険者の人に声をかけられたので、そこで私は準備を始めた。魔導書を詠みながらの魔法の為かなり隙が出来るが、練習する機会が無かったので仕方ない。と言うか、色々な理由から不可能と言っても過言ではない。

 

「えっと……天より我が敵を滅す裁きの星よ来たりて、その威光を見せよ……『焔星落とし(コメトルフェン)』!」

 

 私がそう唱えてから30秒後、3つの燃え盛る隕石が魔物の大群の居る方に高速で落ちていった。それは地面に落ちると大爆発を起こし、約半分の魔物を消し飛ばす事に成功した。

 

「っ! はぁ……はぁ……凄い魔力の消費量だった。ぶっつけ本番はやっぱりキツいね」

 

 今の魔法は錬度不足を無理矢理魔力で補ったが為、本来の威力を発揮出来なかった上に、魔力の消費量もかなり多くなってしまった。それでもかなりの破壊力だったのを見ると、魔導書に書いてあった通り、土と火の複合最上級魔法だと言うのが分かる。

 

「さて、まだ沢山居るから行かな――」

 

 そうして他の魔物を討伐しようと動こうとした瞬間、背後からかなり強いプレッシャーを感じたので振り向くと、剣を持ちながら超高速で突進してくる同族が目の前に居た。避けられずにまともに刺され、ルーバヌ砦の壁に叩きつけられてしまった。

 

 

 




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