フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、パーティー名を決める

「フランちゃん、何処に行くの?」

「エリュカルのギルドだよ。依頼を受けに行こうと思ってさ」

「討伐系の依頼かな?」

「いや、それ以外の系統の依頼を受ける予定だよ。例えば採取とか害虫・害獣駆除とか、町の人たちの身近な困り事の解決とかね」

 

 ヴァーミラと契りを結んで姉妹となった、綺麗な月が出ていた昨日の夜から時間が経って翌日、私たち3人はこの町のギルドに向かっていた。流石の私も毎回討伐系の依頼だとやる気の問題が……と言うか正直言って疲れかけてきている。

 

 このままだと冒険の旅に対するモチベーションにまで影響が出てしまうかもしれない為、たまには息抜きも兼ねて討伐以外の依頼を受けてみようと思ったからだ。

 

「もしかして、私と姉様のイメージを良い方向に持っていこうとしてるの?」

「まあ、そんな感じ。王国の時みたいな事になったら流石に面倒臭いし。だったらそうならない内に依頼を沢山こなして吸血鬼のイメージを良くしようと、それが不可能なら私とヴァーミラだけでもさ。レオネだって探しやすくなりそうだし」

「なるほど、確かにその通りだね」

 

 とは言っても、ギルドに行った所でそう都合良く受けたい依頼があるとも限らない。もし何も受けたい依頼がなかったとしたら、今日は町の観光でもしようかな。

 

 そんな事を考えながら歩いていると、目的のギルドの建物が見えてきた。カーテンド王国には居なかった入り口前の警備兵士が居ると言う事は、治安の面でノストライト皇国はカーテンド王国に劣っていると言う事なのか、それとも単に王国の防犯意識が低いだけなのか、もしくは何か事件があった後なのかな……?

 

「こんにちは! あの、受けて欲しいけど誰も受けたがらなくて困ってる依頼とかない?」

「あ、昨日の吸血鬼さん達ですか。ありますよ。沢山溜まりすぎて処理仕切れなくなってきそうなんで是非消化して頂けると助かります」

 

 そう言って分厚い依頼書の束が私に手渡された。確かに彼女の言う通り、この量は処理しきれなくなりそうと言うのも納得だ。

 

「フラン姉様、大半が何処かの雑用とか害虫駆除に留守番とかだし、受けたい依頼が多いけどどれにするの?」

「う~ん……て言うか、留守番とか話し相手とかそんなのまで受けてたら処理しきれなくなるのも当たり前だよね」

「フランちゃん、もはやここのギルド便利屋と化している気がするよ、わたし」

「あはは……ですよねぇ。うちのギルドマスターの方針で、何でもかんでも受けるって事になってるんですけど、こっちの身にもなってくださいよって話です」

 

 うん。何だか大変そうだとは思ったけど私にはどうすることも出来ないから、心の中で仕事がこれ以上増えないように祈りながら依頼書の束を見る。

 

 話し相手と言ったもの以外で1番多かったのは、排水溝や建物の屋根裏等と言った場所に良く出没するらしいネズミや各種害虫、まれに潜んでいる魔物や犯罪者の排除と言う依頼だった。これならきっと目的達成に1歩近付けるし、場所に行くまでに町並みを見て歩けるからリラックスもある程度は出来ると踏んだので、受ける事にした。

 

「じゃあこれでお願い」

「分かりました。ありがとうございます!」

 

 そうして特に良く出るらしい場所を記した地図と建物に入る際に見せることになるかもしれないギルドの許可証の2つを貰い、出発した。

 

 しかし、場所が場所なので破壊力のある魔法や技は使えないのは痛い。見つけ次第コツコツ捕まえて排除しなければならない為、1つの場所に掛かる時間が多くなってしまうからだ。私が能力を使って見つけ次第その場で排除するのも考えたけど、証拠が残らないから却下した。

 

「犯罪者が潜んでるって……出来れば出会いたくないね、姉様」

「まあね。でも、出て来ちゃったら仕方ないけど」

「とにかく、1番面倒な場所に……あ、居た!」

 

 ミアが指を差した先に、排除対象のネズミが数匹何かに集っているのを見た為早速捕まえようと動こうとした時、ヴァーミラに止められた。

 

「私がやるよ。見てて」

 

 そう言うと、ヴァーミラはあのネズミたちをじっと見つめてから……

 

『凍って』

 

 そう喋った瞬間、あのネズミたちがバッタリ倒れて動かなくなったのを私とミアが目撃した。良く見てみると、まるで彫刻のように綺麗な形をしたまま凍りついていた。

 

「どう? これなら比較的楽に排除出来るでしょ?」

「ヴァーミラ、こんな能力を持ってたの!? 凄いじゃん!」

 

 そこからはヴァーミラの独壇場で、ネズミや各種害虫を見つけ次第能力で対象だけ凍るように仕向けるのをひたすら繰り返した結果、半日も経たない内に1ヶ所を完全に潰す事に成功したけど、能力の使いすぎで彼女が動けなくなってしまった。その為今日はここまでにして、背負って帰る事にした。

 

「ごめんね。今日は私、殆んど役に立たなかったね」

「わたしに至ってはただ見てただけっていう」

「姉様もミアも、気にしないで。皆にそれぞれ役割があって、今回はそれが私の役目だっただけ……」

 

 そんな会話をしていると、今日ネズミや各種害虫の排除をした建物のオーナーさんが話し掛けてきた。

 

「お疲れ様でした。わざわざこんな事に冒険者様方の手を煩わせたのは申し訳ないです。それに、来てくださった貴女方の内2人が吸血鬼だとは、驚きました」

「やっぱり? まあ、でも役に立ったみたいで良かった。ヴァーミラのお陰で早く済んだし」

「なるほど、本当にありがとうございました。えっと……何て言う冒険団名でしたっけ?」

「あっ……」

 

 そう言えば、冒険団名なんて考えてなかった事に今更気づいた。さてどうしようかと、少し考えて咄嗟に思い付いた名前を言った。

 

「『紅珀(こうはく)の月』だよ! 咄嗟に今考えたんだけどね……」

「あ、そうだったんですね」

 

 こうして、今日の依頼では何事もなく普通に終えることが出来た。

 




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