フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、強盗犯の犯行を阻止する

「えっと……カフィール6束持ってきました」

「はい、確かに受け取りました。かなり良好な状態で持ってきてもらえたので少し報酬を上乗せして銀貨3枚となります」

 

 あんなことがあって若干気まずい雰囲気の中、持ってきたカフィールの束を受付の人に渡し、報酬の銀貨3枚をもらった。初めての依頼にしては大変な思いをしたものの、何とか今日中には依頼達成が出来たので良かった。

 

 そうしてギルドを出ようとした時、夕方だったので宿を見つけなければいけないことを思い出したので、入り口近くに居た冒険者に聞いてみる。

 吸血鬼は本来、今から活動の時間なんだけどそれでは冒険を楽しめないと判断した私は、人間の生活サイクルに合わせることに決めた。

 

「あの、もう夕方だから宿に泊まりたいけど私、ここに来たばかりで場所を知らないの。どこかにいい宿あったら教えてくれる?」

「……あ、すまん。このギルドの2階は簡易的だが、宿泊施設になってるぞ。狭いし食事は出ないが、銀貨1枚で1泊と言う安さで泊まれる。もし泊まるならギルドの受付に声をかけてくれ。それと、ここの真向かいに位置する宿では、3食の食事付きで部屋も広いが、1泊金貨2枚と銀貨3枚とかなり高めになってるから、こっちはお金に余裕があるときしか泊まれないが」

「なるほど……じゃあギルド2階の所に泊まろうかな。私1人だけだし、そんなに広くなくてもいいから。あ、教えてくれてありがとうおじさん!」

「え? ああ……」

 

 お礼を言うと、冒険者のおじさんは緊張感が解けてホッとしていた。そう言えば宿の場所を聞いた時少し固まっていたけど、もしかしてヤバい奴扱いされてる? まあ、あの気絶した冒険者2人の話と私を見た時の様子からそう判断されたとしても仕方ないか。

 

 その後、言われた通りに受付の人に声を掛けて、宿泊料金である銀貨1枚を支払って2階にある個室へと向かい、扉を開けて中に入る。

 部屋の中は清掃がきちんとされていて綺麗で、窓から外の景色も見える為雰囲気は結構良い。唯一気になったおじさんから言われた部屋の狭さは、1人で泊まる私には全く問題ない程度の物だった。

 

「今日1日だけで色々あったんだからきっと明日も明後日も楽しいことあるんだろうなぁ~。幻想郷に帰れたらこの世界でやった冒険とかの話をお姉さまたちにしよう!」

 

 明日以降に起こるであろう楽しい出来事を想像しつつ、夕日が沈んでから少しして私も眠りについた。

 

 そうして次の日の朝、窓から差し込んできた日光によるヒリヒリとした痛みと共に目が覚めた。身体を見てみると、少しだけではあったが煙が出ていた。

 

「危なっ!」

 

 日光を浴び、身体から煙を出している所を誰かに見られたりしなくて良かった。大したダメージではないので、直接浴びない場所に少しいれば今の日光で受けたダメージの回復は容易だ。

 

 3分位休んだ所で、この部屋を出て1階の依頼受付エリアに降り、今日も採取依頼を受けようと思ったのでクエストボードに向かう。

 

「うーん……ないなぁ」

 

 どれだけボードを良く見てみても私のランクで受けれそうな依頼が1つもない。念のために受付の人に採取系の依頼がないか聞いてみたが、そこでもないと言われた。

 このままじっとしているのも退屈で仕方ないので外に出て、王都を見て回ることにした。

 

「そう言えば朝ごはんまだ食べてなかった……飲食出来るお店ないかな?」

 

 20分程捜し回っていると、デカい木の看板に『ワイバーンレストラン』と書かれていた店を見つけたどうやらここはワイバーンと呼ばれる魔物の肉をメインに提供しているところのようだ。

 という事で私は、この店のメイン料理を食べる為に店に入る。

 

「いらっしゃいませ~」

「早速で悪いけど、ワイバーンのお肉を食べたいからお願い!」

「分かりました」

 

 どんな感じで出てくるのかを楽しみに待つこと30分、美味しそうな香りを漂わせる肉料理が出されてきた。

 

「お待たせしました。ワイバーンのステーキです」

「ありがとう!」

 

 運ばれてきたワイバーンのステーキを口の中に入れ、良く噛みしめて食べる。とても柔らかく、溢れてくる肉汁も相まって感動を覚える位の美味しさだ。

 

 料理を食べ終えた後、受付の店員にステーキ代である銅貨8枚を支払って店を出発した。

 

 さて次はどこに行こうかな。そんな事を考えながら歩いていると、とあるお店らしき建物の前になにやら人だかりが出来ているのが見えた。騎士や杖を持った魔導師と言った人たちもその場に集まっていたので、これはただ事ではなさそうだ。

 

「ザルソウ、やっと見つけましたよ。その人を離しなさい! 一体何回強盗の罪を犯せば気がすむのですか!?」

「……1つ聞くが、離せと言われて離す馬鹿がどこに居るんだ? え?」

「くっ……」

 

 どうやらザルソウと言う男が、女の人を首にナイフを当てて人質に取っていると言う様子だった。

 それを見た私は、奴らが良く見える位置まで移動して様子を伺う。こういう場合は下手に行動を起こすと犯人を刺激してしまい、最悪の事態となってしまうからだ。

 

 周りの人が様子を伺っている間、犯人もこちらの出方を伺っている為か、膠着状態に陥ってしまった。

 

 そして10分後、しびれを切らした魔導師の1人がザルソウに向けて光の弾を放ち、人質を助けようとしたが……

 

「ふん!」

 

 彼のその声と共に発生した風の塊によって光弾が打ち消されてしまい、人質を助けることが出来なかった。その光景を見た私はすぐさま起こりそうな事を予想し、ザルソウの持つナイフをターゲットにありとあらゆる物を破壊する程度の能力の発動準備に入る。

 

「俺の要求を受け入れていればこの女は助かったろうに……残念だ」

 

(来る!)

 

 その発言を聞いた私はすぐさまありとあらゆる物を破壊する程度の能力を発動させた。

 

「きゅっとして……ドカーン!!」

 

 ナイフに向けた右手を握りしめた瞬間、ザルソウの持っていたナイフが粉々に砕けて崩壊し、女の人を傷つけることはなかった。

 

「……は?」

「何が起きたか知らないが、今だ! 確保ぉー!!」

 

 そうして周りに待機していた魔導師や騎士の人たちが一斉に襲いかかり、ザルソウを捕らえて女の人を救出する事に成功、最悪の事態を防ぐことに成功した。

 

「ふぅ……良かったぁ~」

 

 全て終わったのを見届けた私は、すぐにこの場を離れて王都歩きを再開した。

 

 

 




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