フランの異世界召喚記   作:松雨

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後半、別の人物視点からの話になっています。


フラン、氷炎の中で舞う

「ここが多目的円形会館……これなら本格的な空中戦が楽しめそうだね」

「確か、魔法やその他の攻撃が会場外に飛び出すのを防ぐ為に結界が張られてるんだよね。確かにフラン姉様の言う通り、町中で空中戦を楽しむにはもってこい……」

 

 ギルドの魔法練習場から出発してから30分、魔法祭が開かれる会場に到着した。

 

 3週間掛けて良い感じに仕上がった弾幕ごっこを、大勢の観客の前で披露する事になるのだと思うと何だか緊張するけど、それ以上に楽しみとワクワクの方が上回っている。それだけではなく他の人の魔法を見たり、周辺の店が出張屋台を出したりするらしく、そこの料理も楽しめたりもするとの事なのでかなり飽きにくいように考えられているのも、この魔法祭の良い所だと思う。

 

「えっと……確か魔法を披露する人の受付はあそこだったね姉様」

「うん。あ、そう言えばミアはどうするの? 観客席で見てる?」

「いや、わたしも出るよ。ちょうど開発中の回復魔法が良い感じな所まで来たから。とは言え、まだまだ完成とは言い難いんだけど」

「なるほど。でも、新開発中の魔法を披露しても大丈夫なの? 色々問題が起きそうだけど」

「大丈夫だよフランちゃん。色々な出来事を想定して手を打ってあるから」

 

 どうやら、ミアも新開発中の回復魔法が様になって良い感じの所まで来たらしく、それの披露をしたいらしい。完成してからの方が安心な気もするけど、本人が良いなら良いのかな?

 

 そんな事を考えながら、3人で受け付けを済ませた。私とヴァーミラは試合形式での魔法対決の為、1番最後の出場となるらしい。何でも、試合形式で申し込んできた人は最後の方に回される決まりがあり、しかも今日は私とヴァーミラだけだからとの事。多分、盛り上がる試合形式の魔法対決は最後まで取っておこうと言う、運営の考えなのだろう。ちなみにミアは私たちの1つ前である。

 

「なるほどね。じゃあ随分時間がありそうだから、他の人の発表を見ながら屋台の食べ歩きでもする?」

「まあ、そうなるよね。当然、わたしはそれでいいよ」

「右に同じく」

 

 出番が来るまでかなりの時間暇をもて余す事になる為、それまでどうするかも話し合った結果、無難に他の人の発表を見てから屋台の料理の食べ歩きをする方向に話はまとまった。

 

 と言う事でまずは観客席に移動し、他の人の発表がされているのを見る。流石、魔導師協会や守備隊にギルドから誘いが来ることもあるイベントだけあり、楽しむための魔法祭とは言え腕の立つ魔導師だらけである。中級魔法が飛び交うのは当たり前、上級魔法を扱える人ですらそれなりに居る。

 

「ねえ、これって本当にただの楽しむ為のお祭りなんだよね? 結構レベル高くない? 姉様」

「それほど誘いが来て欲しいんでしょ、多分ね。まあでも、皆楽しそうな表情してるからプレッシャーにはなってなさそう」

「なるほど」

 

 そんな話をしながら中盤辺りまで皆の披露する魔法を見た所で、ちょうど30分の休憩時間に入った。なので、そのタイミングで観客席を立って屋台の立つ場所へと向かう。

 

 観客の人たちも私たちと同じ考えで来ているらしく、屋台エリアは多種多様の種族の人でごった返していた。当然、そんな場所で羽を展開していたら邪魔なことこの上ない為、収納する。

 

「これ、休憩時間内に観客席に戻れるのかなぁ」

「フランちゃん、ほぼ全部の屋台に1時間待ちって札が立ってるよ。何か2時間待ちって所も」

「うわぁ……流石に2時間は待てないね。私たちの出番が近いから」

「じゃあ適当に1時間待ちの所に並んどこう。どれも知らない食べ物だらけだから……」

 

 そうして適当な屋台の列に並び、魔法談義に花を咲かせながら待つこと1時間以上、ようやく料理を得る事が出来た。想像以上に待ち時間が長く、待たないで食べられる料理を出す屋台に並ぶのは諦め、出場する人たちの待機場所に向かった。

 

「え、次はミアの番!? もしかして出番が繰り上げられたのかな? 危ない危ない」

「屋台から戻ってきたらいきなり出番が近いって……まあ、頑張るよ」

 

 少し待つと、ミアが呼ばれてスタッフさんに誘導されて待機場所から出ていった。どんな回復魔法を開発しているのか見たかったけど、ここからではまともに見えない上に私たちの出番が次である為、観客席から見ることも不可能だった。

 

 待つこと15分、待機場所にフラフラになりながらミアが現れてきた。話を聞くと、新開発中の回復魔法は消費魔力の調整がまだ出来ていないらしく、使った瞬間に高確率でこうなるらしい。

 

「お疲れ様、ミア」

「……うん。フランちゃんもヴァーミラちゃんも次だよ。頑張ってね」

「「もちろん!」」

 

 こうして、遂に私とヴァーミラの出番がやって来た為、空中戦に備えて羽を展開してから会場へと向かっていった。

 

 

 

 ――――――――――

「ピリアームさん、良いんですか? ギルドマスターの仕事放り出しても」

「問題ありません。最優先事項は全て終わらせてきましたからね。そんな事よりも、次で最後の発表ですよ。何でも、今回の魔法祭で唯一試合形式の披露になるみたいですから、楽しみですね!」

「あはは……好きですもんね、そう言う派手な魔法が披露されるのが」

 

 エリュカルのギルドマスターの助手を勤めている僕は今、彼女に半ば強制的に魔法祭に連れていかれていた。まあ、毎年の事なんでもう慣れたけど。

 

 それに、試合形式の披露と言うのは毎年行われる魔法祭の中でも珍しい為、正直僕も気にはなっている。今回に限って言えばピリアームさんに感謝しないと。

 

「え~。それでは本年の魔法祭最終発表となります、金髪で紅い瞳の吸血鬼フランドール、黒髪で琥珀色の瞳のヴァーミラ、彼女たち姉妹による試合形式での魔法戦闘です~」

 

 心の中で次の発表の事を考えていると、司会の人がそう言った。それにしても、吸血鬼の姉妹が出るとはこれまた非常に珍しい……と言うか初めてじゃないか?

 そう考えていると、司会の人が言う吸血鬼姉妹が登場した。瞬間、会場は大いに盛り上がった。余程派手な魔法を披露してくれそうだから、皆期待しているのだろう。

 

 すると、早速彼女達2人は空中に飛び上がって魔法の披露を開始した。初っぱなから中級魔法の撃ち合いとは、流石吸血鬼と言った所か。

 

「やっぱり避けるよね! じゃあ本番、行くよー!」

 

 金髪の方の吸血鬼フランドールがそう言った瞬間、彼女の周囲に綺麗な色をした無数の光弾が現れ、それが嵐のように黒髪の吸血鬼ヴァーミラに襲いかかる。と言うか、中級魔法の撃ち合いはウォーミングアップだったと言う事実に驚いた。仮に並の実力者が彼女達と戦えば、お遊びだったとしても負けるだろう。

 

 そう考えながら見ていると、ヴァーミラがあの光弾の嵐を見事に飛びながら回避しているのを見た。あれを避けるとか化け物かな?

 

「姉様、今度はこちらから行くよ! 『天氷 降りし氷星』」

「早速来たね!『禁忌 レーヴァテイン』!」

 

 次はヴァーミラの反撃だ。彼女がそう唱えると、上空の結界ギリギリに展開された魔方陣から猛烈な冷気を放つ氷の弾が落下し、フランドールに襲いかかる。結界越しに伝わってくる冷気を放つ魔法とか、僕が食らえば冗談抜きで死ぬだろう。しかし、そこは吸血鬼。かなりの高温の炎を纏う剣を使い、迎え撃つか避けるかして全て捌ききった。

 

「ならば『禁弾 スターボウブレイク』、これならどう!?」

 

 今度はフランドールが、自身の羽に付いている綺麗な石を象ったカラフルな光弾を打ち上げてから降らせる。それに込められた魔力・速度・手数は先程の物を大きく上回っている。流石に避けきれなかったのか、何発か被弾したようだ。

 

 その後も氷属性魔法と火属性魔法に加え、光弾が飛び交う迫力のある魔法戦闘が繰り広げられる。それを見る限り、フランドールの方が優勢のようだ。

 

「ああ、やはり姉様は強いなぁ。じゃあ、これで最後のスペルカード……『神滅 ミストルテイン』」

 

 どうやらこれが最後の魔法のようだ。蒼く輝く長弓を生成、そこから紅い稲妻を纏った蒼い矢をつがえて、そして放つ。これには上級魔法を扱えるピリアームさんもびっくりしている。

 対するフランドールも、持っていた炎剣の炎を増大させて迎え撃つ。

 

 そうして両者一歩も引かない接戦が続いた後、不意に蒼い矢が爆発を起こして辺り一体が蒸気に包まれ、何も見えなくなる。

 

「っ! 姉様が……いない!?」

「後ろだよ!」

 

 蒸気が消えた後、背後に現れたフランドールが光の弾を叩き込んで吹き飛ばし、飛ばされたヴァーミラは地面に勢いよく叩きつけられた。今ので彼女の体力が尽きてしまったらしく、フランドールに対して降参の意を表し、これにて試合形式の披露は終了した。

 

 




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