フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、ミアの師匠の故郷へと出発する

 魔法祭での戦闘の後、魔力を急に多く使った事による疲れを癒す為に宿へと戻る……筈だったのだけど、ひっきりなしに魔導師や何やってるのかよく分からない人に話し掛けられていた。会場からは出られたものの、休憩場所まで追い掛けられては困るので色々な所を逃げ回り、未だに宿に到着すら出来ていなかった。

 

「あ~。私たち、好きで冒険者やってるからそう言うのは受け付けてないんだよね」

「そうそう。他を当たって」

 

 私たちに声を掛けて来る人の目的の大半は、何しているか不明な魔導師組織への勧誘だ。確かに、あの戦いで目立っていたのは分かるけど、どうして怪しい雰囲気を醸し出している人しか来ないのか。それだったら誰も来ずにいてくれた方が、こんな面倒な対応をしなくて良かったのに。

 

 そう考えていると、私たちが疲れていて油断した一瞬の隙を突かれたのか、魔力を帯びた金属の腕輪をいつの間にか付けられていた。

 

「何だろう、これ?」

「姉様、これ付けられてから力が出しにくくなった……」

 

 周りを見渡してみると、ゲスい笑顔を見せながらこちらへ近づいてくる剣士2人に魔導師が3人が居た。

 

「貴方たち、私に何か用事? 疲れてるから手短にお願い」

「へへ、じゃあ1つだけ。俺達と一緒に来てもらおう。それだけだ」

「ふ~ん。断らせてもらうよ」

「まあ、お前らの意思など関係ない。無理矢理にでも連れていくからな」

「その封魔の腕輪を付けられている上に、魔法祭での戦闘で魔力を消耗している貴女たちに勝ち目は――」

 

 余りにも隙だらけだったので私は能力を使って自分とヴァーミラの腕輪を破壊し、ある魔法を唱えるべく魔導書を開く。

 

「「「へ!?」」」

「面倒だから、一気に行くよ!『チェーンパラライズ』!」

 

 こんな場所で弾幕や破壊力のある魔法を放つ訳にはいかない。なので、比較的安全な当たった対象から複数に連鎖する麻痺魔法を唱える。

 

 下手に放てば仲間や関係のない人にも連鎖して当たってしまう為、細心の注意を払って発動させる。そうして出た鎖状の光が5人に連鎖、見事に麻痺の状態異常を与えて全員の動きを完全に止める事に成功した。

 

「お掃除完了っと……さてどうしようか、この人たち」

「姉様、放置しとこ? 誰かが見つけてくれるでしょ、きっと」

「うん、そうだね。あ、でもその前に一応……」

 

 これだけではまた寝込みを襲われるとかしてしまうかもしれない。なので、多少手荒でも全力で威圧してもう2度と来ないようにさせようと、地面に倒れて動けない彼らの内の1人の元に歩いて至近距離まで顔を近づけ、獲物を見つけたかのような雰囲気を醸し出しながら一言だけ言う。

 

「次来たら、どうなるか分からないよ? もしかしたら貴方たちに『本気』を出す事になるかもしれないから覚悟しておいてね……フフッ」

「ひっ……あぁ……」

「分かった、分かったから殺すのは止めてくれ!」

 

 魔法祭でのヴァーミラとの戦いを見ていたからなのか私のこの発言は効果覿面だったみたいで、襲い掛かって来た集団の大半は動けないながらも必死に謝りながら逃げようとしていた。まあ、これでひとまずは大丈夫かな。

 

 こうして、動けない魔導師と剣士の集団に脅しを掛けてまた来ないように確約させた私は、彼らを放置したままミアとヴァーミラを連れてこの場を後にした。

 

「これでやっと宿に行って休めるよ……はぁ」

「お疲れ、姉様。次は私にもやらせて」

「良いけど、やっぱりこう言うのは無い方が良いよ。面倒だし」

 

 そんな会話をしながら宿へと向かい、この宿自慢の大浴場でこの世界に来てから初めての入浴をする。今まで汚れは全て魔法で綺麗にしていたのだけど、今回の様に戦闘等で疲れきった身体を癒すには入浴がちょうど良いからだ。

 

「あぁ~やっぱりいいね、これ。傷を癒すのは自然治癒か回復魔法で良いけど、酷い疲れを癒す手段としては入浴してからの睡眠に勝る物はないよ」

「そうだよねフランちゃん……あ、ヴァーミラちゃんこんな所で寝ちゃダメだよ!」

「……」

 

 大浴場の心地よい暖かさに寝てしまったヴァーミラを上手い事起こし、上がった後はその余韻が残っている間にベッドに寝転がり、そのまま眠りについた。

 

 

 そして翌日の早朝、目を覚ました私たちはミロミスへの行き方を聞く為、ギルドへ向かったら何だか若干騒がしい。またトラブルだったらいい加減嫌だなと思っていると、こちらに気付いたエルフのギルドマスターが話し掛けてきた。

 

「あ、フランドールさん。貴女率いるパーティーの方々なら大丈夫だと思うんですが、一応注意喚起を。実はですね……」

 

 彼女曰く、この町に魔法祭に参加していた魔導師を狙い、無理矢理組織の一員にする『マジスト』と呼ばれる違法な組織が現れたらしい。

 

「しかし幸いな事に、この町に現れた組織のメンバーは計画を実行する前に裏路地で全員、()()()()()()()()()()()()ので被害者はまだ居ない様で……後、その内の1人は発狂していたらしいです。何があったんでしょうね」

「……あはは」

「ああ……心当たりありすぎる」

「フランちゃん、それって昨日の……」

 

 ミアの言う通り、昨日私が麻痺させて放置した人たちだろう。昨日出会った時から怪しい集団だと思っていたけど、まさか違法な集団だったとは。これは面倒な人たちに目をつけられてしまった、またトラブルなのかと心の中で思っていると、その様子を見たギルドマスターが質問してきた。

 

「どうしました? もしかして、麻痺させて放置したのって……」

「うん。私」

「では、1人が発狂していたのも?」

「多分、それも私が原因だと思う」

「……まあとにかく、そのお陰で計画は阻止出来たのですからお手柄でした」

 

 そんな感じで若干引きぎみのギルドマスターとの会話中、危うく言いそびれそうになった本来の目的であるミロミスへの行き方を彼女に聞いた。すると、ギルドの2つ隣にある白い屋根の建物の中に居る人に、馬車と騎手を貸してくれるように頼めば行けるらしい。

 

「あ、でもフランドールさん達は地図渡して飛んだ方が早いかと」

「確かに私とヴァーミラでミアと手を繋いで飛んで行った方が早いけど、世界を冒険して回るのが楽しみだから馬車で行くことにするよ」

「そうですか。もう早速行かれます? あ、一応地図は渡しておきますね」

「ありがとう! そう言えば、貴女の名前を聞いてなかったような気がするんだけど、何て言うの?」

「えっとですね、ピリアームと言います」

「分かった。ピリアーム、改めて言うね。ありがとう!」

 

 こうしてピリアームにお礼を言ってギルドを出た後、言われた場所に向かってそこに居た人から馬車と運転手を借り、ミアの師匠の故郷の村『ミロミス』に向けて出発した。

 




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