フランの異世界召喚記   作:松雨

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今話は地の文が三人称かつ字数が4000字を超えている上、ほぼ全編紅魔館一行+八雲紫の視点の話になっています。





紅魔館一行、八雲紫と共に異世界へ乗り込む

 フランが異世界に召喚されてから数ヶ月経ったとある日の紅魔館、そこに"レミリア・スカーレット"を訪ねる人物が居た。

 

「あら、あんたが起きてちゃんと門番やってるなんて珍しいじゃない」

「珍しいって……まあ、否定は出来ないのが辛いですけど。ところで霊夢さん。何かご用で?」

「ええ、元気のないレミリアの為に外にね。それで美鈴、フランはまだ見つからないの?」

「……残念ながら。紫さん曰く、『確実に幻想郷には居ない、外の世界の確率が極めて高い』らしいですので」

 

 博麗神社の巫女で、外界と幻想郷を隔てる結界の管理者"博麗霊夢"だ。フランが居なくなってから数ヶ月、元気がないレミリアの下に度々訪れては、少しでも元気を出して貰う為と身体のなまりを防ぐ為に外へ連れに来ていた。

 

「そう。レミリア、相変わらず部屋に閉じ籠ってる感じかしら?」

「はい。お嬢様は昼夜問わず、外出する頻度が妹様が居なくなる前に比べて極端に減っています。たまに咲夜さんと人里辺りに行ったりしてますが、まるで気力がない感じで……」

「思ったよりもかなり状況は芳しくない感じね。紫、早く見つけてくれると良いけど」

「確かに……あ、今すぐ呼んできますけど、中で待ってます?」

「いや、門の前で良いわ。それと、どうしても出て来たくないって言ったりしたら無理させないで」

 

 そうして、紅魔館の門番"紅美鈴"はレミリアを呼びに館の中へと姿を消していったが、いつもなら5分~10分位で日傘を差して出てくる筈の彼女が全く出てくる気配が無い。ただ、霊夢は待たされる事を最初から解っている上で来ている為、特に何も考えずにのんびりお茶を飲みながら待つ。

 

 すると、それから1時間近く経った頃にレミリアが日傘を差して出て来た。やっと来たかと思い、彼女の顔を見た霊夢は一瞬言葉に詰まってしまった。

 

 何故なら、誇張でも何でもなく実際に感じる魔力が普段のレミリアの半分以下である上、生気が無いような顔をしていたからだ。霊夢はそれを見て、お遊びで弾幕ごっこをしても勝ててしまいそうな位、彼女に元気が無い事を知ることになる。

 

「霊夢、お待たせ……」

「……あんた、本当に生気が無いような顔してるけど大丈夫なの? 無理してない?」

「大丈夫よ。気力が無いだけで、体調は良いから」

「そう。じゃあ行くわよ」

 

 何はともあれレミリアが外に出て来てくれた事で、精神はまだ大丈夫だと言う事が分かった。それだけでもほっと一安心した霊夢は、早速人里へ向かおうと動き出す。

 

「そう言えば、あんたが手に持ってる人形って確か、フランがお姉様にって作ってくれた奴だっけ?」

「ええ、そうよ。これがあるからフランが居なくなってもまだ大丈夫だし……しかも、前まで部屋に適当に放置してたのよねこれ。そう考えると悪い事をしたわ」

「ああ、だから度々アリスとフランが一緒に居る所を見かけた訳ね」

 

 人里へ向かう途中、レミリアが大事そうに腕に抱えている自身を象った人形を発見した霊夢は、それを話のネタにして会話が無い時間を出来るだけ作らないようにする。

 

 その人形は所々作る時に間違えてやり直した形跡が見られる等、人里の和風人形職人やアリスの作る物に比べればかなり見劣りしている。しかし、フランが慣れない事をしてまで自分の為に心を込めて作ってくれたと言う事実がある為、レミリアにとっては渡された人形の見た目の良さなど()()()()()()のだ。

 

「しかし、外の世界に居たとしてこんなにも見つからないものなのかしらね。あの紫が必死に全力で能力を使ってるのに――」

 

 霊夢がそう言葉を発した時、突然目の前の空間が裂けて逆さまに女の人が出てきた。

 

「あ~。お楽しみの所悪いけどレミリア、良いお知らせがあるわ」

「良いお知らせ……まさか!」

「ええ、貴女の妹"フランドール・スカーレット"の居る世界が分かったわよ。ただ、居る場所までは分かってないけど」

 

 妖怪の賢者"八雲紫"である。どうやらフランの居る世界がようやく判明したらしく、それを伝えに2人の前に現れた様だ。

 

「居る世界? 外の世界じゃなかったの、紫?」

「そうよ霊夢。外の世界とはまるで違う、魔法等が存在していて多種多様な種族の居る世界ね。いわゆる"異世界"って奴よ」

「成る程ね……それで、正確な居場所まではまだ掴めてないと?」

「ええ。何せ、初めて見た世界な上に広さが半端じゃないもの。正確な場所まで探すとなると、一体どれだけかかる事やら」

 

 紫による報告を聞いていたレミリアは、途端に今までの元気の無さが嘘の様に元気になり、霊夢と紫を放置して紅魔館へと全速力で飛んで戻っていった。

 

「あらあら、随分嬉しかったようね」

「そりゃそうでしょ。あの2人、昔の仲が悪かった時の反動で今じゃこっちが引く位に仲が良くなってるもの。現にあの時のぶちギレ具合、紫もヤバいって思ったでしょ?」

「まあ、そうね。でも、話も聞かずにいきなり全力スペルカードは酷くない?」

「まあ、それは……」

 

 それはあんたの普段の行動のせいでしょうがと、心の中で思っている事を口に出そうと思った霊夢だったが、面倒になりそうだったのでやめた。

 

 そうして、置いてかれた霊夢と紫の2人は少しばかり会話をした後神社へ戻ろうとしたその時、紅魔館方面からレミリアがパチュリー・咲夜・美鈴を連れてこちらに飛んで来るのが見えた。

 

「咲夜さん、いきなり投げナイフは酷いですよ~」

「あら、それは貴女がいつもの昼寝をしていたのが悪いのではなくて? ちなみに、私が起こさなかったらお嬢様のグングニルが飛んで来てたでしょうね」

「ちょっと! 洒落になりませんよ、それ。でも、急に元気になって本当良かったですよね」

 

 相変わらず、美鈴と咲夜はいつものやり取りをしている。そんな2人を呆れた様な目で見ていたパチュリーは、紫を見るとこう質問した。

 

「そんな事よりも、フランが何処に居るか大体の目星がついたって本当なの、紫?」

「勿論よ。でなければ、ここに居ないもの」

「成る程ね。それでレミィ、本当に"異世界"に乗り込んで探し回る気? まだ"目星"がついた程度だって……」

「当たり前じゃない。ただ待っているだけなんて、とてもじゃないけど耐えられないわ」

「まあ、私はお嬢様がそう言うならお付き合い致します」

「私も、咲夜さんと同じ意見です」

「えっと……いつの間にそう言う話になってるわけ? でも、まあ良いわよ」

 

 何だか勝手にそう言う話になっている事に若干困惑ぎみの紫であったが、純粋に捜索の戦力が増える事に関しては歓迎するべきだと判断したようで、話を承諾した。その後、ある程度の準備を整えてから用意された、幻想郷と異世界を繋ぐ特殊なスキマに霊夢を除く全員で入っていった。

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 ノストライト皇国の田舎にある"メトニエス"。この国の主力農産品の芋類の約10%を生産する、重要な町の一角にてマジストの一員がが密かに会合を開いていた。

 

「さて、ここに集まって貰ったのには訳がある。お前ら、エリュカルに魔導師を拐いに行った2人を覚えてるか?」

「ええ、まあ」

「アイツらでしょ? 厄介な奴に喧嘩売ってうちの組織に損害を与えた」

「ああ。実はな、ソイツ等がとうとう特大級のヤバイ奴に喧嘩売って返り討ちにされた挙げ句、皇国に取っ捕まって……約1ヶ月後、この近辺を通る商団を襲撃する計画がバレちまった」

「「「……ふっざけるなぁ!!」」」

 

 どうやら、彼らの仲間が特大級の致命的なミスをしでかしてしまい、肝である計画がバレた事についての対策を話し合っている様だった。

 

「で、一体誰に喧嘩を売ったんでしょうか?」

「5ヶ月位前だったか、突然冒険者界隈に現れてはとんでもない印象を残している、()()()()()()()()()()()()が率いるパーティーだ。最近妹の吸血鬼も加わって3人に増えてるらしいぞ」

「まさか……よりにもよって吸血鬼、それもあの"紅魔の少女"に喧嘩を売るとか馬鹿もここまで来ましたか」

「そりゃあ、返り討ちにされるわな。殺られなかっただけ、有り難く思わんと」

 

 リーダーの男がそう言った瞬間、組織のメンバーの内の約3分の2の顔が一瞬で死んだ。そして、捕まった2人に対しての評価は最低まで急降下した。

 

「と言う訳だ。今後の計画を大幅に変更して、まずは――」

 

 こうなっては計画を当初の予定通りには出来ない為、大幅な変更を余儀なくされてしまった。なので、今現在リーダーが思い付いている案を言おうとした瞬間、いきなり天井の空間が大きく裂け、そこから5人の女性や少女達が降りてきた……と言うよりは落下してきた。

 

「ちょっと紫! もう少しマシな場所にスキマを開きなさいよ!」

「ごめんなさい。スキマを開く時に間違えたわ」

「お嬢様、確かにその通りですが今はそんな事よりも周りを見て下さい。歓迎されてますよ」

「咲夜さん、これは歓迎されてると言うよりはどう考えても敵対されてますよね」

「ええ、分かってますよ。ただ、私達が能力込みで油断なく戦えば勝てない相手では無いと思ったので、そう表現したまでてす」

 

 その正体は、この世界にフランを探しにやって来た紅魔館の面々と、八雲紫だった。スキマを開く場所を間違え、運悪くマジストの支部会合の真ん中に落下してきたのだ。本来であれば、こんな状況に放り出されたら固まりそうなものだが、今回来たのは幻想郷でも上位に位置する実力者である。慌てる事なく、この状況を分析している。

 

 そしてレミリアに至っては、周りが敵対心を抱いているのを感じているのにも関わらず、フランを知っているかどうかをリーダーの男に聞く程である。

 

「何だ貴様ら! 何故ここに入ってこれた!」

「あら、丁度良い所に人間……ちょっと良いかしら?」

「……お前は、まさかフランドール・スカーレット……いや、似ているが、違うな」

「いいえ、私はレミリア・スカーレット。貴方の言う、フランドール・スカーレットの姉よ」

「姉!? 妹が居るのは知っていたが、まさか姉まで居るとは……」

 

 フランに妹が居るというのを聞いたレミリアは、一体どういう事なのか首を傾げるも、それは彼女に会った時に聞けば良いやとひとまず頭の片隅に置いておき、その発言をした男に居場所の質問をした。

 

 それに男が普通に答えて上手く収まるかと思いきや、そこで特大級の爆弾をマジストのメンバーが投下してしまう。

 

「さっきから聞いてりゃ舐めやがって……良いか良く聞け! 吸血鬼だか何だか知らねぇが、マジストに喧嘩売った奴は誰であろうとぶっ殺してやるからな。特に貴様の妹は許さん、散々痛めつけてくれる!」

「「「……」」」

 

 まさかのフラン殺しの宣言である。当然、妹が心配で心配で仕方なかったレミリアがそんな事を聞けば動き出さない筈がなかった。

 

 天井を突き破った後、上空から問答無用で本気の『神槍 スピア・ザ・グングニル』を出し、下に本気で投げ込む。紫とパチュリーが全力で防御結界を自分達と周囲に張った為、紅魔館組と周囲は無傷で耐え凌いだものの、マジスト組はリーダー格のメンバーを残して全滅してしまった。

 

「全く、いきなり騒ぎを起こさないでほしいわね! ほら、早くスキマに入りなさい!」

 

 この騒ぎを聞き付けた町の兵士が集まって来るのを見つけた紫は、レミリアを含む紅魔館一行をスキマに押し込んでから、本来出る筈だった場所へと再びスキマを繋げる。

 

「ごめんなさい。迂闊だったわ」

「まあ、過ぎた事は仕方ないですよ。それよりも、早く妹様を探しに行きましょう」

 

 こうして、リーダーの男から聞いた事を元にレミリア達は、異世界にてフランを探し始めた。

 

 




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