フランの異世界召喚記   作:松雨

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フラン、魔物の討伐依頼を受ける

「それは本当だな?」

 

「……あ、ああ! 我らは元傭兵で、ここを襲撃したのも我らの雇い主、メルティオン魔道具会会長のフォウン・メルティオンによる、小規模の魔道具店を調査し、有益そうな魔道具、もしくはお抱えの職人が居ればそれをどんな手段を使ってでも安値で手に入れてこい。逆らったら潰せ。それを邪魔するものが居れば排除せよとの指示によるものの関係で……」

 

 襲撃者の3人に対する冒険者たちの尋問の結果、彼らはつい先日まで傭兵組織で傭兵をしていた人たちで、大きなミスをやらかしてクビになった所に目をつけたフォウンに大金で雇われ、命令に従っていたとのことらしい。

 

「しかし、あの人がそんな事をねぇ~」

「でもこれで納得がいった。フォウン会長が良く護衛依頼を出す理由が。こう言った事を小規模魔道具店にし続けた結果、多くの店主やその関係者から恨みを買って襲われるからか」

 

 そりゃそうだ。そんな略奪者みたいな事をしていれば恨みの1つや2つは買うだろう。私がもしその立場だったら、そいつの事を恨むのは確実で、下手すれば殺してしまうかもしれない。

 

「うーむ。この出来事にフォウン会長が関与しているのはほぼ確実だろうが、いかんせん確たる証拠がないから今はどうも出来ない。今後俺と他数名のスタッフで何とか証拠を集めて王国の調査隊に突き出し、会長の座から引きずり下ろして公衆の目の前で謝罪させよう。もちろん、今まで与えた損害を補填させ、賠償金を払わせるのを確約させるつもりだ」

 

 こうして、襲撃者の3人から黒幕の正体などの情報を聞き出した後王都守備隊の兵士をレイゼがギルドに呼び、3人を連れていってもらった。

 

「ふう。後始末は完了っと……あ、そうだフラン。さっきの恩賞の話の続きなんだが、強盗確保のアシスト報酬金貨15枚だ。それと、お前のランクを特例でEに上げておいたぞ。これでスライムやゴブリンと言った魔物の討伐依頼が受けれるようになる」

「え、金貨15枚!? それに、ランクアップも……いくらなんでも早すぎない? ありがたいけどさ」

「それだけあのザルソウが厄介極まりない相手だったと言う訳だぞ」

 

 全てが終わった後、レイゼから恩賞の話の続きを聞いた時は驚いた。金貨を15枚もらえる上にランクまで上がるからだ。

 

 そうして私は恩賞である金貨15枚をもらったのに加え、ランクアップをしてもらったので、討伐依頼を受けてみようと早速クエストボードに向かう。

 貼られている討伐依頼の中でEランクで受けられるものは……スライム討伐・ゴブリン討伐・リトルオーク討伐の3つのようだ。

 

 ゴブリンは採取依頼の時に会っているからやめよう。スライムとリトルオークには出会ったことはなかったので、その2つのどちらかに選択肢を絞る。

 

「うーん……よし、スライムにしよう!」

 

 ひとまず今回はスライムにしておこうと決め、クエストボードから紙を剥がし、受付の人に渡す。

 

「スライム7体討伐の依頼ですね。あの魔物は打撃が非常に効きづらいので斬撃か魔法で討伐する事をオススメします。今回の依頼場所は王都の南門を出て、草原を真っ直ぐ50分行った所にある村です。馬車を使えばすぐに着きますが、どうします? あと、地図はありますか?」

「ないです。歩きで行くので問題ありません」

「分かりました。少々お待ちください」

 

 受付の人はそう言うと、奥の筒状丸められた紙を取り出して私に渡してくれた。

 

「これがこの辺一帯の地図です。今後の冒険にも役に立つと思います」

「はい! ありがとうございます!」

 

 そうして地図を受け取った私は出発の準備を整え、王都の南門から出る。

 

「そよ風が気持ちいいな~」

 

 雲が殆んどない晴天の中、紅夜の日傘を差し、そよ風に運ばれてくる草原の香りを楽しみながら歩いている。比較的天候が穏やかであり、魔物の生息数も少ない場所の為絶好の風景スポットとしても人気らしい。

 

 確かに、見渡す限りの緑色の景色に晴天・草の香りを運ぶそよ風が加われば絶好の風景スポットとしても人気が出るのも分かる気がした。

 

 こうして草原の風景を楽しみながら歩くこと40分、目的の村へと到着した。王都とは違い高い建物はないが、周りを風景スポットの草原に囲まれていて、雰囲気も良いのでとても落ち着く。

 そんな事を思っていると、誰かに話しかけられた。

 

「もしかして、依頼を受けていただけた冒険者の方でしょうか?」

「はい。そうです! 私はフランドール・スカーレット、みんなからはフランと呼ばれているので、あなたもそう呼んで下さい」

「分かりましたフランさん。それで早速なのですが、スライムの討伐をお願いしたいです」

「分かりました! それでスライムはどこに居ますか?」

「こちらです。案内しますね」

 

 案内をされた所は、野菜などが植えられている畑であった。所々何かに食い荒らされたような痕があり、これが恐らくスライムによる物なのだろう。

 

 辺りを見回していると、まだ無事な野菜を何かが覆い尽くしてしまったのが見えた。

 

「あいつです! うちの野菜を片っ端から食い荒らしていくので退治しようとしたのですが、冒険者の人達みたいな魔法も使えないし、素早いから大変で……それで運良くクワやら斧で何とかダメージを与えても、すぐに再生してしまって。その上まだ出てきてしまって」

「なるほど。任せてください! すぐに退治してきますから」

 

 そうして私はスライムに向けて力を込めた弾幕を1つ放つ。それがスライムの中心部分を貫くと、再生する事なく消滅していった。なるほど、中心部分がスライムの急所と言う訳か。

 

 その後もゼリーみたいな姿をしたスライムを見つけ次第、同様の方法で討伐していく。30分も経つとようやく見かけなくなったので、恐らくこの畑から消えていなくなったのだろう。

 

「これで多分しばらくは大丈夫だと思いますよ!」

「ありがとうございました! お陰さまで助かりました」

 

 こうして突然の乱入等のトラブルもなく、無事に依頼を達成させる事に私は成功した。




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