フランの異世界召喚記 作:松雨
その2の方は遅くとも4日後には投稿します。
「オウラン学園強すぎだろう……選手全員があの厄介極まりない『弾幕』と『スペルカード』を会得していたなんてな。そりゃあ中級以下の魔法は役に立たん訳だ」
「本当、そう思うよ! 3年前に冒険者辞めて故郷に帰ったらしいフランって吸血鬼、とんでもない置き土産を残してったよね。まあ、お陰でボクが楽しめてるから感謝だけど」
「これからジェノやシルフィオ率いるオウランの精鋭選手達と練習試合込みの交流会だけど、勝てる気がしねぇ」
フラン達が帰ってから3年と言う月日が経ったとある日、アルゼとサラの率いるルーフィオレ学園の大会出場選手達は、その年から早速行われているオウラン学園選手との交流会の為にシャームの町に向かっていた。
弾幕の圧倒的手数、スペルカードの手数の多さに威力の高さによって今年の大会まで三強以外を全く寄せ付けない強さを見せ、中でも1番強いルーフィオレ学園ですら勝つことが非常に難しくなった程強くなってしまったオウラン学園。その状況に危機感を覚えた各校の選手達が技術を会得しようと、交流会と称して選手達を派遣したり等躍起になっている。ルーフィオレ学園もその内の1つだ。
「うーん。ジェノ君はどうにかならない事もないけど、シルフィオがね。去年の大会で何とか弾幕の嵐を抜けたかと思ったら……」
「『風霊一体』か」
「そう。あれをどうしても突破出来ないんだよね。すっごく気になったんで本人に聞いたら、あまりの効果に仰天したよ」
「あの魔法の唯一の欠点は効果時間の短さだから、それを何とかして耐えて突くしかないな」
「まあね。途中で襲ってきた糞盗賊で新魔法の実験も出来たし、今日こそボクは勝って見せるよ!」
「ちょっとあれは……確かに流石に不味いと思うがな」
そんな感じでオウラン学園のエースであるシルフィオをどう倒そうかサラとアルゼが相談していると、選手達を乗せた荷馬車が学園の門前に止まった。道中で盗賊に襲われるなどと言うとんでもないトラブルに巻き込まれ、到着予定が大幅に遅れた為に全員疲労困憊だが、ほぼ怪我はなかった。
何故なら、盗賊達がとある弱小商団の馬車と見違えたが故に油断して襲いかかってしまった上、彼ら自身もそれほど強いとは言えない為であった。
並かそれ以下の盗賊団であれば余裕で壊滅させられる程強いルーフィオレ学園の荷馬車に襲いかかったのが彼らの運の尽きで、サラの新魔法の実験台にされて黒焦げになり、返り討ちにされたのだ。不幸中の幸いなのが、その魔法が不完全であったと言う事だろう。
「ようこそおいで下さいました、ルーフィオレ学園の皆さん。疲れたでしょうから、会場で少しお休みになって下さい」
そうして出迎えてくれたオウラン学園側の先生の案内で、30人のサラ達一行は魔法や弾幕の訓練の為だけに作られた巨大なドーム状の建物に誘導された。
到着すると、先生が彼らにこの建物の説明をし始めた。彼曰く、魔法を大幅に遮断する結界が満遍なく張られていて、たとえ大魔導師が最上級魔法を全開で放ったとしても、傷をつけるのが精一杯な位には丈夫らしい。勿論、物理的にも同程度に強くなる結界もセットで張られているとの事。
当然、これだけの大掛かりな結界魔法を少人数で維持する事など出来る訳がない為、定期的にギルドの魔導師も呼んで維持に勤しんでいるらしい。
「これだけの広範囲に最上級魔法を防ぐ結界……一体どれだけの魔力を使っているか想像出来ないな」
「良いなぁ。ボクの学園にも欲しい……」
「確かに、これだけの設備が整っていればオウラン学園の選手達の魔法の腕や魔力が大きく上がるのも納得です」
説明を聞き、ルーフィオレ学園の皆は思い思いの感想を述べたり、試しに魔法を天井に放ってみたり、様々な反応を見せている。
そうしている内に、オウラン学園側の選手30人もこの建物に入ってきて、ルーフィオレ学園側の選手達と対面した。
サラとアルゼは他の選手には目もくれず、永遠のライバルとお互いを認めあっているジェノやシルフィオの元へと一直線に向かって行き、声を掛ける。
「シルフィオ、今日こそは勝ってみせるよ! ボクだって君の風霊一体に対抗する為に魔法を開発してきたんだから!」
「……確かに、貴女から凄い力を感じますね。これは不味いかもしれませんが……私だって風霊一体を更に進化させましたから、そう簡単には負けませんよ」
すると、声を掛けられたサラが周りに誰もいない場所まで歩いていった後、身体から青白い雷光を放ち始めた。どうやらシルフィオの風霊一体と新開発の魔法との対決をするつもりの様だ。
「じゃあ、行くよー!『
「こちらも行きます……『
すると、サラの身体が雷の影響で神々しく光り始める。同時に周囲の空気がシルフィオに集まり始め、最終的にはそれが風の衣となって彼女を包み込んだ。
準備が終わると、選手の中でもジェノとアルゼ以外が耐えきるのは非常に難しい程の高威力・高密度の魔法と弾幕の撃ち合いが始まった。
お互いの最終奥義とも言える強化系魔法を発動させた影響で建物内部には風が吹き荒れ、雷が空を走った。普通なら慌てる所ではあるが、周りの他の選手達は落ち着いてその場を離れたり、防御結界を張って観戦し始める猛者まで現れる始末であった。
しかし、魔法の撃ち合いではほぼ互角の為決着がなかなかつかないと見るや、超高速での格闘戦へと移行し始めた2人。こうなってくると一部の実力者以外は視認すら出来なくなってきてしまう。
「なあ、この交流会って……魔法や弾幕の腕を磨くんだったよな? いつの間に殴り合い込みの戦闘練習になってんだ?」
「まあ、あの動きはお互いの強化系魔法あってこそだから俺はありだと思いますけど、詭弁でしょうか? アルゼさん」
「う~む……一応、良いんじゃないか?」
実践形式の戦闘練習と化してしまったこの交流会に若干呆れながら観戦していたアルゼとジェノ。そうして少し経った頃に魔法の効果時間が切れたらしく、空中に居た2人が力尽きて落下してしまったが、側に駆け寄った先生達が風魔法を使用して衝撃を和らげた為、大した怪我もなく無事に地面に到達する事に成功した。
後日談まで読んで頂けて感謝です!