だがハーメルンよ!私が帰ってきた!
いや、すいません冗談です。
ファンの皆様には大いにお待たせしてしまいたいへん申し訳ございませんでした。m(_ _)m
こんなご時世ではありますが、私めのSSが、少しでも皆様の生活の励みになることを祈ってます。
一応今日明日で一巻分は投稿する予定です。
それでは本編をどうぞ( ゚д゚)ノ
数十分前のことだ。
いつも通り中学校に登校した琴里だったが、昨日の空間震の余波の影響で、休校となってしまったのを受け、令音を誘って天宮大通りの一角にある、とあるカフェへと赴いていた。
だが琴里はそこで、信じられない光景を目の当たりにしていた。
「ほう、この本の中から食べたいものを選べばいいのだな?」
「うん、そうだよ」
「ほうほう・・・・・・おいシオリ、ここにはきなこパンがないぞ!」
「いや、さすがにここには置いてないって・・・・・・そもそもさっきパン屋さんでたくさん食べたでしょ?」
「また食べたくなったのだ。一体なんだあの粉は・・・・・・あの強烈な習慣性・・・・・・あれが無闇に世に放たれれば大変な事になるぞ。人々は禁断症状に震え、きなこを求めて戦が起こるに違いない」
「本当にそうなら、もうそこら中で起こってるよ」
「むう、まあいい。新たな味を開拓するとしよう」
「まったく、十香ってば食いしん坊なんだから・・・・・・あんまり高いものは頼まないでよ。私が自由に使えるお金って少ないんだから」
「ぬ? そうなのか。ならば仕方ない、私が
「え・・・・・・? ちょ、何しようとしてるの!?」
パリッ。
と、そんな会話を聞いていた琴里の右手から、そんな音が聞こえた。
「・・・・・・何かあったのかね、琴里。グラスにひびが入っているよ」
向かい側に座る令音が指摘する。見るとひび割れからか、琴里のグラスを持つ手には、中身のジュースが
すると、琴里は無言のまま、令音の後ろを指さす。
令音も疑問に思い、そちらを振り向こうとして──ピタリと動きを止める。
「・・・・・・なまらびっくり」
なぜか北海道弁だったが、無理もない。
何しろ令音の後ろには、琴里の姉・五河士織が、女の子を連れて座っていたのだから。
しかもそれだけではない。その女の子は──琴里たちが災厄と、精霊と呼ぶ、あの少女であったのだ。
「・・・・・・あんの馬鹿姉」
目を伏せ、怒りを押し殺したような声を発する琴里。
それは、精霊の静粛現界を連絡すらしない自身の姉に
だが、琴里は気持ちを落ち着かせるべく、グラスを一気に呷った。
「プハッ・・・・・・どうやら、精霊には私たちに感知されずに現界する方法があるみたいね」
「・・・・・・ああ、どうやらそのようだね」
琴里の言葉に、令音も首肯する。
「・・・・・・それで、これからどうするつもりなのかね、琴里」
「そうね・・・・・・」
言うと、琴里はポケットから黒いリボンを取り出し、髪を結い直す。
「ひとまずは様子見で構わないわ。あの感じなら、たいして問題無いでしょうし。・・・・・・まあ、有事に備えてクルーを2、3人ほどつけさせとくわ」
「・・・・・・君らしくないな、琴里。君なら、もっと積極的に彼女らのデートに介入してくると思ってたのだが」
琴里の言葉に、令音は懐疑的な視線を向ける。
「んー。まぁそうね。士織が男なら、そうしてたかも」
「・・・・・・すまない。詳しく説明してもらえないか?」
「さっきも言ったでしょ。士織は人の絶望に対して敏感だって」
「・・・・・・ああ」
言われ、令音は先程の琴里との会話を思い出す。
実の母親に捨てられ、絶望の淵に立たされた過去を持つ士織。それ故に、同じような人間に積極的に交流を持とうとすることを。
「だからさ。男ならともかく、女同士なら変に気を使わなくていいじゃない? 手を繋いだりっていうスキンシップにも、そこまで抵抗は持たないはずよ」
それに、と窓の外に目をやる。まるで、どこか遠い日に思い馳せているように。
「士織は無自覚女たらしだってことは、私がよく知ってるしね」
琴里は唇の端をニヤリと上げる。
「さあ──私たちの
◇ ◇ ◇ ◇
「んー! ここの料理は旨かったな! シオリ」
「う、うん。そうだね~アハハハ・・・・・・はぁ」
食事を終え、十香は満足そうに、士織は虚しそうに、店を出た。
先ほどバスケット1つ分のきなこパンを食べたにもかかわらず、ハンバーグプレートやらパフェといったボリューム満点のメニューをあっさりと平らげてしまった十香。
正直見ているだけでお腹いっぱいなのだが、当の本人はまだまだ食べる気満々のようで、既に次のお店を探し始めていた。
しかし、当初は暖かかったはずの士織の財布は、今や風前の灯火だ。
さすがにこれ以上食事に使う訳にはいかない。
「一体どうしたら・・・・・・あ」
どうしたものかと頭を抱えていた、その時。
士織の視界の端を、一軒の雑貨屋が
「ね、ねえ十香」
「ん? どうしたシオリ」
「今度はあそこに行ってみない?」
士織は先ほどの雑貨屋を示す。これ以上出費を重ねないため、という目的もあるが、一応これはデートなのだから食事ばかりというのも味気ないだろう。
「む、あの店か? あそこにも旨いものがあるのか!?」
「いや、食べ物があるって訳じゃないんだけど」
「ぬ? そうなのか? では、あそこに何があるというのだ」
「え? ええと・・・・・・」
そう言われると、説明に困ってしまう。食べ物でないのは確かなのだが、何しろ色々ありすぎて何を説明したらよいのやら。
「と、取り敢えず入ってみよ? ね? 十香」
「ぬ? シオリはそんなにあの店に入りたいのか?」
「うんうん! スッゴい入りたいの!」
「そうか。なら仕方ないな!」
十香はなぜか、やたら嬉しそうにそう言うと、士織と並んで店の扉を開いた。
「おおー! ここは一体何なのだシオリ!? キラキラがいっぱいだ!」
店に入るやいなや、十香が興奮しながら目まぐるしく店内を駆けていく。
一瞬、声をかけようかとも思ったが、やっぱり止めた。
普通なら、ここで止めるべきなのだが、士織はどうもその気になれなかった。
それもそうだろう。つい昨日まで、銃声や剣戟が織り成すあの殺伐とした空間が日常だったこの少女にとって、どこにでもあるような雑貨屋でさえ、初めて見る未知の光景。目に映る全てが新しい物で、知らない物で、新鮮な物。
興味が湧くのは、仕方がない。
「シオリ! ここは一体何なのだ!? さては、めかめか団の秘密基地ではあるまいな!!」
士織が微笑ましそうに見ていると、十香が目を輝かせながら聞いてくる。
「フフッ、違うよ。ここは雑貨屋さんって言って、生活に必要なものや装飾品を売っているんだよ」
「ほうほう・・・・・・そのソウショクヒン? とやら何なのだ?」
「え? うーん、それは見たほうが早いかも。こっち来て」
士織はそう言うと、十香の手をとって先導する。ここには以前何回か来たことがあるので、どの商品が何処にあるかはだいたい把握しているのだ。
「ほら、こういうネックレスとか、洋服とか女の子がお洒落──着飾るためのものだよ」
近くの商品を手に取りつつ、士織は得意そうに語る。
うら若きJKとして、普段からお洒落嗜む彼女にすれば、この程度は常識の範疇なのだ。
「なるほど、着飾るための物か・・・・・・」
「そうだよ。ほら、これとか十香に似合うと思うよ」
そう言って、士織は手近にあった桃色のブラウスを見せる。流石は現役JKと言うべきか、その観察眼は見事なもので、瞬時に似合う服を選びとる。
「これを私に、か?」
「うん。ほら、十香は可愛いんだから、ちゃんとお洒落しないと勿体ないって!」
「か、かわいいなどと・・・・・・私は別にそのような物に、興味はない!」
「え~可愛いんだからお洒落しないと勿体ないよ!」
「要らんと言ったら、要らん! それに先程、シオリも見たではないか、私がこの服に着替えるところを」
「・・・・・・あ」
そう言えば、確かにデートをする前、十香が着替えるところを士織は目撃していた。目の前で。
「そう言えば・・・・・・そうだね」
「ん、ようやく気付いたかシオリ。このバーカバーカ」
「ア、アハハハハハ・・・・・・どうしよう」
どうにも、十香はあまり洋服には興味がないようだ。むしろ、
一体、どうすれば・
「ん? これは・・・・・・」
何とか十香を留めるべく、士織は次なる一手を打ち出そうと躍起になる。すると、徐に1つの雑貨を手にした。
「む? なんだそれは」
「これはブレスレットって言って、腕に着けるアクセサリーだよ」
不思議そうに士織の手を覗く十香。その手には、月をモチーフにした、金属製のブレスレットが握られていた。
「そうだ。こういうブレスレットみたいな小物なら、そんなに目立たないし、さっきみたいに再現できないよね?」
「ん、確かにそうだが・・・・・・」
「ならこれ、十香にプレゼントするよ!」
我ながらいい考えだと言わんばかりのはつらつとした表情で士織は言った。
が、
「プレゼント・・・・・・? シオリ、そのプレゼントとは何だ?」
「え・・・・・・?」
と、十香が予想外の疑問をぶつけてくる
「えっと、プレゼントって言うのは、記念日やお祝いの日に、日頃の感謝とかを込めて、お近づきの印として、友達とかに送る贈り物のことだよ」
「贈り物・・・・・・」
「そ。ほら、今日は私と十香の友達記念日ってことで、私からのプレゼント」
そう言って、士織は十香の手にブレスレットをのせた。
十香はそれをただ、じっと見つめていた。
「・・・・・・」
「ど、どうしたの十香? もしかして、気に入らなかった?」
「・・・・・・シオリ。私とシオリは友達なのか?」
「っ! あ、当たり前じゃん! 十香と私は、立派な友達!」
「! ──そ、そうか。友達、か」
手元のブレスレットをいとおしそうに眺めつつ、
姫様のお眼鏡に叶ったようで、なによりだ。
「・・・・・・む、ならば私も、シオリにプレゼントを贈らねばならぬということか!」
「え? えと、確かにそうなるけど・・・・・・」
「そうか! ならば、早速シオリに贈るプレゼント探さねば! 行くぞシオリ!」
「へ? あ、ちょっ十香! 待って! お店の中は走っちゃダメだよ~!」
突如として走り出す十香。
プレゼントと言っても、結局は自分がお金を払うのだろう。
そう思い、苦笑を浮かべつつも、士織は姫様の後を追いかけた。
・・・・・・ん? 友達?
これって、デートだよね?
そうだよね!?
──果たしてこの先大丈夫だろうか?
◇ ◇ ◇ ◇
「おお! 絶景だな!」
「うん、綺麗だよね。この夕日」
日も傾きかけた頃。
士織と十香は高台の公園から、黄昏に染まる天宮市を眺めていた。辺りに人気はなく、遠くからカラスの鳴く声が聞こえるだけの静かな空間。
あの後、何とか買い物を済ませた士織たちだったが、生憎店はどこも閉まっており、十香の機嫌直しも兼ねて、この公園にやって来たのだった。
「シオリ! あれはどう変形するのだ!?」
十香が遠くの電車を指さし、目を輝かせながら言ってくる。
「流石に電車は変形しないよ」
「なに、合体タイプか!?」
「まぁ、連結はするかな」
「おお」
十香は頷くと、身体を回転させ、手すりに体重を預けながら士織を見つめる。一瞬、手首からキラッと、光が煌めいた。
「──それにしても」
優雅に佇む十香は、徐に伸びをした。
そして、にぃッと、屈託のない笑みを浮かべてくる。
「いいものだな、デェトというのは。実にその、なんだ、楽しい」
「・・・・・・っ」
不意の笑顔に、士織は一瞬息を飲む。
同性とは言え、その美しさに思わず顔が赤くなる。
「そ、そっか。それは良かった」
「うむ」
満足気に頷く十香。その様子に、自然と頬が緩む。
10日前。あの暗鬱とした顔をした少女は、もういない。
いるのは、ただ子供のようにはしゃぐ、1人の少女。
その少女はどこか晴れ晴れとしたような、そんな笑みを浮かべていた。
士織は軽く拳を握ると、十香へと向き直る。
「──どうだった? 十香を殺そうとする人なんていなかったでしょ?」
「・・・・・・ん、皆優しかった。正直に言えば、まだ信じられないくらいに」
「え・・・・・・?」
士織が首を捻ると、十香は自嘲気味に苦笑した。
「あんなにも多くの人間が、私を拒絶しないなんて。私を否定しないなんて。──あのメカメカ団・・・・・・ええと、なんと言ったか?」
「ASTのこと?」
「そう、それだ。街の人間全てが奴らの手の者で、私を欺こうとしていたと言われた方が真実味がある」
「・・・・・・」
そんなことはない、と言おうとして──押し黙る。
目の前の少女は、昨日まで、それが日常だった。
拒まれ、疎まれ続ける日常。
なんて──悲しい。
「・・・・・・それじゃあ、私もASTの手先ってことになるじゃん」
士織が言うと、十香は首をぶんぶんと首を振った。
「いや、シオリはあれだ。きっと親姉弟を人質に取られて脅されているのだ」
「な、なによその役柄・・・・・・」
「・・・・・・お前が敵とか、そんなのは考えさせるな」
「! ・・・・・・十香」
士織は思わず、その名を呼ぶ。
十香が顔を背け、まるで涙を拭うようにしながら、視線を戻してくる。
「──でも本当に、今日はそれくらい、有意義な1日だった。世界がこんなに優しいだなんて、こんなに楽しいだなんて、こんなに綺麗だなんて・・・・・・思いもしなかった」
その言葉にホッ、と息を吐く士織。
そう思って貰えたなら、こちらとしても、嬉しい限りだ。
だけれど十香は、士織の思いとは裏腹に、顔を歪め、苦笑した。
「あいつら──ASTとやらの考えも、少しだけわかったしな」
「・・・・・・え?」
そこには、士織の嫌いな鬱々とした表情とはどこか違う──でも、胸が締め付けられるような、悲壮感漂う顔があった。
「私は・・・・・・現界するたびに、こんなにも素晴らしいものを壊していたのだな」
「────っ。で、でも、それは十香の意思とは関係無いんでしょ!?」
「・・・・・・ん。現界も、その際の現象も、私にはどうにもならん」
「だったら──」
「だがこの世界の住人たちにしてみれば、破壊という結果は変わらない。ASTが私を殺そうとする道理が、ようやく・・・・・・知れた」
士織はすぐには言葉を発せなかった。
それは、
「シオリ」
止めて、それ以上は──
「やはり私は──いない方がいいな」
瞬間、士織の中の何かが────切れた。
「・・・・・・ふざけんな」
「シオリ?」
「ふざけんな!」
「っ!」
突然のことに十香は目を見開く。
「迷惑になるから消えた方がいいとか、世界を壊すから消えた方がいいとか・・・・・・そんなのおかしいよ!」
「・・・・・・シオリ」
「十香だって、好きで迷惑かけてる訳じゃない! 好きで壊してる訳じゃない! 好きで精霊になった訳じゃない!」
士織は叫ぶ。
目の前の少女は、他人のために、この世界の人々のために、命を投げ出そうとしている。
我慢ならなかった。今まで苦しめられてきたのは、十香のはずなのに。自分よりもこの世界を守ろうとしている。
そんな終わり方、許せるはずがない。
士織は声を振り絞る。
「自分がいるから迷惑だとか、自分のせいで皆が不幸になるとか言ってんじゃない! 十香が死んだら、十香が救われないじゃん! 今まで散々、辛い思いをしたはずなのに!」
「シオリ・・・・・・しかしだな──」
「それに、今日は空間震が起きてないじゃない! だったらそれさえ突き止めれば・・・・・・!」
しかし十香は、ゆっくりと首を振った。
「たとえその方法が確立したとしても、不定期に存在がこちらに固着されるのは止められない。現界の数は減らないだろう」
「なら! 向こうに帰らなければいいじゃない!」
士織が再び叫ぶと、十香は驚愕に顔を染める。
まるで、今までそんなことを考えつかなかったように。
「そんなことが──可能なはずは・・・・・・」
「やってみたの!? 1度でも!」
「・・・・・・」
十香が、唇を結んで黙り込む。
当てずっぽうで出た言葉だったが──それが可能ならば、空間震は発生しなくなるはずだ。
そうなれば、十香はこの世界で、普通に暮らしていける。笑って、暮らしていける。
「で、でも、あれだぞ。私は知らないことが多すぎるぞ?」
「なら、私が全部教える!」
十香の言葉に、士織は即座に返す。
「寝床や食べる物だって必要になる」
「そんなの・・・・・・どうにでもなる!」
「予想外の事態が起きるかもしれない」
「起きたときに考えればいい!」
十香は少しだけ黙ってから、ゆっくりと口を開く。
「・・・・・・本当に、私は生きてもいいのか?」
「当たり前よ!」
「この世界にいてもいいのか?」
「勿論!」
「・・・・・・そんなことを言ってくれるのは、きっとシオリだけだぞ。ASTはもちろん、他の人間たちだって、こんな危険な存在が、自分達の生活空間にいたら嫌に決まっている」
「知らない、そんなこと! そんなことより、あなたが、十香がどうしたいかでしょ!」
「わたし、が・・・・・・?」
「ええ!」
士織はすぅっと、深く息を吸った
「私は、十香に死んで欲しくない! これからもっと、ずっとずっと一緒にいたい! 今日みたいに一緒に買い物したり、食事したり、まだまだいろんな所に行きたい! もっともっと、色々おしゃべりしたい!」
先程の雑貨店で、士織は十香に髪飾りをもらった(実際に購入したのは士織だが)。その時の十香は、本当に楽しそうに、笑っていた。初めて見る光景にも関わらず、臆せず楽しんでいた。そして士織もまた、そんな十香と過ごす時間が、堪らなく楽しかった。
「・・・・・・なぜ、私にそこまでしてくれるのだ?」
それは、純粋な疑問だった。たかだか2日。それしか交流ない2人の関係はとても軽薄なものではある。士織が十香を救いたいと願ったのも、彼女自身の経験がなければ、生まれ出でることのない感情だったかもしれない。
けれど・・・・・・
「そんなの、決まってるでしょ」
士織は、十香に向かって手を伸ばす。
「あなたが、私の大切な、友達だから」
「・・・・・・!」
友達だから。
目の前の少女は、それだけのために、手を伸ばして来る。それと同時に、十香の胸を、暖かい何かが包み込む。
ああ、この少女と出会えて、本当に良かった。
「シオリ・・・・・・」
目頭が熱くなるのをこらえつつ、そっと手を伸ばす。
ゆっくりと、2人の手が重なる。
そのときだった
「────!」
士織はなぜか、得たいの知れない悪寒を感じた。
背筋をが寒くなるような、嫌な感覚。
「十香!」
士織は躊躇い無く、思い切り十香を突き飛ばした。
全身を使い、体当たりのようにしたためか、十香は漫画のようにごろんと転がった。
そして刹那も間を置かず、士織を凄まじい衝撃が襲った。
「な──何をする!」
砂まみれになった十香が、非難の声をあげるも、よく聞き取れない。
息が苦しい。いや、出来ない。
なんか、きもちが、わる、い。
いしきが、とお、のい、て・・・・・・もう
「と・・・・・・うか・・・・・・」
士織の意識は、途切れた。
デートどうしよっかなぁ~、と思ってたら大分時間がかかってしまいました。
許してつかぁさい、許してつかぁさいm(。≧Д≦。)m