「かっ飛ばせ! 遊城!」
俺の応援に十代は片手を振って応じた。
「って、一応十代は敵チームなんだぞ?」
「まあまあ、十代は仲間だし。仲間を応援するのは当然でしょ?」
今、俺達は野球をしているんだが、対戦相手のラー・イエローに誰かが足りないような?だが、次の瞬間、その疑問が氷解した。
「おーい! 待ってくれ!」
そう叫びながら、駆け寄ってくるラー・イエローの………………………誰だっけ?
「すみません。デッキ構築理論について考えてたら、遅くなってしまいました。」
そんな理由で遅れるのか!しかも、平然とピッチャーの位置にいるし。いいいのかデュエルアカデミア!
「来たな! 三沢!お前の球もあそこに叩き込んでやる!」
「イヤ、残念ながら、それは無い。君の攻略法はすでに解析済みだ。」
あ、熱い!二人の間に熱い炎が燃えている!…とりあえず、あの重役出勤してきた奴は三沢って言うのか。そして、三沢だっけ?が、投げたボールは十代のバットにかすりもせずにミットに収まった。うん。言うだけあってよく考えた投球だ。
「取りあえず、ウチの勝ちかな?」
そうポツリと漏らした呟きを肯定するかのように2アウト状態でボールを連発していた。
「三沢! 今度は俺のボールを受けてもらうぜ!」
「別に構わない。君の投球パターンは既に解析済みだ。」
三沢がそう言って、バッターボックスに立つ。
「十代。俺が君に勝ったら、今日1日俺のいいなりになってもらうぞ。」
熱い炎を背後に背負いながら、バッターボックスに入る三沢。その三沢を真っ直ぐに見据え投球モーションに入る十代。
「喰らえ! 三沢! 俺がヒーローだ!」
「甘い! 喰らえ!」
十代が投げたボールは吸い込まれるようにバットにクリーンヒットして場外まで飛んでいった。
「ペーペロンチィーノォーー!!」
そんな叫び声が響き渡った。あの声はクロノス先生だろうけど、何でパスタなんだ?気になったので、様子を見に行くと、目に青アザを付けたクロノス先生がいた。そのクロノス先生はボールをぶつけられたためか不機嫌そうだったが三沢を見つけると、嬉々とした表情で彼を連れ去った。
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「………よし。こんなもんでいいかな?」
白ペンキでビッグバンされた部屋を見渡して満足そうに言った。
「…もう戻っても夕飯は食いっぱぐれるだろう。よければラー・イエローで食べないか?奢るぞ?」
「マジか! ワリいな三沢?」
と十代は三沢を連れて行ってしまった。
「寮の入れ換え戦?」
イエロー寮の食事に舌鼓をうっている時、三沢はクロノスから聞かされた事を教えてくれた。
「あぁ。明日、ある人物とデュエルをして、勝てば寮を入れ換えるらしい。」
「相手は恐らく万丈目だろうな。」
「え? 何でそう思うんだ?」
俺の言葉に十代は首をかしげていた。
「簡単な事だ。クロノスは万丈目を切り捨てようとしている。」
俺の言葉に三沢は成る程と納得しているが十代と翔は?を浮かべている。
「はじめ。話が見えねえぜ。何でクロノスが万丈目を切り捨てようとしているのか、そして、この入れ換え戦に何の意味があるのか?」
「悪い。十代。話を飛ばし過ぎた。
要するにこの前の月一試験の時に、万丈目が十代に負けた事でクロノスは万丈目の力に疑問を覚えたんだ。それと、同時にオベリスク・ブルーの連中も、万丈目から離れただろ?
だからこそ、クロノスは万丈目を切り捨てようとしているんだ。沈没船に乗るのは愚者のする事だからな。」
「じゃあ、この入れ換え戦は?」
「そ。公衆の面前での、公開処刑、もしくは万丈目に与えるラストチャンスって所かな?」
………そういえば、確か、万丈目って対戦相手のデッキを盗んで海に捨てようとしたんだよな?用心するべきかな?
「………三沢。ちょっと聞くが、部屋はどうするんだ? ビッグバンのせいでペンキはまだ乾いてないだろ?」
「それなんだが、斉藤。すまないが部屋に止めさせてくれないか?」
「急用があるから、部屋は好きに使って構わないぞ。」
俺はそう言って部屋の鍵を三沢に渡した。
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SIDE 万丈目
俺は出来るだけ足音をたてずイエロー寮の中を歩いていた。足音をたてないのは今は深夜、皆が寝静まっているであろうことも時刻である事と、自分はオベリスク・ブルーの寮生でイエロー寮をうろついているのがバレたら困ることになるからだ。
狙いは三沢の部屋。アイツの部屋に行きデッキを盗む。そして、カードを海に投げ捨てる。そうすればアイツはデュエルを出来ず俺が勝つ。デッキ意外にカードを持っているかもしれないが、そんな、計算もくそもない急拵えのデッキなど軽く一蹴出来る。
三沢の部屋の前には、家具が山積みで置かれている。その机に近づき中身を調べていた時、
「何をしている?万丈目。」
とそんな声とフラッシュが炊かれた光がこの場を襲った。恐る恐る振り向くとついこの前ラー・イエローに昇格した人物、斎藤一がいた。その手にはデジカメを持ち見下すような、憐れむような目をして。
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SIDE 一
「もう一度、聞くぞ。ここで何をしている?もう、消灯の時間は過ぎているはずだし。それ以前にオベリスク・ブルーの寮生のお前がラー・イエロー寮に何の用で来た?」
「だ、黙れ! それに貴様がなんでここにいる!」
意外に理性が働いているのか、小声で怒鳴るという器用な芸を見せてくれた。
「質問に答えてないんだが、まぁ、いいや。誰かさんが寮の入れ換え戦で対戦相手のデッキを盗んで破り捨てたり、海に投げ捨てるかも知れないと思ってな。用心の為にいたわけさ。」
俺の言葉に万丈目はぐうの音も出なかった。
「それにしてもまさか、万丈目グループの三男がこんなことをするなんてな。コレをマスコミに売ったら高く買うかもな。」
「なっ! そ、それはやめてくれ!そんなことをされたら俺は………。」
「んなことは知らん。」
慌てる万丈目を冷たくあしらう。
「な! なら、デュエルだ!!俺が勝ったらカメラと三沢のデッキをよこせ!」
デュエルで決着か。デュエルアカデミアらしいな。
「まぁ、いい。」
○ ○ ○
俺が了承すると、万丈目は俺をイエロー寮から離れた所に連れてきた。
「行くぞ! ドロップアウトボーイ!」
「来な! 落ち目のエリート!」
『
『対戦相手 ノ ターン です。』
「先行は万丈目。お前からだ。」
「俺のターン! ドロー!」
さて、万丈目はどんなデッキで来るか?月1試験の時はVWXYZできたが、その前はヘルと名のつくモンスターを使っていた。両方を混合させたデッキとは考えにくい。種族が違えば属性も違う。必要となるサポートカードも違うから、それらまで入れたらデッキが回りにくいし。
「俺はヘルソルジャーを召喚! カードを一枚セットしてターンエンド!」
万丈目 ライフ4000手札4枚
セット一枚
ヘルソルジャー
「俺のターン! ドロー!
万丈目 ライフ4000手札4枚
セット一枚
ヘルソルジャー
トタルス
セット一枚
一ライフ4000手札4枚
「オレのターン! ドロー! 貴様がどんな雑魚を使おうが、オレの勝ちは揺るがない!2枚目のヘルソルジャーを召喚! ヘルソルジャーでその雑魚を攻撃!」
………トタルスの効果ぐらい気にしろよ?
「トタルスの効果起動!デッキトップを墓地に送り、戦闘破壊を無効にする。」
ヘルソルジャーの攻撃をトタルスはデッキの一番上のカードを墓地に送りながらかわした。
攻撃力200 守備力900
【戦士族・効果】
このカードは天使族としても扱う。1ターンに1度デッキの一番上のカードを墓地に送ることで、戦闘による破壊を無効にする。
「なら、もう一体のヘルソルジャーでその雑魚を攻撃!」
「それも、ムダ。リバース起動!クズ鉄のかかし!攻撃を無効にしてセット!」
「フン。しぶとい奴め。オレはターンエンド!」
万丈目 ライフ4000手札4枚
セット一枚
ヘルソルジャー×2
トタルス
セット一枚
一 ライフ40004枚
「俺のターン! ドロー!
攻撃力900 守備力700
【戦士族・効果 チューナー】
このカードは天使族としても扱う。召喚に成功した時、このカードの攻撃する権利を召喚ターン放棄する事で、墓地にいるレベル4以下の
「フン。雑魚が何体群れようが同じこと。」
「それはどうかな? その油断が命とりだぞ? レベル3レキスとレベル1トタルスにレベル2ライラをチューニング!」
俺の言葉にライラは緑輪となりレキスとトタルスが入り星となる。
★2+☆1+☆3=☆6
「何だ! 何が起きてる!」
「熱き願いが邪悪を焼き尽くす天界の天使を呼び起こす! 光差す路となれ!シンクロ召喚! 焼き尽くせ!
ATK2600 守備力1700
【戦士族・シンクロ 効果】
このカードをエクストラデッキから特殊召喚する場合は、シンクロ召喚でしか召喚できない。シンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを破壊して、その攻撃力の半分の効果ダメージを相手に与える。
「何だ! シンクロ召喚だと! そんな召喚方法聞いたこと無いぞ!」
「簡単に説明すると、自分のフィールド上にチューナーと呼ばれるモンスターを含み、かつ召喚したいモンスターとレベルが等しくなるように調整してモンスターを墓地に送り、条件に合ったシンクロモンスターを融合デッキから召喚するんだ。」
「そんな召喚方法があったとはな。」
「ウリエルの効果起動! このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを破壊して、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える!」
「何!」
「ウリエル! ヘルソルジャーを破壊! ジャジメント・フレア!」
ウリエルが放った炎の塊がヘルソルジャーを破壊した。(4000-1200/2=3400)
「バトルフェイズ! ウリエルでヘルソルジャーを攻撃!神炎の焔!」
俺の宣言に、ウリエルは炎の塊をヘルソルジャーにたたきつけた。(2600-1200=1400)
「バカめ! ヘルソルジャーには戦闘ダメージを相手にも、!! 何!」
万丈目は俺にダメージが発生して無いことに驚いたようだ。
「甘いよ。ウリエルの効果を起動したターン、ウリエルは戦闘破壊出来ず与える戦闘ダメージも半分になる。」
(3400-1400/2=2700)
「なら、何故貴様にダメージが発生しない! ヘルソルジャーは、」
「確かにヘルソルジャーは戦闘ダメージ自分が受ける先頭ダメージと同等の効果ダメージを与える効果を持ってるが、その効果を起動させるには、ヘルソルジャーが戦闘破壊する必要がある。だが、ウリエルはその効果を起動したため破壊できず、従ってヘルソルジャーの効果は使えないんだ。…これがアマゾネスの剣士だったら話は別だったんだが。」
あれはユベルみたいに問答無用でダメージを相手に与える効果だからな。
「カードを一枚セットしてターンエンド!」
万丈目 ライフ2700手札4枚
セット一枚
ヘルソルジャー
ウリエル
セット二枚
一ライフ4000手札3枚
「オレのターン! ドロー! 貴様が未知な召喚方法を使おうがオレの勝ちはゆるがん!リバースカードオープン! リビングデッドの呼び声! 蘇れ!! ヘルソルジャー! さらに、ヘルソルジャーを通常召喚!」
ヘルソルジャーを3体も並べたか。わざわざ、並べたってことは、
「さらに、ヘルアライランスをヘルソルジャーに装備! このカードを装備しているモンスターは同名モンスター1体に付き800攻撃力がアップする!」
「お前のフィールド上にいるヘルソルジャーは3体。」
「よって攻撃力は3600だ! サイクロンでくず鉄のかかしを破壊する!!」
突風でくず鉄のかかしは破壊される。カード効果で伏せ直しているやつだからどこにセットされているか丸わかりだもんな。
「行け! ヘルソルジャー! その雑魚を破壊しろ!」
万丈目の言葉に突進するモンスター。その攻撃によってウリエルが破壊されライフも消費する。
「レキスの効果起動! このカードをシンクロ素材になったモンスターが破壊された時、そのモンスターをエクストラデッキに戻し、素材になったモンスター1体を手札に加える! ライラを手札に加える!」
攻撃力900 守備力700
【戦士族・効果】
このカードは天使族としても扱う。このカードをシンクロ素材になったモンスターが破壊される時そのモンスターをエクストラデッキに戻すことで素材になったモンスター1枚を手札に加える。
「残りの2体でダイレクトアタック!」
ヘルソルジャーは俺を切り裂いてダメージを与える。………えっと、マジでソリッドビジョンか? 痛いんだけど?
「オレはターンエンド!」
万丈目 ライフ2700手札4枚
セット一枚 ヘルアライランス
ヘルソルジャー×3
セット一枚
一ライフ600手札5枚
「俺のターン! ドロー!トタルスを召喚して効果でレキスを召喚!」
「また、シンクロ召喚とやらでウリエルを呼ぶ気か? だが、召喚するにはレベルが足りない。」
「それはどうかな? レベル3レキスにレベル2トタルスをチューニング!」
☆3+★2=☆5
「何!レベルが違う!ウリエルじゃないのか!」
「集いし涙が、全てを癒す慈悲なる涙となる!光差す路となれ!シンクロ召喚!全てを癒せ!
俺の言葉に癒しの力を持つ天使が降臨した。
「どんなモンスターを呼ぶかと思ったら、攻撃力はヘルアライランスを装備したヘルソルジャーよりも下だ!」
俺のフィールドを見て、余裕の笑みを浮かべる万丈目。恐らく、どれに攻撃しても、俺のライフが尽きて負けると思っているのだろう。だが甘い。
「ラファエルの攻撃! ホーリーシャワー!」
俺の言葉にラファエルは光の雨を降らせ、ヘルソルジャーを破壊した。
「バカめ! ヘルソルジャーの効果で、貴様は………。」
万丈目はそれ以上言うことが出来なかった。ヘルソルジャーの手から離れた剣。それが、光の粒子となって俺のライフを回復したからだ。
「何故、ライフが回復した?」
「ラファエルの効果。効果ダメージをライフ回復効果にする。」
「ち。その雑魚にそんな効果があったとはな。」
万丈目が悔しそうに歯噛みする。
「………万丈目。この世にクズと呼ばれるようなカードなんか無いぞ!俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」
万丈目 ライフ2500手札4枚
セット一枚
ヘルソルジャー×2
ラファエル
セット二枚
一ライフ1800手札3枚
「オレのターン! ドロー! 手札から死者転生を発動! 手札のモンスターを墓地に送り、墓地のカードを手札に加える! ヘルソルジャーを手札に加え召喚!」
これでヘルソルジャーを3体並べた事で再び攻撃力がアップする。(攻撃力1200+800×3)
「ドロップアウトボーイ! オレの憎しみを敗北と共に存分に味わえ! ヘルソルジャーでラファエルを攻撃!」
万丈目の言葉にヘルアライランスを装備しているヘルソルジャーがラファエルに突進する。
「万丈目。憎しみをいくら束ねても脆い! ダブルリバース起動! 立ちはだかる強敵! サイクロン!」
「な、何!」
「サイクロンの効果でヘルアライランスを破壊! 更に立ちはだかる強敵の効果でヘルソルジャーはラファエルに攻撃!」
突風がヘルソルジャーに向かい、その攻撃力を弱めてしまった。そして、ヘルソルジャーは、ラファエルに打倒されてしまった。
「おのれ!!残りのヘルソルジャーを守備表示に………。」
「できないよ。立ちはだかる強敵の効果で、そっちの場の攻撃可能なモンスターは必ずラファエルに攻撃する。」
俺の言葉に、ヘルソルジャーはラファエルに向い返り討ちにされ、万丈目のライフが0になった。
○ ○ ○
「クソ!! なんでだ!! なんで貴様たちに勝てない!!」
「当たり前だ。お前は俺たちを見ていない。相手をなめきっていた。そんなやつが勝てるわけないだろう。写真は削除しといてやる。デッキは諦めな。」
「貴様! オレを惨めにする気か!」
俺の言葉に万丈目が憤慨する。
「違うよ。万丈目。お前は勝つことに捕らわれて、重要な何かを見失ってる。」
「だ、黙れ! 勝つことが全てだ!」
万丈目の言葉に俺は悲しい思いでいっぱいだった。確かに勝つことは重要かもしれない。でも、絶対というわけではない。
「万丈目。卑怯な勝ち方をして、孤独になるのと、正々堂々とデュエルして負けて、大事なものを見つけるのとどっちがいいんだ?」
俺はそう言って、万丈目に背を向けた。
「一。あれでよかったの?」
あの場を去って、すぐに、明日香に呼び止められた。どうやら見られてたらしいな。
「構わないよ。あれでよくなればいいし。そうでなくても構わないさ。」
やれることはやった。あとは野となれ。山となれだ。そういって歩き出そうとしてはたと気づく。そういえば、三沢に鍵を渡してるんだった。今の時間は2時。三沢は熟睡してるだろうし、そんな人間を叩き起こすのは正直言って気が引ける。
「え、えっと、悪い。明日香。部屋に止めてくれ。」
俺がそう言うと、明日香は耳まで真っ赤に染め上げて怒ってしまった。
「ちょ、ちょっと! 何言ってるのよ!」
「慌てるのは分かるが、泊めさせてくれ。出ないと野宿決定になりそうなんだ。」
俺の言葉に明日香は落ち着いたらしいが疑わしげに視線をこちらに向けた。
「野宿ってあなたはレッド生じゃない。寮はどうしたの?」
「カギは三沢が持ってるし、この時間に起こすのは正直気が引ける。」
そういうと、明日香は観念したかのように口を開いた。
「………仕方無いわね。でも、変なことをしちゃダメよ?」
○ ○ ○
SIDE 明日香
「いい?変なことをしないでよ?」
「わかってるよ。」
私の釘差しに一は苦笑して答える。
「おやすみ。明日香。」
一はそう言って目蓋を閉じる。
「…おやすみ。一。」
一にそう返して目を閉じる。………んだけど、ちっとも寝られ無い。一と同じベッドに寝ているそれだけで心臓がうるさいくらいにドキドキいってるのがわかる。私はそっと目を開ける。一は目を閉じていた。その口からは寝息が聞こえる。どうやら、もう寝ているらしい。
「フフフ♪ 起きてるときはキレイでかっこいいけど、寝てるときは、可愛い♪」
一の寝顔を見てた時、イタズラ心で、頬っぺたをつねろうとした時、一が私の手を取り、私を抱きしめてくれた。
「キャッ。ちょ、ちょっとはじ…んん!!」
無理矢理唇をふさがれてしまった。
そして、
「ぷしゅーーー」
ショートして私の意識は闇に落ちた。
○ ○ ○
SIDE 一
俺の目の前に万丈目と三沢が向き合っている。
「三沢。俺は勝つためにお前のデッキを盗もうとした。だが、斉藤一に止められたがな。」
「そうか………。」
「許してくれとは言わないが、謝らせてくれ。すまなかった。」
オオ! 万丈目が自白しただけじゃなく謝ってる!
「万丈目。あの試作用のデッキだ。」
………なんだと?
「とはいえ、それなりに力入れて組んだデッキだ。だから使えなくなってたら困ってた。」
俺はそんなデッキを守ってたと?
「へえ。そんなデッキだったんだ?」
俺の一言に三沢は冷や汗を流しながらこちらを見た。
「い、イヤ、それなりに力を入れて組んだデッキだから助かったよ。ありがとう。」
必死な形相でそう答えた。
「万丈目。絶対に勝て。」
「あ、ああ。」
俺の言葉に万丈目は顔を青ざめながら、答えた。
『
その後のデュエルは万丈目有利に進んでいったが、
「ウォータードラゴンの攻撃!!アクアパニッシャー!!!!」
三沢のウォータードラゴンの攻撃で万丈目のライフは尽きる。
「マーベラース!! 素晴らしいノーネ!! シニョール三沢。オベリスク・ブルーに入ることを認めるノーネ。」
「いえ、その話は断ります。」
「オーウ。なんでなノーネ?」
「俺は、ブルーみたいにプライドばかり高くて下の寮の人を見下す人が大嫌いで、一緒にいるなんて考えただけでも、虫唾が走ります。
それに、俺がオベリスク・ブルーに入るなら、遊城十代と斉藤一を倒してこの学園の一位になってからって決めてますから。」
立派な理由だが、俺まで入ってるのか?
「よし!! なら、今すぐやろう!!」
「いや、まだ駄目だ。このデッキはまだ試作段階のデッキだ。このデッキが完成した時、やろう。」
三沢はそう言ったらデュエルフィールドを降りた。