「未来のデュエルキングを目指して頑張ってください。」
鮫島校長の話をウトウトしながら聞いた。
「お。オレはオシリス・レッドだ。」
「ボクもッス!」
「どうやらどの寮かで支給される制服が決まるらしいよ。」
辺りを歩いている、赤、青、黄色の制服を着ている人達を指さしていった。
ナルホドと。自分の制服を見て十代達は納得した。余談になるが、俺の制服は赤である。どうも、遅刻したことと、入試の時の態度が気に入らなかったらしい。
「やっほー♪はじめちゃん。オシリス・レッドの制服似合ってるよ♪」
と言いながら、マナが声をかけてきた。
「あぁ! ブ、ブラックマジシャンガール!!!!!!!! どうしてココに!」
ヤバイかな?………まぁ、簡単に誤魔化せるかな?カードの精霊なんて眉唾だろうし。
「こいつは俺の幼なじみのマナだ。」
「ヨロシクね♪」
その時、十代がすぐそばを歩く黄色い
「お。三沢。お前はラー・イエローか。」
「………俺としては、どうして君たちがオシリス・レッドなのかがわからないんだけどね。」
「………オレ達がレッドじゃ悪いのか?」
「十代。オシリス・レッドは最下層の落第生予備軍と呼ばれているらしいよ。」
やや、不機嫌な表情で十代が返した。
「そう言うことだ。待遇も悪いらしいが君達なら、うまくやっていけるだろう。」
そう言って、ある一方をさして
「君達の寮は向こうだよ。」
「えぇ!これがレッド寮!!」
オベリスク・ブルーの寮は豪邸だし、ラー・イエローの寮だって、お洒落なペンションなのにたいしてオシリス・レッドの寮は築何年のオンボロアパートだ。
「いいじゃん。風情があってさ。眺めも良いしさ。」
「………えっと、俺の部屋は、十代達の隣か。お隣どうしよろしくな。」
「おう。こちらこそよろしくな。じゃ、部屋確認したら、アカデミア内を歩いてまわろうぜ。」
○ ○ ○
「………どうしたの?翔?」
さっきから、しょげていたのが気になって翔に問いかけた。
「一ちゃん。実はね。」
そう言って、翔が、オシリス・レッドが、ドロップアウトの溜まり場だと同室の前田隼人から言われて落ち込んでいたらしい。
「気にすんなよ。オシリス・レッドでも強くなりゃいいじゃんか。………お?ありゃなんだ?」
十代は、まだ建設中の建物を指さして問いかけた。学園で支給されているPDAには登録されてないけど………。
「たぶん、新型デュエルのデュエルフィールドだろ?」
「何で分かるんだ?」
何気なくつぶやいた俺に十代がこちらを振り向く。
「だって、それに必要なディスクのデータ作ったの俺だからね。」
「じゃあ、どんなデュエルなのか知っているわけだよな?」
「まあね。だけど、どんなデュエルなのかは秘密。」
人差し指を口元にあててウィンクをして言った。
「ええぇぇ~!教えてくれたって良いじゃんかよ~!!」
「ダーメダメ♪素直に言っても、面白く無いでしょ?」
「チェッ。まぁいいや。じゃあ、そのデュエルフィールドが完成したら、俺デュエルしろよ。」
そんなやり取りをしながら、校舎内に進むとデュエルフィールドにたどりついた。
「うわぁ。これ最新式の設備だよ!」
翔が目を輝かせて言った。こんな所でデュエル出来たら楽しいだろうけどね。
「なあ!ここでデュエルしようぜ!」
「え?でも、大丈夫かな?」
「大丈夫だろ?俺達はこの学校の生徒だ。生徒が学校の設備を使っても問題は………。」
「あるんだな。コレが。」
「上を見てみな。」
青色の制服を着た二人が偉そうな態度で割り込んできた。
「オベリスクの紋章が見えないか?ここは俺達、エリートのオベリスク・ブルーの専用デュエルフィールドなんだ。」
「え?ゴメン。知らなかったんだ。」
翔が驚き謝るなか、
「良し、早速やろうぜ。」
「あ、あぁ。」
俺と十代オベリスク生を無視してデュエルしようとした。
「お、おい! 聞いてるのか!」
「ここはオベリスク・ブルーの専用デュエルフィールドだから、お前らのようなドロップアウトが来るような所じゃない!」
激昂する二人に嘆息して返した。
「んなもん知らん。」
「な、オシリス・レッドのドロップアウトが思い上がるな!!」
と、オベリスク・ブルーの生徒が激昂しかけるのを制する声が響いた。
「Be quiet. 諸君。静かにしたまえ。」
おお。この名探偵のお孫さんボイスはまぎれもなく万丈目だ。
「………誰だ。お前。」
十代の問いに二人が驚いた。
「な、お前万丈目さんを知らないのか!!」
「中等部を首席で卒業した、未来のデュエルキングと呼び声高い万丈目準さんだぞ!?」
「おかしいな?」
あ、アレ言うな。
「何がだ?」
「デュエルキングって一番って事だろ?この中で一番はオレだからさ」
「「何!?」」
自信満々だな、おい。だが、
「十代。それは間違っている。この中で一番は俺だ。」
十代の間違いを指摘すると、ブルー生の二人は顔を見合わせ、次の瞬間、大爆笑した。
「オシリス・レッドのドロップアウトが身の程を知れよ。」
「諸君。静粛に。………ソイツ出来るぞ。手抜きとはいえ、クロノス教諭をまぐれで倒したんだ。お前達より強いかもな。」
「………実力さ。」
「ならば、その実力とやらを見せてもらおうか。」
「オレも知りたかったんだ。エリートの実力ってやつを。」
一触即発な雰囲気を制する声が響いた。
「………あなた達。何をやっているの?」
止めたのはオベリスク・ブルーの女性。天上院明日香だ。
「うわぁ。キレイな人ッス。」
確かに、天上院ってキレイだし、優しそうだし、スタイルもいいし、けっこう男子に人気有るんじゃないかな?
「はじめまして。俺は斉藤一。こいつは丸藤翔。そっちが遊城十代。キミは?」
「私は天上院明日香。」
「おい! 無視するな!」
自己紹介していた、俺達にブルー生が割り込んできた。
「自己紹介は、初対面同士じゃ、必要な事だよ?」
「フン。まあいい。どうだい?天上院君?この常識知らず共に礼儀を教えてやるのは?」
………万丈目のやつ。アレで、天上院に気に入られる気があるのかねぇ?
「そろそろ、歓迎会が始まるわよ。戻った方が良いんじゃないの?」
ホラ。予想通り不機嫌になった明日香がそう言ってきた。
「チッ。おい。引き上げるぞ。」
「「はい。」」
そう言って、引き上げていく取り巻き達。言っちゃ悪いかもしれないが、マヂで金魚のうんちだな。
「あなた達も、挑発には乗らない方がいいわよ。あいつらろくでもないんだから。」
かなり不愉快そうに言う天上院。
「ありがとな。天上院。だけど、ああいった連中が素直に引き下がるとは思えないけどね。」
「………そうね。でも、気をつけてね。後、私のことは明日香で良いわよ。」
「んじゃ、俺の事も一と呼んでくれ。」
そう言ってから明日香から、俺達の寮でも歓迎会が始まるから戻った方が良い。と言う忠告を受けて、レッド寮に戻った。
○ ○ ○
歓迎会も無事終了して、さて寝ようと思ったら、PDAが鳴りとって見ると傲慢な表情した万丈目が出た。ちょっと待て。なんでお前がこれのアドレス知っている?後で、不審者のメールは着信拒否設定しておこう。
『やあ、ドロップアウト。今夜12時にデュエルフィールドに来い互いのベストカードをかけたアンティーデュエルだ。』
一方的に言い放ち画面がブラックアウトする。
「いいだろう。後で、負けて吠え面かくなよ。鳥頭。」
そう挑発して、同じメールが来たらしい、十代に翔と合流して、デュエルフィールドに向かう。
○ ○ ○
「良く来たな。ドロップアウト。」
来て早々にそう言われた。ちょっと腹がたつかな?
「デュエルをしただけでただでカードが貰えるなら、来ないわけには行かないだろ?」
再び挑発してやると万丈目は面白いくらいに怒ったらしい。
「あなた達! 何しているのよ!!」
デュエルをしようとした所を鋭い声が静止に入った。
「やあ。天上院君。一緒にやらないかい?」
明日香の静止も気にせず、言い放つ万丈目に、怒ったらしい明日香は表情を険しくして怒鳴った。
「ふざけないで!!時間外の施設の利用なんて校則違反よ!!」
「だけど、バレなければ良い。どうせ、すぐに終わる。」
「じゃあ、一!すぐにやめなさい!」
万丈目が止めようとしないので、矛先がこちらに向いた。
「悪いが、そいつはムリだ。ここで、引いたら、臆病者呼ばわりするだろうからな。」
「ああ!もう!」
かなりいらついたように言った。その明日香を尻目に万丈目に向かう。
「準備は良いな?ドロップアウト!」
「No problem!」
『
「まずは、俺からだ!ドロー!」
先攻は万丈目からか。
「リボーンゾンビを守備表示で召喚!更にカードを一枚セットして、ターンエンド!」
万丈目ライフ4000 手札4
マジックトラップ 伏せ1
モンスター リボーンゾンビ
「俺のターン!ドロー!」
あの伏せカードは、恐らくヘルポリマーだろうな。確かに俺の
「カードを一枚セット!
場にカードを出すと、黒馬にまたがった黒騎士が現れた。
「更に手札からマジックカード、進化の魔薬を起動!!ダークナイトを生け贄に捧げ、
薬を飲んだ黒騎士が、馬を飛び降りると、コウモリを従えし騎士へとなった。
「バカめ! リバースカードオープン! ヘルポリマー! 相手が融合召喚したとき、自分の場のモンスターを生け贄に、その融合モンスターのコントロールを得る!」
甘いのはそっちだ。
「何ぃっ!!」
ヘルポリマーから飛び出した黒い何かが、捕らえる寸前バットマンがコウモリの大群になってそれをかわし、そして、元の姿になった。
「バットマンはトラップカードの効果を受けないんだ。」
「な!じゃあ、ヘルポリマーは、」
「そ。タダの無駄打ちだ。むしろ、自分の場のカードを減らしてくれてありがとうって事だよ。バトル!バットマンでダイレクトアタックだ!バット・スクラッチ!」
バットマンが、コウモリをを呼び出して、万丈目を攻撃した。(万丈目ライフ4000-1900=2100)
「くううぅっ!!」
「メインフェイズ2はやることないから、ターンエンド!」
万丈目ライフ2100 手札4
マジックトラップ
モンスター
一 ライフ4000 手札3
マジックトラップ 伏せ1
モンスター バットマンATK1900
「おのれ! 俺のターン! ドロー! モンスターをセット! カードを一枚セットしてターンエンド!」
万丈目ライフ2100 手札3
マジックトラップ 伏せ1
モンスター セット
一 ライフ4000 手札3
マジックトラップ 伏せ1
モンスター バットマン
「俺のターン!ドロー!」
今度は守備か。次に高レベルモンスターを召喚する為の布石なんだろうか?
「バットマンのモンスター効果起動! 相手の場のセットカードを確認する! もし、それが、トラップカードなら、その場で破壊する!」
「な、何!!」
「俺が確認するのは当然その伏せカード!ソナーサーチ!」
万丈目の場で翻ったのは攻撃の無力化。当然破壊される。
「更に手札から
「な、何!!」
場のモンスターを一掃する大津波が荒れ狂う。しかし、バットマンはその場を離れ、その破壊に巻き込まれなかった。
「そして、手札から、Rーリバイバルソウルを起動!墓地の
そのカードの効果で羽の生えた、少年が現れた。
「ば、馬鹿な。こ、この俺が、オシリス・レッドの、ドロップアウトごときに………。」
「バトル!バットマンでダイレクトアタック!バット・スクラッチ!」
コウモリが、万丈目を襲う。
「ウィンドマンでダイレクトアタック!ブレイクシザー!」
「う、うわああああぁぁぁーーー!!!!」
少年が羽ばたいた風が万丈目を襲い、ライフをゼロにした。
「アンティールールだ! 受けとれ!」
デュエルフィールドを降りようとしたところで後ろから万丈目がカードを投げつけてきたらしい。受け止めて、確認したらヘルバーナーだった。………あまり使えるカードだとは言えないと思うんだが。デュエルフィールドをおりて十代とハイタッチをして交代する。
「どうだ! まいったか! 引きがある以上、運の要素はある。しかし、99%の知性と1%の運が物を言うんだ!」
「だったらその1%の運に賭ける! オレのドローは奇跡を呼ぶぜ! オレのターン! ドロー!」
「マズイ! 十代! 警備員が来る! アンティールールは禁止されてるし時間外の設備使用で退学になりかねない!」
コツコツと革靴で歩く音が聞こえたので慌て、デュエルを中断する声をかけた。
「く! 引き上げるぞ!」
俺の声に万丈目達は取り巻きを連れて立ち去った。
「十代! 俺達もここを去らないと!」
嫌がる十代を強引に引っ張ってこの場を去った。
○ ○ ○
「よし。ここまで来れば安全かな?」
校舎外の森の中で一息ついて十代の手を離した。
「どう?オベリスク・ブルーの洗礼を受けた感想は?」
「…まあまあかな?けっこうやるかと思ってたけどな。」
「たいして強くもなかったかな?あんなんじゃ、ロクに満足もねぇ。」
「そう?一が止めなかったら今頃カードを奪われてたんじゃない?一だってダークナイトが来なかったら負けてたんじゃないの?」
「………イヤ、あの勝負、オレの勝ちさ。」
そう言って、十代がドローしたカードを見せてくれた。え?ミラクルフュージョン?死者蘇生じゃないの?あぁ。そういえば、
『融合主体でいくなら融合賢者じゃなくて、沼地の魔神王にしろ。融合をサーチしてくれるだけじゃなく、融合代理能力を持つ。』
『便利なカードだな。んじゃ融合賢者を一枚抜いて、それを一枚。』
歓迎会が終わった後、十代達の部屋で十代のデッキ調整を手伝っていた。
『後、死者蘇生はあまり入れる意味が無い。』
『なんで?フレイムウィングマンやテンぺスターが呼べて使えるじゃん?』
『イヤ、融合体の
『………じゃあ両方を一枚追加で。』
ああああ! 俺が抜かしたんだ!はいって無いじゃんか!
「じゃ、じゃあ一の方は?」
「別に手札にコレがあったし。」
そう言って、見せたのは所有者の刻印だ。
「コントロールを得るといっても奪い続ける訳じゃない。一度取り戻せばさっきと同じ状況になる。」
そう言って、レッド寮に戻る。
「なんて人なの。ブルーに勝つなんて。」
楽しそうな明日香の声を背中に向けて。