「………デュエルモンスターのカードは大まかに分けてモンスター、魔法、罠の3種類のカードに分類されます。」
明日香の説明を聞きながら、ウトウトと舟を漕いでいた。嫌いな先生だとはいえ、余りほめられた事ではない。だが、勘弁して欲しい。オシリス・レッドの皆のデュエルディスクのカスタムに時間がかかり余り眠れなかったのだ。
「マーベラス! 素晴らしいノーネ!」
「…基本的な事ですから。」
クロノスの誉め言葉に冷静に受け流す。
「シニョール一!」
「………んあ? 何?」
俺の問いに視線を鋭くして言う。
「通常魔法を答えるノーネ!」
「あぁ。通常魔法は魔法カードのひとつでスペルスピードが1の為、自分のメインフェイズしか使えないカード。一度使い効果処理が終わったら墓地に送られる。例外的に光の御封剣、悪夢の鉄檻などのようにフィールドにとどまり続ける永続魔法みたいなカードも存在する。コレで良いか?」
「ムムム。完璧なノーネ!」
俺の問いに悔しそうに答えた。
「シニョール翔!!」
「は、はい!」
突然、指名され慌てて立ち上がる翔。あんなにガチガチになることも無いのに………。
「フィールド魔法を答えるノーネ!」
「え、え~」
緊張して答えられないじゃん。
「もういいノーネ!」
クロノスの言葉にため息をついて座り直した。
「流石、落ちこぼれのオシリスレッドデスーネ。こんな基礎的で簡単な問題も分からないのデスーカ?」
嘲りの笑みを浮かべたクロノスの発言にオベリスク・ブルーの生徒が嘲笑し始めた。
「おい。クズ共。静かにしろ。お前らの笑い方、耳障りだ。」
その態度がイラッときて、思わず、その一言を言って、しまった。
「な! ドロップアウトの分際でオベリスク・ブルーのエリートに逆らう気か!」
「うるさい!逆らわれるのがイヤなら、最初から原因を作るな!」
怒鳴ってきたので、怒鳴り返した。
「だいだい、そこのキノコ!」
「な、人をキノコとは失礼なノーネ!」
「お前は教師だろうが!師とは、弟子を育て導く者だろうが!それなのに、緊張して答えられないのに、その態度は何なんだ!!」
俺のその言葉にみんなはシーンと静まり返した。
「そーそー。それに知識と実戦は別ですよね?オレ、オシリス・レッドなのに、先生に勝てちゃいましたし、一なんか1killしちゃいましたしね。」
十代が、俺の援護の為に口を開いたのだか、十代。頼むから俺を巻き込むな。………ムリか。噛みついた時点で、目をつけられてるだろうし。
十代の言葉にブルー以外の生徒がクスクスと笑う。
「急用を思い出したノーネ!残りの授業は自習にするノーネ!」
バンっと机を叩き、逃げるようにこの場をさるクロノス。
…まったく、十代達も起こしてくれたっていいじゃんか。そんな事を考えながら、ロッカールームへ向かうと挙動不審の翔が出てきた。
「どったの? 翔?」
俺の問いに慌てて手紙らしきものを背中に隠した。
「なるほどね。」
「ううぅっ。なんっスかァ。」
ニヤニヤと笑っている俺に不安そうに翔が問いかけた。
「その手紙、明日香からのラブレターだろ?」
「エエッ!!!!何でわかったッスか!!」
翔の慌てかたに苦笑する。
「翔の態度を見れば一目瞭然だよ。」
うなだれる翔に笑みを浮かべて手紙を取り上げた。
「ああっ!返すッス!」
「いいじゃん。ちょっと見せてよ。」
手紙を取り返そうとする翔にそれを阻止して手紙を読み上げる俺。モチロン、この行為は翔がのぞき犯になるのを防ぐ為である。
「おろ?」
その手紙に書かれている宛名に軽く驚いた。
「どうしたっスか?はじめちゃん?」
「おう。美雪。って、やらせるな。それにこのセリフは万条目の方があってるよ。名探偵のお孫さんな感じがしてさ。それより、この手紙の宛名、俺の名前になっているけど。」
「ええ!!マジっすか!!」
叫んで手紙を取り上げる。手紙を頭からお尻まで眺めて、滂沱の涙を流した。
「なんでっスか!!なんでっスか!!」
ガックン!ガックン!
「ちょ!やめ!!翔!!吐く!!」
「何でっスか!!何でっスか!!」
ガックン!ガックン!
俺の言葉も興奮した翔には届かなかった。
「何でっスか!!何でっスか!!」
ガックン!ガックン!
しまいには
「何でっスか!!何でっスか!!」
ガックン!ガックン!ブチィ!!
「やめい言うとんねん!!」
ズドォッ!!
「オグゥッ!!」
堪忍袋がぶち切れて思わず放ったストレートが翔のレバーに突き刺さった。レバーを打たれた激痛でうずくまっている翔にゆさぶられたせいでフラフラしている俺とがいた。
「ウゥ。ひどいっス。」
腹を押さえて咳き込みながらの苦情に軽く睨んだ。
「ひどいのはそっち。大体興奮して我を忘れるほど悔しいのか?」
「当たり前っス!」
「言い切る?まあいいや。急がないと遅刻するよ。」
俺の言葉に翔は「ピギャ」という妙な悲鳴を上げながら、慌てて駆け出してしまった。
そんな翔を見送ってからロッカールームに入った。
しかし、俺宛てのラブレターねぇ。恐らく、犯人はキノコ、もとい、クロノスなんだろうけど、どうするかねぇ?このまま放置していたら、俺や十代を退学に追い込みかねないし、かと言ってクロノスを追い出したら、ナポレオンがレッド寮を潰しちゃいましたってことになりかねないし。ああ。そうだ。あくまで、クロノスのイタズラということにしておけばいいんだ。鮫島校長もいくら何でも先生のイタズラで退職する気は無いでしょ。となれば、早速行動あるのみ。急いで、着替えると、目的地へと向かうのだった。
「なぁ明日香。」
今日の授業が終わった後明日香に接触した。
「何?」
「こんな手紙が俺のロッカーに入ってたんだが、心当たりあるか?」
例の手紙を明日香に見せる。
「………私の名前が書いてあるけど私はこんな手紙を書いた覚えが無いわ。」
「えぇ?どういうことッスか?」
なぜかついてきた翔が問いかける。
「それは誰かが明日香君の名前を語ってボクを罠にはめようとしたと言うことだよ。ワトソン君。」
「なるほど、そういうことですかホームズさん。って誰がワトソンッスか!」
俺達の漫才を面白そうにクスクスと笑った。
「それで、犯人は誰だか推理出来てるの?ホームズさん?」
「うん。犯人は恐らく、クロノス教諭だと思う。」
「その理由は?」
「簡単な事だよ。ワトソン君。ボクを退学に追い込む以上、2つの動機が考えられる。1つボクがアカデミアにいる事でその人に不利益が発生する場合、2つボクに強い恨みを抱いている場合。前者は却下。デュエルアカデミアにとってボクは学生にすきず、不利益が発生する訳がない。」
「でも、はじめちゃん。デュエルアカデミアに入学して日の浅いボクらに恨みなんて抱きようがないと思うッスけど?」
「甘いよ。ワトソン君。重要な事を忘れているよ。」
「え?…あ、試験デュエルッスか!」
「そう、入試の時、ボクがクロノス教諭に1killしたのが気に入らないって動機も考えられる。現に、クロノス教諭はオベリスク至上主義者らしく、あまり、成績のよくない、ボクや十代君を『ドロップアウトボーイ』と呼んでいる。そんな彼がボクたちに公衆の面前で赤っ恥をかかされて、黙っていられなかった。そんな所じゃないかな?」
「とは言っても証拠が無い以上、どうしようも無いわね。」
明日香の言葉に肩をすくめる。
「何を言ってるんだい?証拠なら、明日香君が持っているじゃないか。」
その言葉に明日香と翔の視線は明日香の手の中のラブレターに向けられた。
「手書きの文章には書いた人の癖が出る。筆跡鑑定すれば書いた人を特定できる。さらに、口紋も指紋と同じように犯人探しの役にたつ。」
「それで、どうするの?」
「ああ。そうだな。鮫島校長に話して、クロノス教諭に五寸釘を打ってもらうべきか。」
「なるほど、クロノス教諭に対する、抑止力にしようってわけね?」
「そういうこと。そのために手を貸してくんない?」
俺の言葉に明日香は軽くため息をついた。
「レンタル料は高くつくわよ?」
「後でデュエルしろってことか?別にいいぜ。」
校長室につくと翔が中を確認した。
「校長とクロノス教諭がいるみたいッス。」
「好都合だ。」
翔をどかしてドアを開ける。
「お邪魔します。」
「ノックせずに入るなんて失礼なノ一ネ!」
「どちら様ですかな?」
クロノスが怒って怒鳴るそばで校長がおだやかに問いかける。
「ああ。これは失礼。俺はオシリス・レッド1年の斉藤一。こちらがオベリスク・ブルー1年の天上院明日香とマナ。でこっちが、」
翔に視線を向ける。
「オシリス・レッド1年の遊城十代の愛人です。」
「ちょっと!何でボクがそういう扱いなのさ!?」
「そもそも、未婚の十代は愛人がいないけど。」
「うわぁ!翔君と十代君はそういう関係なんだ?」
俺の言葉に翔は慌て、明日香は冷静にツッコミを入れ、マナは何故か目をキラキラと輝かせていた。
「そうですか。同性愛は世間ではまだ、厳しいようですが、世間の目など、気にしないでがんばってください。」
「しかも、あっさり信じてる!!ちょっと、はじめちゃん!誤解を解いてよ!」
ウーン。冗談のつもりで言ったのに、信じてしまうと罪悪感が。
「失礼。校長。ささいな冗談です。」
「そうですか。それでは、どのような用件でしょうか?」「実は、俺のロッカーにこのようなお手紙が届きまして。」
そう言って取り出した手紙にクロノスは顔色を変えた。当然だろう俺の左手には、俺をはめようとした例の手紙が握られているのだから。
「このお手紙の送り主に渡したら、書いた覚えが無いと言われまして、それで気づいたんです。これが誰かの罠だって。誰かが俺を退学させようとしてるんだって。」
俺の説明にクロノスは顔色を青ざめていく。
「そ、それでーハ、その手紙を預かるノ一ネ。」
ム。手紙を押収して、時間を稼いで手紙の話を誤魔化そうってわけか。そうは行かない。
「いえいえ。実は、犯人がクロノス教諭だと思っていますので。」
「…証拠は有りますでしょうか?」
ま。証拠がなければ名誉毀損で訴えられるな。
「もちろん、有りますよ。手書きの文字は書いた人の癖が出ます。筆跡鑑定すれば、書いた人を特定出来ます。それに、キスマークの口紋も犯人の証拠になります。それに、さっきの動揺したのがマズかったですよ。」
俺のセリフにクロノスは魚みたいに、口をパクパクとさせている。内心面白いと思ったのは内緒だ。
「そうですか。クロノス先生。今までお疲れ様でした。」
ヤバ。ひょっとして、鮫島校長怒ってる?
「鮫島校長。別に俺達に被害があった訳じゃないですし、今回に限り、大目に見ましょう。」
俺の言葉に鮫島校長は短くうなった。
「まぁいいでしょう。斎藤君がそういうのでしたら。ですが、クロノス先生。減給2ヶ月に処します。」
その辺はしょうがない。天罰と思って諦めてもらおう。
俺達は頭を下げて校長室を出た。
○ ○ ○
ニコニコと微笑みながら歩いていると明日香が声をかけた。
「一。約束の事も忘れないでね。」
「わかってるって。」
苦笑しながら、端末機を取り出して操作する。
「どこにメールしたの?」
「禁則事項です。」
人差し指を唇に当てて片目を閉じる。明日香と翔とマナは意味がわからず?マークを乱舞させているとメールが届き、画面に慌てた様子の十代が出た。
『女子寮の入り口だな!すぐ行くから、オレが到着するまで始めないでくれ!』
明日香と翔とマナが顔を見合わせた。
「今の兄貴のッスよね?」
「そ。明日香が十代とデュエルしたがっているだろうなって思って呼び出したんだ。迷惑だったか?」
「ううん。そんな事無いわ。」
○ ○ ○
「よぉ。十代。」
俺達が着いた時には、すでに十代がそこにいた。余程急いで来たのか、額に汗が浮かべ、肩で大きく深呼吸をしている。それは、いいんだけど、
「なんで、2人がいるの?」
そう、十代の他に明日香親衛隊の枕田と浜口がいた。
「コイツが怪しいことをしないか見張っているのよ!」
かなり不機嫌な様子の枕田が答えた。
「あんなでたらめなメールを見せられても、あたしはだまされないから!」
「一。どんなメールを送ったの?」
「俺と明日香がデュエルするが十代もデュエルするなら、女子寮の入り口まで来てと書いたはずだが?」
「そのアンタと明日香様がデュエルするのが信じられないのよ!」
そうか。2人からすれば、明日香は雲の上の人で俺はただの落ちこぼれ。その俺達がデュエルするのが信じられないのだろう。
「本当に私と一がデュエルするのよ。」
「女子が4人こっちが3人いるんけど、4対3か、1対3でデュエルするかどっちがいい?」
「ってボクも入ってるッスか!」
「じゃあ1対3でお願い。」
「しかも、確定事項とばかりに進めてる!」
「それは違うよ?」
「え?でも、」
マナの否定に怪訝な表情を浮かべる翔だった。
「私もデュエルするから1対4だよ?」
「………そういう意味ッスか………。」
マナの言葉にキラリと輝くものを流す翔だった。
○ ○ ○
十代が勝ち、翔が負けて、マナと引き分けて一勝一敗一引き分けのイーブンになった。俺と明日香は互いに、ボートの上でにらみ合う。
「明日香。手加減は無しで頼むぜ?」
「そっちこそ、手加減はしないでね。」
「「
「私の先攻!ドロー!ブレートスケーターを守備表示で召喚!さらにカードを1枚セットしてターンエンド。」
明日香 ライフ4000 手札4枚
フィールド ブレートスケーター守備表示伏せカード
一 ライフ4000 手札5枚
フィールド
「俺のターン!ドロー!」
ブレートスケーターを守備表示ってことは、あの伏せカードは、ドゥーブルパッセじゃなさそうだ。となるとあの伏せカードはブレートスケーターを守るカードかブラフか。どっちにしても、あのカードを破壊するカードが無い以上、
「
ATK1900 DEF1000
【戦士族・通常モンスター】
黒い雷を操る正義のD・HERO。この少年が持つ雷の刃は闇を破壊する。
「リバースカードオープン!攻撃の無力化!」
サンダーボーイの攻撃は時空の渦に弾かれてしまった。
「カードを1枚セットしてターンエンド。」
明日香 ライフ4000 手札4枚
フィールド ブレートスケーター守備表示
一 ライフ4000 手札4枚
フィールド D・HERO サンダーボーイ攻撃表示
伏せカード
「私のターン!ドロー!手札から融合発動!手札のエトワールサイバーとフィールド上のブレートスケーターを融合!サイバーブレイダーを融合召喚!サイバーブレイダーでサンダーボーイを攻撃!」
サイバーブレイダーの攻撃がサンダーボーイを破壊した。つーか、これソリットビジョンだよな?痛いんだけど!
「ターンエンド。」
明日香 ライフ4000 手札4枚
フィールド サイバーブレイダー攻撃表示
一 ライフ3800 手札4枚
フィールド
伏せカード
「俺のターン!ドロー!」
よし。このカードなら、少しはもつかも!
「カードを2枚セットして
ATK200 DEF2000
【戦士族・効果モンスター】
手札が5枚以上の時、ドローしたカードがこのカードの場合このカードを特殊召喚する。このカードを召喚、反転召喚、特殊召喚した時、このカードのコントローラーの手札が2枚以下の時、4枚になるようにドローする。手札が4枚以上の時枚になるようにデッキに戻す。
相手の出方次第もう少し時間稼ぎできそう!
「追加でカードを2枚セットしてターンエンド。」
明日香 ライフ4000 手札4枚
フィールド サイバーブレイダー攻撃表示
一 ライフ3800 手札2枚
フィールド D・HERO アクアガール守備表示
伏せカード4枚
「私のターン!ドロー!手札から地砕き発動!アクアガールを破壊するわ!」
宣言とともに俺のカードが破壊された。
「さらに、サイバーチュチュを召喚!装備魔法フュージョンウェポンをサイバーブレイダーに装備!」
マズイ!両方受ければ4600ポイントのダメージを受ける!
「バトルフェイズ!サイバーブレイダーでダイレクトアタック!」
しょうがねぇ。この手で行くか!
「リバースカード起動!HERO復活!全てのプレイヤーは自分の墓地からHEROと名の付くモンスターを攻撃表示で特殊召喚することができる!アクアガールを召喚!この時俺の手札が2枚だから2枚ドロー!」
「一のフィールドにモンスターが増えたことでバトルのやり直しして、サイバーブレイダーでアクアガールを攻撃!」
サイバーブレイダーの攻撃がアクアガールを破壊して、俺に大ダメージを与えた。かなり痛いけど痛がってる場合じゃない!
HERO《ヒーロー》復活 通常トラップカード
全てのプレイヤーは自分の墓地からHEROと名のつくモンスターを特殊召喚する。
「アクアガールが破壊された瞬間リバースカード起動!ダーク・シグナル!自分フィールド上のモンスターが戦闘で破壊された時、デッキからD・HEROと名の付くモンスターを特殊召喚できる!
ダーク・シグナル 通常トラップ
自分フィールド上のモンスターカードが破壊され、墓地に送られた場合自分のデッキから『
全身を岩で身を固めた戦士が守備姿勢で現れた。
「サイバーチュチュより、攻撃力が下で、守備力が2200だよ。どうする?」
「メインフェイズ2で地割れを発動!ターンエンド。」
明日香 ライフ4000 手札1枚
フィールド サイバーブレイダー攻撃表示サイバーチュチュ攻撃表示
一 ライフ400 手札4枚
フィールド
伏せカード2枚
「俺のターン!ドロー!」
俺がドローしたカードは
「………来たか。」
この最悪なまでの劣勢をくつがえす最強の鬼札だ。
「イービルクリボーを攻撃表示で召喚!」
「こ、攻撃力0のモンスターを攻撃表示?」
「すっげえ。何するんだ?」
「さらに、手札からマジックカード起動!R-リバイバルソウル!自分の墓地にあるD・HEROと名の付く通常モンスター1体を特殊召喚できる!サンダーボーイを召喚!」
「どうするつもり?そんな攻撃力の低いモンスターを並べても私のサイバーブレイダーを倒すことができないわ。」
明日香の言葉に俺は言い返した。
「倒せないのなら、倒さなければいい。バトルフェイズ!イービルクリボーで、サイバーブレイダーを攻撃!!」
「おかしなことを言うと思ったら、オシリス・レッドが明日香様に勝てないと思って、適当なことを言ってごまかして最後には自滅?」
「んなわけあるか。イービルクリボーは戦闘で発生する戦闘ダメージを相手に移す効果を持っている!そして、サイバーブレイダーは俺の場に2体のモンスターがあるから攻撃力が倍になる!イービルクリボーの攻撃!偽りの苦痛『ファントム・ペイン』!」
イービルクリボー 闇属性 レベル1
ATK0 DEF0
【悪魔族・効果モンスター】
このカードとの戦闘によって発生するダメージは相手が引き受ける。
サイバーブレイダーイービルクリボーに当たり、明日香のライフを0にした。
「フン。まぐれで明日香様に勝ったからっていい気にならないでね。」
「ちょっとジュンコ。」
「でも明日香さん~。」
「負けは負けよ、見苦しいマネはしないでね。」
苦笑しながら、明日香が枕田をたしなめる。
「いや、そいつの言う通りかもよ。」
その言葉に視線が十代に向いた。
「そうだな。翔は負けちゃったし、俺や十代だって、キーカードが来なかったら、負けてたし。」
俺はそう言って、にっこりと微笑む。しかし、何故か視線をそらされた。頬もちょっと紅いし。
「ちょっとゴメン。」
そう言って、明日香の額に自分の額をあてた。
「なっ!」
息を呑んで、明日香は硬直する。なんか、外野が、キャーキャー五月蠅いけど、どうしたんだろう?
「ん。」
やっぱ、ちょっと熱いな。頬も紅いし、瞳も潤んできている。
「………熱、あるな。」
「はい?」
俺の一言に素っ頓狂な言葉で問いかけてきた。
「微熱のようだ。呼吸もちょっと荒いし、風邪の引き始めらしい。風呂に入って、暖かくして、早く寝ろ。ああ。鮎川先生に事情を話して、風邪薬を貰うのを忘れないようにな。」
「は、はあ。親切にどうも。」
若干戸惑ったように言った、明日香の言葉を聞きながら、さっさとこの場を去った。