Side 雪乃
「ちょ、ちょっと!一!」
突然、倒れた一の姿に慌てて駆け寄る。
呼吸はまだあるけど、血が出すぎている!最悪の結末を想像して青ざめるなか、
「ちょっと!そこどいて!」
いつの間にかブラックマジシャンガールのイラストと同じ服を着たマナが一に杖を向けていた。
次の瞬間、緑色の柔らかい光が一を包んでいた。それとともに 一の傷が癒えていく。
「大きな血管とかは何とかふさげるけど、細かなものまでは手が回らないし出ちゃった血は壊れて使い物にならないから鮎川先生を呼んできて!」
マナの言葉に慌てて駆け出した。
………死なないでよ。一!
Side 一
「マタタビ!」
俺は叫んで飛び起きた。って、アレ?何叫んだんだっけ?というか、ここは、
「知っている天井だ。」
上を見上げて呟いていた。ここは、保健室だよな?
「アラ?気がついたかしら?」
そう言って、カーテンが開かれて保健室の主の鮎川先生が顔を見せた。
「エエ?コレは鮎川先生が?」
腹部に巻き付いている包帯を見せて問う。
「ええ。天上院さん達が駆け込んできたときはビックリしたわ。」
「すみません。」
「謝るよりも、そこで寝ている娘達にお礼を言うのはどうかしら?」
そう言って、視線をずらす鮎川先生の視線の先には、明日香達が寝ていた。よほど疲れているのだろうか?いっこうに起きる様子がない。
「貴方が保健室に担ぎこまれて、3日間、一睡も寝てないのよ。一睡もせずに貴方の看病を」
そんなに!鮎川先生の言葉に申し訳ない気持ちと4人に感謝の思いを抱いた。ただの友達にそこまでの事をしてくれるなんて優しい人と友達になれたもんだ。
ゾクゾク!
な、何か今エターナルエヴォリューションバーストとD・ホイールに撥ね飛ばされたような悪寒を覚えたんだが、気のせいだよな?
「………ん?一!」
目を覚ましたマナが抱きついてきた。その声に他の3人も目を覚ます。
その様子を見た鮎川先生は、校長先生を呼んでくると言って退室した。
「さて、あの翼って娘は何者なの?あなたとどんな関係?」
雪乃の問いに悩んだが話すことにした。
「俺と翼は前世で付き合っていた。恋人だったんだ。」
「前世って?」
「信じられないかもしれないが、俺はこの世界の事が漫画やアニメの形で見ることのできる世界から1度死を体験してこの世界に転生したんだ。」
俺の話に3人の表情は驚愕に染まっていた。
「そんな些細なことより、翼はなんで裏切り者なんて言ったのよ?」
驚いた割にはアッサリとした問いに逆にこちらが驚いた。
「些細なことって、こっちは言うべきか迷ったんだけど。」
「関係無いわよ。『前世』が何者だろうと、『今』が斎藤一なら問題ないわ。」
雪乃の言葉に皆が頷いた。
「そ、そうなのか?ありがとう。
翼が俺の事を裏切り者と言ったのは、翼の死因に関係している。
あの日、俺と翼はデートの約束をしていたんだ。時間ギリギリに待ち合わせ場所に来た翼は慌てていた所に横から信号無視した車とな。」
そこまで言って、口を閉じる。
「それじゃあ、ただの逆恨み以前の問題じゃないですか!」
「だけどさ、そのデートだって、俺が言い出したんだ。俺が言わなかったら、翼はもう少し生きられたかもしれないんだ。
………俺がいなかった方が良かったのかもしれない。」
『そんなこと無い!』
俺の呟きを4人が否定した。
「そんなこと無いよ。だって、」
「私達は一のおかげで、」
「人を愛する悦びを知れたのよ?」
「時には嫉妬に身を焦がす事もありましたけど一くんと会えて良かったと思います。だから、」
『あなたを愛してる。』
マナ、明日香、雪乃、麗華の言葉に少しだけ軽くなったような気持ちになった。
「………ありがとう。みんな。みんなの想いに答えられるかわからないけど、ありがとう。」