「………ここは?」
俺は目の前にそびえ立つでかい建物を見上げていた。俺はこの建物に見覚えがある。
「………ひょっとして、冥界か?………そばに翼がいないところを見ると、アイツは向こうにいるんだろう。」
あの時の記憶が確かなら、D・Sから元に戻ったはず。
記憶を頼りに奥へ進んだ先にある部屋で、その主は、
「………そんな………。」
その主のハーデスは、
「何周してもこの娘を落とせないだと!」
ギャルゲーで遊んでいた。
「○突零式!」
零距離からの全力の○突をくらい、ハーデスの頭部がトマトになったようにも見えた。
「ぬおおぉぉ!頭が割れるように痛い!」
余りの激痛に悶えている所に声をかける。
「久しぶりですね?」
「………誠の羽織はどうした?」
「同姓同名の別人です。」
条件反射的にツッコミを入れたが、気にしてないらしい。
「そんな冗談はさておき、ちょっと記憶を覗かせてもらうぞ?」
ハーデスはそう言って、俺の記憶を覗き始めた。そして、
「お前、バカだろう?」
呆れた表情で言われてしまった。
「な、何がバカなんですか?」
「敵と一緒に自爆したこと。」
言い切られ、ぐうの音もでなかった。
「全く。残された人の事を考えなかったのか?」
「だけど、翼に攻撃しないで、地縛神を倒すにはアレしか思い付かなかったんです。」
「甘い!! 甘い!! 甘い!! あっまーい!!!!
蜂蜜にメープルシロップかけて、練乳入れたよりなお甘い!!」
そ、それは甘そうだ。ハーデスは水晶球を取り出すと俺に覗き込ませた。そこには、翼が俺の脱け殻を看病している光景だった。そばには、マナ達もいるが、寝ていないのか、目に隅ができてひどい状態だった。
「一が翼だったとして、想い人が自分の代わりに植物状態になったのを喜ぶか?」
あ………。
「そんなわけないよな?」
「………俺は………
必死に頭を隠せば敵に姿を見られないと思い込んでいる駝鳥だよ。
「他の皆だって、帰ると約束をしたからこそ送り出したのに蓋を開ければ、一が植物状態だしな。悲しむさ。」
バカだ。ホントに………俺は駝鳥だ。
「ハーデス。俺は戻れますか?」
「その前に、ひとつ答えろ。もし、今回みたいな事になったら、あの5人の娘がD・Sになったら、お前はどうする?5人を助けるために命を投げ出すのか? それとも自分が助かる為に5人を殺すのか?」
ハーデスの問いに迷いは無い。
「5人を助けて、自分も助かる!」
どちらか一方しか選べないなんて却下だ! どちらも救って見せる!
「良い答えだ。あっちのお前の肉体に帰してあげる。」
その答えに俺の意識は遠くなる。
「………。知っている天井だ。」
このフレーズをいうのは2回目だな。そんなことを考えながら、呆然とこちらを見ている5人に声をかける。
「よ。おはよ………。」
言い切る前に皆に押し倒され、そのままベッドインすることになる。俺に抱きつく5人を見て、俺はこの人達を手放さないと、みんなで幸せになると、心から誓った。