「………肝試し?」
十代の言葉につぶやいた。
「ああ。大徳寺先生から廃寮の事を聞いてな、肝試しに忍び込もうって話になったんだが、来ないか?」
あぁ。そうか。廃寮探検の日って今日か。
「面白そうじゃないか。参加するよ。」
そう言いながら鍵とデュエルディスクとデッキを取り十代の後に続いた。
○ ○ ○
「ここが、例の廃寮か。」
俺はそう言ってボロボロの建物を見上げた。
「こ、怖いッス!」
「ぶ、不気味なんだな!」
「そうか? 良い雰囲気じゃねえか。」
いや、十代には悪いけど、俺も同意見だ。
「よーしじゃ、さっそ………。」
「あなた達! そんなところで何をしているの!」
廃寮に忍び込もうとしたところで、ポニーテールの明日香に呼び止められた。
「よう。明日香。ちょっと、肝試しにな。」
「遊び場じゃないのよ。危険だから校則で立ち入り禁止なのよ。」
「あ、明日香さんの言うとおりッスよ!止めましょうよ!」
「校則が怖くて肝試しが出来るかよ。」
「この寮、昔、闇のゲームの実験で行方は不明になったらしいわ。」
「タダの迷信だろ?それ。闇のゲームなんてあるわけ無いじゃん。」
「………あー。悪い。昔、デュエルチャンピオンの武藤遊戯が闇のゲームをやってたぞ。」
俺の言葉にみんなの視線がこちらに集中する。
「ほ、ホントかよ?」
「というか、何で、はじめちゃんが知ってるんすか?」
「知ってるのかは秘密。それより、気になっているのは明日香だ。」
「私?」
俺のその言葉に首傾げている。…あ。ちょっとかわゆい。
「ああ。さっき言ってた事が正しいなら、ここに来る人がいないのに、何出来てるんだ?」
「………。」
俺の問いに答えるべきか、悩んでいたようだが、やがて、その重い口を開いた。
「誰にも言わないでね。ここで行方不明になった生徒の一人が、私の兄なの。」
その後の展開は原作通りに進み俺たちは廃寮の中に忍び込んだ。
「埃っぽいけど、なかなか良いところじゃん。」
「少し薄暗いけど、少しおしゃれだしな。」
などと十代達と話し合いながら、吹雪さんの写真を回収して奥へと進んでいくと女性の叫び声が聞こえた。
「十代!! 今の!!」
「ああ! 明日香の声だ!」
声の聞こえた方向へと走っていくと、エトワールサイバーのカードが落ちていたのが目に入った。
「これは明日香のカード!」
「! 十代! 引きずった様な後が向こうの方に!」
「何! でかした隼人!!」
隼人の言葉に十代はそちらに向う。その引きずったあとに沿って走ると、地下デュエル場にたどり着いた。その先に棺桶に明日香を押し込んでいる男がいた。
「おい! お前! 明日香をどうした!」
「ふっふっふ。このお嬢さんの魂は、今深い深い闇の中だぁ。助けたければ、私を倒す事だぁ。もちろ
ん、闇のデュエルでだぁ。」
「闇のデュエルだと!!」
タイタンの言葉に十代が反応する。
「闇の千年パズルを使っての禁断のゲームだぁ。どうだぁ。受けてみるかぁ? 遊城十代?」
「? 何で俺の事を知ってるか知らないが、売られたデュエルは買うぜ!」
「待てよ。」
「? 何だよ?一?」
「このデュエル。俺がやる。」
「冗談じゃねぇ。アイツは俺を指名してるんだぜ?」
「頼む。十代。」
俺の言葉に十代は若干沈黙し、そして答えた。
「分かった。やってこい。」
「サンキュー。」
十代に礼をしてから、いつも使うデッキとは別のデッキを取り出し、ディスクにセットした。
「「
「俺のターン! ドロー! 手札からUFOタートルを攻撃表示で召喚! カードを3枚セットしてターンエンド。」
「私のターン! ドロー! 手札からフィールド魔法万魔殿―パンデイモニウムを発動! このカードが表表示私はデーモンと名の付くモンスターの維持コストを払う必要がなくなる! ジェノサイドキングデーモンを召喚! ジェノサイドキングデーモンで攻撃! 炸裂ゥ! 五臓六腑ゥ!」
その攻撃名だけで笑い死に仕掛けたのは内緒だ。
「リバースカードオープン! バックファイア! 俺のフィールド上の炎属性モンスターが戦闘によって破壊された時相手ライフに500ポイントのダメージを与える! さらにUFOタートルの効果起動! このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスター1体を俺のフィールド上に攻撃表示で特殊召喚する事ができる! プロミネンスドラゴンを召喚!(一ライフ3400 タイタンライフ3500)」
「フフフ。これを見ろォ!」
タイタンを掲げた偽物の千年パズルが光を放つ。
「消えてゆく………私達の体が、ライフポイントとともに徐々に消える………。」
………ったく。手の込んだことで………。
「!! 一!! お前体が」
「消えてるッス!」
「ああ。ホントだ。右足がないや。」
「何でそんなに落ち着いているんだな!」
偽物だって知ってるし。
「お前が負ければお前は消える。どうだ?怖いだろう?」
「逆に言えば負けなければいいんだ。」
「強がりは達者だな?私はターン「リバースカード起動!」何!」
「お邪魔トリオ! お前のフィールドに3体のお邪魔トリオトークンを特殊召喚!」
「ラストターン! ドロー! お前のフィールドの2体のトークンを生け贄に溶岩魔神ラヴァゴーレムを特殊召喚!」
「あれ? お邪魔トークンって召喚の為の生け贄には出来ないッスよね?」
「生け贄召喚の為の生け贄には出来ないけど、カード効果のコストなら別だよ。」
俺の説明に翔が意味を理解出来ず?マークを乱舞させる。
「お邪魔トリオトークンは生け贄召喚には出来ず特殊召喚の為の生け贄には出来るとだけ覚えておけば
いいんだ。」
「だが、ラヴァゴーレムは。」
「ああ。お前のフィールドに特殊召喚され、このターンは通常召喚は出来ない。だから手札から魔法カ
ード起動!所有者の刻印!フィールド上の全てのモンスターは元々のコントローラーのフィールドに戻る!ラヴァゴーレムは俺のフィールドに戻る!さらにリバースカード起動!火霊術-紅!ラヴァゴーレムを生け贄に元々の攻撃力3000のダメージをお前に与える!(タイタンライフ500)」
ラヴァゴーレムが焔の塊となり、タイタンを襲った。
「残念だったな!私にはまだライフが残っている!」
「残念なのはそっち。ターンエンド!その瞬間、プロミネンスドラゴンの効果起動!俺のエンドフェイズ時にお前に500ポイントのダメージを与える!!」
プロミネンスドラゴンが吐き出した炎のブレスがタイタンのライフを焼き尽くした。
「クソ! これを見ろ!」
「甘い!!」
千年パズルが光る前に懐に忍ばせたカードを手裏剣の要領で投げつける。キーンと澄んだ音を立てて、目の部分に突き刺さった。
「しまった!!」
「やっぱりインチキ闇のゲームか。」
その一言にタイタンは息をのんだ。
「こいつは催眠術師か何かで、催眠術で体が消えたように見えただけだ。」
「何をほざく、私は本当に闇のゲームを……」
「なら当然知ってるよな?千年アイテム、それが幾つあるのか。」
「千年アイテムの数だと?」
「千年アイテムの所持者なら簡単に答えられる問題だよな?答えてみろ。」
「そ………それは………な………。」
思ってた以上に自信なさげだ。
「!」
頼むから十代。それに反応しないでくれ。
「……ふふふ、な~なだぁ。」
………十代のバカ。後でお仕置き決定だ。
「ふふふ、どうだこれでわかったか?私は本当に闇のゲームを……。」
「んじゃ、千年アイテムの名前を全て言って見せろ。」
「な………七つの千年パズルの名前だと?」
「ハイ。モヤッと。失格。」
「な!何だと!!」
答える前に失格宣言されタイタンは慌てる。
「千年アイテムは七つあるけど、千年パズルが七つある訳じゃない。」
「つまりお前は自分で宣言したのさ。自分は大嘘つきだってな。」
………あ。十代。それ俺のセリフ。
「クソ!!」
タイタンは千年パズルを床にたたきつけてその場を逃げ出そうとした瞬間、千年アイテムのマークから闇のような物が現れ、俺と十代と明日香とタイタンを巻き添えにしてしまった。