ガンガンっ
布団の上で微睡んでいた俺の耳にそんな音が聞こえていた。いったい何が?
「我々は倫理委員会だ! ここを開けろ!」
外が騒がしいけどまぁ、いいや。それより、眠い。
「ここを開けろ! 斉藤一!! 速やかに開けなければこの扉を爆破する!」
………うるさいな。
ドカンっという大きな音が鳴り響いた。
「起きろ! 鮫島校長と査問会が呼んでいる!」
そんな声が聞こえた気がするが無視して睡眠をとる。
「起きろと言ってるのが聞こえないのか!」
その言葉に頭に痛みが走った。
ブチッ
何かが千切れる音と共に何かのスイッチが入った。
ガシッ
俺は一番近くにいたやつの襟首を掴み、静かに問いかけた。
「今ぶん殴りやがったのはお前か?」
「さ、さっさと来い!!」
俺に何かを言いかける、そいつの腹部に俺の拳がめり込んでいた。
「質問にはyesかnoで答えろ。余計な言葉は認めない。さっさと答えろ。」
「き、キサマ。こんなことをしてただで済むとお゛」
さらに何かを言いかける、そいつの顔に拳をめり込ませる。
「無駄口を叩くな。質問に答えろ。」
拳を見せると怯えた表情で答えた。
「い、yesだ。」
「ほう。何でこんなことをしやがった?」
「き、昨日廃寮に侵入したことが校則違反で、処罰を下すと校長と査問会の招集があるんだ。」
なるほど、そういう事か。
「正直に言ったんだからもういいだろ?」
その問いに足払いをかける。
「イヤ、未だ。」
答えてからマウントポジションでそいつの顔を殴り続けた。数分後には顔を青アザを付けていた。歯も何本か折れてしまったらしい。
「あぁ。ドアまで壊れてんじゃねぇか。おい。」
ドアの外にいる。部下らしきやつに声をかける。
「は、はい!」
「コイツみてぇになりたくなかったら、そのドアを10秒以内に直せ。」
「む、無理です!! そんな10秒なんて!」
その言葉をカウントダウンで拒絶するとそいつらは必死でドアを修復する。その間ジャスト10秒。
「よし。そいつを連れてさっさと行け。」
その言葉に慌てて姿を消した。それに満足して寝直した。
「ん。良く寝た~。」
目を覚まして背伸びをする。とマナが部屋の隅っこで震えているのが見えた。
「どったの?」
問いかけると震えながらも答えた。
「はじめ達が廃寮に入っちゃった事を校長達が知ってて、招集するために来た人がいて殴って起こそうとして、」
「ひょっとしてスイッチが入った?」
その問いに首を縦に振って答えた。
「………済まない。怖がらせたみたいだ。」
軽く頭を撫でてやるとマナは嬉しそうに表情を緩めた。そこにPDAが鳴りとってみると鮫島校長が出た。
『斉藤君。すみませんが大至急校長室までお越しください。』
○ ○ ○
「えぇっ!!!!退学!!!!」
校長室につくなり翔の叫びが出迎えた。
「そうだ! 昨日深夜に遊城十代、丸藤翔、前田隼人、斉藤一の4名が廃寮に忍び込んだという情報が入った! これは明らかな校則違反だ!よって、退学だ!」
女版志々雄真実が俺を睨みながら言い放った。
『一応言うけど、アレやったのはじめだからね?』
ウソ?精霊状態になったマナの言葉にそう思ってしまった。そばの十代もびっくりして、女版志々雄を見つめた。
『ホントだよ。スッゴい怖かったんだからね。』
なら、
「ちょっといいか?」
「な、何だ?」
俺の問いに女版志々雄は怯えながら問いかけた。
「その、情報はどこから入った?」
「そんなことどうでもいいだろう!」
「誰にも言えない怪しい情報なのか? ダメだぜ?そんな怪しい情報真に受けちゃ?」
「………ある人物からの情報だ。それ以上は言えない。」
まぁ、いいか。
「その情報の提供者ってクロノス先生じゃないのか?」
「な! 何故それを!!」
俺の問いに女版志々雄真実がビックリ仰天で驚いて、クロノス先生は青い顔をした。
「実は、深夜肝試しに廃寮近くまで来ました。天上院女史と接触、彼女の説得でやめようということになり別れた直後、彼女の悲鳴が聞こえたので慌てて廃寮に近づいたら、天上院を拉致しようとする人物がいたので、その人物を追跡して廃寮に侵入しました。」
「…それはゆゆしき事態だが、それと、クロノス教師とどう関係があるんだ?」
いきなり、出まかせを出され、困惑顔で問いかけた。
「その人物を説得して天上院を解放してもらい事情を聞いたら、ある人物に依頼されたらしいです。その人物の特徴を確認したら、クロノスで間違いないそうです。」
その言葉に鮫島校長は怒りの表情をクロノス先生に向けた。
「クロノス先生。今の話は本当ですか?」
「そ、そんな話はありませんノーネ。」
「その時の話も録音してますよ。ポチッとな♪」
そう言いながらレコーダーの音を再生する。録音が流れていくたびに顔が蒼くなっていく。
「そうですか。クロノス先生。給料60%カットそれと謹慎一週間です。」
「ペペロンチーノ!!ですーが、彼らも校則違反しているノーネ!!」
クロノス先生は悲鳴を上げながら足掻きとばかりに俺達を紛糾する。
「確かにそうですね。制裁デュエルで負けた場合、反省文200枚と謹慎一週間してもらいましょう。」
○ ○ ○
「大丈夫っすか?」
「なるようにしかならないさ。」
「そういうことさ。………そういえば、翔。お前なんでデッキにパワーボンド入れてるんだ?」
前に翔のデッキ調整をした時、デッキにパワーボンドを入れていたことが気になっていた。それで、この機に聞いてみることにした。
「………そうっすね。アニキやはじめちゃんなら話してもいいっすね。」
そう言ってから語りだした。翔には実の兄がいるらしい。その人物からパワーボンドをもらったらしい。
「お兄さんからこのカードをもらって、お兄さんを失望させたせいで封印されたんだ。だから、まだ使えないけど、このカードはお兄さんとの絆だから抜くことはできないっす。」
なるほど、そんなリスキーカードをデッキに入れてあったのか。
「なら、がんばれよ。そのお兄さんに認められるようにさ。」
頭を撫でてやると、翔は嬉しそうに微笑んだ。
「うん! はじめちゃん! アニキ! ボクとデュエルしてくれないかな?」
「わかった。」
○ ○ ○
『
「ボクのターン!ドロー!ドリルロイドを召喚!カードを一枚セットしてターンエンド!」
翔ライフ4000 手札4枚
伏せカード
ドリルロイド
「俺のターン!ドロー!」
ドリルロイドか。これじゃ、守備表示で出せないな。
「ファイアリィ・ガールを召喚! さらに進化の魔薬を起動! ファイアリィ・ガールを生贄に捧げ、フレア・レディを召喚!」
ATK1300 DEF1000
【戦士族・通常モンスター】
闇の炎を操る
進化の魔薬 通常マジックカード
自分フィールド上のD・HEROと名のつくモンスターを生贄(リリース)する。融合デッキ(エクストラデッキ)にある同属性のD・HEROと名のつくモンスターを特殊召喚する。(この効果の特殊召喚を融合召喚として扱う。)
薬を飲んだファイアリィ・ガールは炎をまとう拳闘士へと進化する。
「? あれ? ファイアリィ・ガールを生贄にしたらボンバーガールを出せるんじゃ?」
「ああ。
フレア・レディの攻撃はドリルロイドを破壊し、その余波が翔のライフを800削り取った。
「カードを一枚セットしてターンエンド!」
翔ライフ3200 手札4枚
伏せカード
フレア・レディ
伏せカード
一ライフ4000 手札3枚
「ボクのターン! ドロー! カードを一枚セットしてサブマリンロイドを召喚! サブマリンロイドでダイレクトアタック!」
今の状況では潜水艦の攻撃を防げない。サブマリンロイドのダイレクトアタックを受けてしまう。
「さらにサブマリンロイドの効果でサブマリンロイドを守備表示にしてターンエンド。」
翔ライフ3200 手札4枚
伏せカード
サブマリンロイド
フレア・レディ
伏せカード
一ライフ3200 手札3枚
「俺のターン!ドロー!悪いな翔。大方サブマリンロイドで戦闘ダメージをようとしたんだろうが甘いよ。フレア・レディの効果起動!攻撃力を500ダウンさせることで守備貫通効果を得る!」
攻撃力2400守備力1200
【戦士族】融合 効果
進化の魔薬もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でしか特殊召喚できない。攻撃力500ダウンすることで、このモンスターの攻撃力より低い守備力のモンスターカードを攻撃したときその差の分だけライフに戦闘ダメージを与える。
フレア・レディ 攻撃力2400-500=1900
「そ、それじゃ、」
そう。サブマリンロイドの守備力は1800。フレア・レディが攻撃力をダウンさせてもギリギリ破壊してダメージを与えることができる。
「フレア・レディの攻撃!! パニシングナパーム!!」
フレア・レディのその拳がサブマリンロイドを破壊して、翔にダメージを与えた。
「イービルクリボーを召喚して、これでターンエンド。」
イービルクリボー 闇属性 レベル1
ATK0 DEF0
【悪魔族・効果モンスター】
このカードとの戦闘によって発生するダメージは相手が引き受ける。
翔ライフ3100 手札4枚
伏せカード
フレア・レディ イービルクリボー
伏せカード
一ライフ3200 手札3枚
「ボクのターン! ドロー! …手札から魔法カード強欲な壺を発動!!」
ドローしたカードを見て、翔の表情がキツイものになった。
「そうか。翔。パワーボンドを引いたんだな?」
「…うん。でも、」
「封印のことは気にするな。勝つ可能性があるなら、遠慮はいらない。全力で来い! 全力で迎え撃つ!!」
「うん!手札から魔法カードパワーボンドを発動!! スチームロイドとジャイロイドを融合してスチームジャイロイドの攻撃力を倍にして融合召喚!
手札から、リミッター解除を使って攻撃力を倍にする!! スチームジャイロイドで攻撃!!」
スチームジャイロイド 攻撃力2200×2×2=8800
それが、今の全力か。このまま、負けてやりたいが、手加減はできない。全力で迎え撃つ!!
「リバースカード起動!! 立ちはだかる強敵!! 効果によりイービルクリボーに攻撃!!」
「な!! それじゃ、」
「ああ。攻撃力8800をもろに受けるんだ。返り討て! イービルクリボー! かりそめの苦痛ファントムペイン!!」
「………負けちゃったッす。」
そのデュエルでは負けてしまたが、翔のその顔は晴れやかだった。
「でも、大事なことが分かったッす。カードを大事にすること、カードを思いやり、相手に全力を出させて、互いに全力を出し合うことっす。」
「………それだけわかれば十分だ。」
いつから、デュエルを見ていたのかわからないが、翔の兄、丸藤亮がいた。
「翔。パワーポンドを使ってもいい。それだけのことがわかればきっとお前もすごいデュエリストになれる。その時を楽しみにしている。」
亮はそう言って、この場を去った。