そんな中、知らないうちにおしっこ祭りにも飽きて一人宿題の漢字練習を黙々とやっていた千夏が、ふとこっちに目を向けて床を指さしている。
「お兄ちゃん……」
「……ああ、言いたいことは理解した」
「……えっ、えっ? なになに、理解してないのって私だけな感じ!」
「そうだな……ちょっとマツリはそっちで座って麦茶でも飲んでてくれ」
「う、うん……って、お漏らししてるから座りたくないよっ!」
喚くマツリの唇に人差し指を添えて黙らせると、俺は即座に床に這いつくばって舌をフローリングに押し付ける。そして水たまりとなったおしっこに優しくキスをするかのように唇をつけると、一気にそれを啜り上げた!
うん、なんという美味しい水たまりだろう。
鼻をつくが癖になる匂い、しっかりと味のする甘塩っぱい味付け、それに少し熱いくらいの適切な温度!
不思議なことにマツリのおしっこは、気分によって特性を少しだけ変える。舌触りや味、匂いはもちろん、それに加えて温度などの項目も若干いつも変わってくるのだ。そして今日はラッキーなことに、極度に恥ずかしがって出たおしっこであり、ちょっとだけお漏らしを隠そうとしていたという後ろめたい気持ち、それから照れなども入った極上のおしっこである。温度も過去最高レベルに高くて、急須で淹れたおしっこみたいだ。いや、急須で淹れたおしっこが美味しいのかは知らないけど。
「な、何してるのっ! 今日は一体何回おしっこ飲むのよ……っ」
「うーん……確かに飲みすぎな気もするな。明日にとっとくか」
「うんっ! じゃあ千夏、冷蔵庫に入れてくるねっ」
そう言うと千夏はおしっこを丁寧にそれ用の吸引器で吸い上げて瓶に詰め、冷蔵庫の中に閉まった。自分の出来る仕事を見つけてやる、出来のいい妹だった。
「おいで、千夏」
俺はお手伝いを終えた千夏を近くに呼ぶと、髪を梳くように頭を撫でた。すると千夏は気持ちよさそうに目を細めて、犬のように高い声を漏らした。あ、今のはおしっこじゃなくて声な?
「むぅ……」
「お、なんだ? マツリもなでなでしてもらいたいのか」
「そ、そんなんじゃないしっ! ……ただ、兄妹が羨ましかったっていうか……その……。と、とにかくっ! おしっこ塗れになっちゃったからシャワー貸してねっ!」
捲し立てるように言うと、うちのお風呂場の位置まで完璧に把握してるマツリは、一直線にその方角へと足を進める。そんな状況の中、一人ピュアな小学生、俺の妹はといえば……。
「あの、マツリちゃん……兄妹が羨ましかったなら、三人で一緒に、お風呂入ろ……? 昔はお兄ちゃんたち、一緒にお風呂入ってたんでしょ……?」
「「……えっ」」
思春期前の、男女の差なんて全く考えたこともない無垢な瞳でぶっ飛んだ提案をしてきたのだった。