そしてまた、こっ恥ずかしい空気がぶり返してくる。なんだか、何回もタイムリープしてるんじゃないかってくらい空気が淀んで晴れてを繰り返してる気がする。だから、思い切って俺はマツリに恥ずかしさをなすりつけることにした!
「……マツリ、お前先に脱げよ」
「……い、嫌よ。トモヤが先に脱げばいいじゃないっ」
「俺だってやだわ! お前が先に脱げっ!」
「嫌だって言ってるでしょ! トモヤが脱ぎなさいっ!」
脱げ、脱がない。脱げ、脱がない。
これを繰り返して時間が過ぎて行くのを待っているのか、二人とも譲らずに主張をぶつける。最適解には辿り着かないようにわざわざ遠回りしている。……しかしこのとき俺たち二人は、その場にもう一人の勢力が存在することを失念していた!
「マツリが脱げ! おっぱい晒せ!」
「なんてこというのっ! 罰としてトモヤが脱ぎなさいよっ!」
言い争う俺たちを見て、不思議そうに首を傾げる第三勢力。あどけない顔で黙って見ていた千夏だったが、さすがに俺たちが何分間もこうしていることに疑問を持ったのか、不意に口を開く。
「……えっと、お兄ちゃんたち……」
「……な、なんだ……?」
「……ど、どうしたの……?」
その言葉を言われることを危惧して、二人息を呑む。しかし無慈悲にも第三勢力はその危険な武器を悪気もなく放ちやがった!
「お兄ちゃんたち、二人で一緒に脱げば……?」
「「……はうっ!」」
……ということなので。
俺たちは観念して、二人同時に脱ぐことにした。途中、野球挙で脱いでいくという案も出たが、マツリはジャンケンが多分宇宙一強い。俺が一方的に剥かれるのが目に見えているので、全力で抵抗させてもらった。その過程でどさくさに紛れてもう一回おっぱいを触らせてもらった。……めっちゃ柔らかかった。
「千夏がせーのって言ったら二人で脱ぐんだからねっ」
「ちょっと待ってね、心の準備が……すぅ、はぁ……うんっ、いいよ」
マツリが平常心を保とうと深呼吸する。
それに合わせてそのでっかい胸が上下に揺れる。そんな姿に見蕩れていると、マツリは気づいて自分の体を抱き抱えるようにして睨んできた。そんなすごいのをぶら下げているほうが悪いと思うのだが。
「じゃあ、いくよ……っ」
千夏が俺たち二人の顔を交互に見て、合図の準備を整える。……ついに、幼なじみと一緒に全裸になるときが来た……っ!
千夏による「せーのっ!」の合図で二人同時に来ている服に手をかける。そして、お互い目を合わせないまま最後の一枚まで脱ぎきって……。
「……って、なんでトモヤは脱いでないのよっ!」
「……えろっ」
「うっさいわねっ! 私だけ脱いじゃって、これじゃあ痴女みたいじゃないっ! この変態っ! 脱げっ!」
「やだよーん」
……俺は脱ぎませんでした。