後輩。
「マツリ、今日うちにスイカ食べに来るかー? 親戚のおばさんがでっかいのを送ってきてな。 どうだ?」
「あ、ごめーん! 今日ちょっと放課後友達と予定あるからっ」
……幼なじみが、ギャルになってしまった。
放課後遊びに行くなんてけしからん!
そんなのはギャルのやることじゃないか。
俺のマツリは、目の前にスイカがあれば飛びつくように貪って、その水分で大量におしっこを作り出してくれるような……そんなピュアな幼なじみだったのに!
……これは由々しき事態だ。
というわけで俺は放課後、妹の千夏を連れてマツリを尾行することにした。のだが。
「先輩っ、今日はいい天気ですねっ。私、火照ってきちゃいました」
「いやなんでお前がここにいる」
「トモヤ先輩あるところに私あり、ですよ!」
……なぜか声もかけてないのに後輩の女子高生、アキホがついてきていた。
彼女は昔家の近所に住んでたため、俺とマツリの両方と昔から仲がいい。
それに、引っ越したあともちょくちょく家に遊びに来るため、千夏のこともよく知っている。
……だが、そんな長所を全部覆すほどのマイナスな特徴がアキホにはあってーー。
「……なんですか先輩? そんなに見つめられたら赤ちゃん出来ちゃいます」
「産めるもんなら産んでみろ!」
……言動が、いちいち危ないのだ。
マツリもいる分にはその矛先があいつに向いて恥ずかしがってくれるし都合がいいんだが、マツリがいないときは千夏よりも優先して俺を攻めてくる。
っていうか、今度は腕に絡み付いてきた。
「暑いっ、離れろっ!」
「んんっ、先輩ってば乱暴なんですから〜……溜まってるんですか?」
「溜まってるよ! お前への苛立ちがな!」
自分から腕にくっついて来ておいて暑くなったのか顔を真っ赤にしているアキホと、怒りと恥ずかしさで真っ赤になる俺。
マツリがからかわれてる分にはかわいいんだけど、どうも自分がやられると納得がいかない。
「……でも、あれですね先輩」
「……あれ、とは」
「……放課後に友達と予定があるなんて、ギャルじゃないですか! けしからんですね!」
「そうだろうそうだろう! マツリに限ってそんなことはないと思ってたが、お前もそう思うなら間違いないな! あいつはギャルになっちゃったんだ!」
「お兄ちゃん、それじゃあ千夏たちはマツリちゃんをギャルからカタギの世界に引き戻せばいいんだね!」
「そういうこった!」
ということで、俺たちのマツリを取り戻すべく尾行を続ける。
といっても別にこれまで尾行していてそれを再開っていう感じじゃない。なぜならーー。
「……あっ、マツリ先輩が出てきましたよっ」
「よしっ、全員配置につけ!」
なぜなら、一旦帰宅したマツリが再び家から出てくるのを張ってただけだからだ。
……でも、友達と予定があるなら学校から直接向かえばいい話なのに、なんでわざわざ一回家に帰る必要があったんだろう。
疑問に思う俺だったが、その問いの答えなんて考えれば容易に思いつく。
しかし、それは俺にとってあんまり考えたくない推測で……。
「……マツリ先輩、私服に着替えてますね……。やっぱり、これってデート……!」
うん。後輩がはっきり言っちゃいました。