幼なじみのおしっこが最高に美味い。   作:雨宮照

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デート。

それから、一時間。

依然として雑貨屋をじっくりと見て回ったマツリには、友達と合流する気配など微塵もない。それどころか、ギフトショップに入ってみたり、スイーツのお店でお茶したり。すっかり一人の世界に入り込んでいる。

 

「……デートをする様子はないようだが……」

「……だとすると、なんで友達と予定があるなんて嘘をついたんですかね?」

「お友達の都合が悪くなっちゃったのかもしれないよ?」

 

尾行陣営は、いちごのドーナツを食べてゆったりとした時間を過ごすマツリの幸せそうな横顔を見ながら、様々な推測を言い合う。

確かに待ち合わせの相手が急用で来られなくなったとも考えられるが、マツリはショッピングモール内で相手を待つような仕草はしていなかったし、家を出る前にそれがわかっていたとすればここに一人で来る必要性がない。

となると、やっぱりアキホが言うようにマツリが俺に嘘をついたと考えるのが一番しっくりくるわけだが……正直、マツリが俺になにかを隠す理由が見当たらない。

一人でたまの息抜きをしたかったといえど、そんなことをわざわざ隠す間柄でもないだろうに……。

 

その後もマツリの尾行は続けたものの、その日は特に大した行動もなく、なにも掴めないまま帰宅した。

 

その夜、俺はなんだか寝付けなかった。

これまでに、ゲームに熱中していて眠れなかったことや遠足の前日などに寝付けなかったことは何度かあったが、なんでもない日常の一日に寝られなかったことなんて数えるほどもない。

理由は……わかってる。

昼間、アキホからデートという単語を聞いてから、なんだかもどかしくてしょうがないんだ。

マツリがいい人を見つけて恋愛をして、女の子として健全に成長する。

それは世間的に見れば何も不思議なことはなく、むしろいいことですらある。

応援しなくちゃいけない立場だってのは、頭では死ぬほど理解しているつもりだ。

だが、俺の中のなにか熱いものが叫んでる。

俺の全ての中で一番強い感情が、どうしようもなく暴れ回ってる。

今はこの感情をもどかしいなにかとしか表現出来ないが、理性には決して完全に押さえつけられないような煮えたぎった感情が自分の中で渦巻いていて、それがマツリの幸せを幸せと思っていないのは自分がよくわかっていた。

それに、マツリが嘘をついたこと。

小さい頃からずっと一緒にいた俺たちだが、お互いに隠し事をしたことなんて、きっと一度たりともなかった。

だから、マツリが遠くへ行っちゃうんじゃないかって、不安でしょうがない。

 

寝ることを諦めて一階に降り、リビングの椅子に腰掛ける。それから、落ち着くために薄めたマツリのおしっこを一口。

いつもより色も匂いも微かなそれを口に運ぶ。

……薄めたはずなのに、なんだかいつもよりしょっぱいような味がした。

それから、また一口。

気づいたら、俺の頬を一筋の涙が通り抜けていった。

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