幼なじみのおしっこが最高に美味い。   作:雨宮照

31 / 38
城にて。
電車の旅。


俺がマツリをデートに誘うのに成功してから、ちょうど一週間後の朝。

俺とマツリは高くて速い電車に乗って、デートスポットを目指している。

といっても、俺もマツリも若者のデートスポットなんてキラキラしたところに縁があるはずもなく。

二人とも、行ってみたい場所は世界遺産で一致した。

 

二人でどの世界遺産に行くか話し合った結果、最終的には二つに絞られた。

俺もマツリも行ったことのない場所で、交通の便がいい場所。

中尊寺の金色堂が見てみたいってことで、一つ目の候補は平泉。それから、日本で初めて世界遺産に選ばれた遺産の一つで、真っ白な見た目が特徴的な、白鷺城の異名を持つ姫路城。

今回はなるべく電車だけを使って行きたいってことで、姫路城に行くことになった。

 

電車に揺られること、数時間。

ふと四人掛けの座席、反対に腰かけたマツリに目を向けると、真剣な顔で手元のスマートフォンをタプタプしている。

それが時折にやっとしたり、気の毒そうな顔をしたり。そうやってころころ変わる表情を見ているだけで、この数時間の移動は自分にとって全く苦にはならず。

むしろ、愛しいマツリのいろんな表情が特等席で見られて、幸せに苛まれそうなひとときだった。

.......いかん、俺もマツリと同じくニヤニヤしてしまった。

 

さて、ところでマツリはさっきからスマホで何を見てニヤニヤしたり心を痛めたりしてるんだ?

酷く気になった俺はマツリの隣の席に腰掛け、幼なじみのスマホを無理やり覗いてみる。

 

「えーっと、なになに.......女子高生、デート体験談.......成功例と失敗例?」

「う、うわぁ。み、見ないでっ!」

「おま、これ……そんなに楽しみにしててくれたのか」

「う、うっさい! トモヤだって目の下にクマができてるじゃないっ! ……た、楽しみで寝られなかったんでしょっ」

「……ああ。楽しみ過ぎて徹夜でおしっこ飲んでた」

「飲むなぁっ!」

 

まあ、そんなのは本当は嘘で。

本当は楽しみで寝られなかったから、心を落ち着けるためにおしっこを飲んでたんだけどな。

……あ、うん。

おしっこ飲んでたのはほんとだよ?

 

……と、脳みそが蕩けそうなほどの甘ったるい会話をたくさん交わしているうちに、姫路に到着した。

改札をくぐって駅舎を出ると、眼前に広がる姫路の街並み。手前から辿っていくと、日本風な料理店やお弁当屋さんが軒を連ね……。

その奥に、日を照り返す圧巻の姫路城がそびえ立っていた!

 

「うわ、でっかいな」

「駅からでも見えるんだね〜、これなら歩いてすぐだよ!」

 

マツリの言葉の通り、姫路城までの道のりは歩いて数分のようだった。

道中にはシャチホコのオブジェや、姫路城のイラストが描かれたマンホールの蓋があって、全く飽きることなく観光客気分を楽しめる。

それに、常に城が視界の端に写っているため、ワクワク感もひとしおだ。

俺とマツリはそんな城下の開けた道を、右へ左へ。写真を撮りながらゆっくりと歩いた。

 

そうこうしていると、マツリがなにかに気づいたらしく、姫路城に近づいたところで声を上げる。

 

「あっ、ほら見て見て! 骨董市みたいなのやってるよ!」

「お、ほんとだ。食べ物の屋台とかも出てるな。……まだちょっと早いけど、家出てからだいぶ経つし、食ってくか?」

「うんっ!」

 

というわけで、骨董市で刀や人形を見てわいわい感想を言い合いながら屋台の方へ進むことになった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。