屋台のすぐ前まで辿り着くと、右手にだだっ広い公園があった。
普段はなにか催しでも開催される場所なのだろうか。遊具があるわけでもなく、ただひたすらに土地が広がっていて、円状のベンチがぽつんと置いてある。
「あそこに座って食べようよ! ほら、鳩さんもいるよー」
「鳩さんて……。お前、千夏の同級生じゃないんだから……」
「えへへ、トモヤもお子様みたいなくせに〜」
「……待てよ? 今でもいっぱいおもらしするあたり、千夏よりマツリの方が幼いんじゃ……」
「う、うっさい! そんなこと言うともうおしっこしてあげないんだからねっ」
「すいませんごめんなさいもう言いません」
そんな軽口を叩きながら屋台で食べ物を買って、ベンチへと移動する。
購入した食べ物は、ホルモンうどん。
三田牛のホルモンを絡めた焼きうどんにしっかり味が染み付いていて、見るからに美味しそうだ。しかも値段もリーズナブルで、これだけでお腹いっぱいになりそうな量なのに400円ポッキリ。電車賃だけで相当な出費だったから、お財布にも美味しいお昼ご飯である。
ホクホクのホルモンうどんを二つ手に持って、ベンチへと向かう。
すると、先にベンチで待っていたマツリがウェットティッシュを用意しておいてくれて、それで手を拭いてからうどんを食べることが出来た。
二人並んで、焼きうどんをすする。
途中絡みついたホルモンがシンプルな肉の旨味をもって味覚を刺激し、しかもそれが噛む度に繰り出される。
「うわぁ、これおいしい……!」
「そうだな、屋台で食べて正解だった!」
噛みごたえのあるホルモンと味の染み付いた麺に、二人は大満足で箸を止めない。
しかし、夏に焼きうどんを食べているこの状況。
いくら美味い食べ物だとはいえ、飲み物がないと食べるのはだんだんと苦になってくる。
マツリは水分補給のために麦茶を水筒に入れて持ってきてるようだが、俺は何も持っていないため辛くなってきた。
「? あ、喉乾いたの? 飲む?」
と、マツリが水筒のフタについたコップに麦茶を入れて差し出してくる。
……確かに、優しい幼なじみが自分のために麦茶をくれているこの状況、並の人なら断る理由が見当たらない。
しかし、俺は日本一の味を誇る、水分補給・塩分補給の対策水が手に届く場所にあることを知っている……!
「……マツリ、その麦茶はお前が飲め」
「え、そんな。私はもう大丈夫だよ? 充分水分摂ったし……」
「……その麦茶をたくさん飲んでおしっこして、それを俺に飲ませてくれ!」
「…………バカなの?」
マツリは俺の言動に呆れたように「……ふぅ」と息をひとつ吐くと。
「…………もう、仕方ないなぁ。私はもうおしっこ出るから、いいわよ。麦茶も飲んで」
と、照れたように顔を背けて口を開いた。
……かわいい。