「こ、これって……!」
「……マツリがこぼしたおしっこの栄養が肥料になって、地面の下で枯れかけてた森が再生したんだな……」
マツリのおしっこは尋常じゃなく美味いからなにかに役立つとはかねてから考えてたけど、ここまで栄養価が高い液体だったとは……。
前遊びに行った川も魚が巨大化したってニュースをやってたし、あれもマツリのおしっこによる効能だったんだろう。
なんて俺がその素晴らしさを身に染みて感じていると。
「おおおおおおおおおおおおっ!」
「な、なんだっ!」
突然、辺りに轟音が鳴り響く。
驚いて見回すと、俺とマツリを囲んで人垣が出来ていた。
響いていた轟音は、周りの人たちによる歓声だったようだ。
その場にいた全員が、拍手喝采する。
そして、その中から一際大きな拍手を鳴らしながら歩いて来る男性が一人。
彼は、この広場の持ち主だったようだ。
「素晴らしい! 君の銅像を、ぜひこの広場に設置させてくれないか!」
「……え、ちょ、ちょっと……」
「……ふむ、タイトルは……『尿零す生娘の像』でどうだ!」
「……ほ、ほんとにやめてください……」
真っ赤になるマツリと、マツリを祀り上げるその場の人々。
いつしかマツリはーー神になっていた。
「は、恥ずかしいよぉ……助けて、トモヤ……」
しかしこんな喜ばしいことが続いているのに、目立つのが苦手なマツリは顔を真っ赤にして嫌がっている。
……ならば、助ける役目は俺しかいないよな!
「……マツリのおしっこは、俺だけのおしっこだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
俺は、マツリの手を引いてダッシュする。
呆気にとられて、それでも追いかけてこようとする信者めいた人々を振り切るため、全力で走る。
「か、神が逃げたぞー! 追えぇぇぇえ!」
〜 数分後 〜
「ふぅ……やっと隠れられたね」
「観光客がいっぱいいて助かったな……」
数分後。
俺たちはなんとか追手を逃れることに成功し、城の入城受付へと辿り着いていた。
一人千円。料金を支払って、入城ゲートをくぐる。
追われているときは一心不乱に逃げてたから気が付かなかったが、なるほど。
間近に迫った姫路城は日に照らされて、神々しいとしか言いようがない、シンプルながら人々を惹きつけるフォルムをしていた。
「急だから、登るの大変じゃないか?」
「……あっ……ありがと。ちょっとだけ、かっこよかった……よ?」
入城門をくぐってから三の丸御殿群までの坂道は、目で見るよりも遥かに急だった。
マツリが大変そうにしているので、それを見兼ねた俺が手を差し伸べる。
すると、マツリはちょっとだけ不服そうに。
それでも頬を染めて感謝の言葉を述べ、そしてまた歩き出すのだった。