幼なじみのおしっこが最高に美味い。   作:雨宮照

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水の妖精。

幸いなことに、片付けは他人の力を借りずとも俺の胃袋だけで行なうことができた。

でも、ここに濡れた格好のまま居座り続けるのはお門違いというもの。

天守閣ではシャチホコを見たり神様に災害の無事を祈ったりして、そそくさとその場をあとにすることにした。

 

「……ここは……?」

「お城の入口の近くにあった公園だ。ほら……人が少ないのにこんなにお城が綺麗に見えるんだぜ?」

「……トモヤがなにもしなかったらそのお城にもっと居られたんだけどそれについてなにかないの」

 

ぷくっと頬を膨らませてみせるハコフグみたいなマツリに、俺はカバンからあるものを取り出して手渡す。

 

「ほら……これが俺からの思いだ」

「えーっと……これは……」

 

手渡されたものを広げて絶句するマツリ。

それもそのはず。だって俺が彼女に手渡したものはーー。

 

「……なんでトモヤが女の子用のパンツとワンピース持ってるのよっ!」

「いや、あの……こういう状況になると思ってプレゼントをだな……」

「計画的犯行だったってこと!? もう……っ!」

 

文句を言いつつも仕方なく近くにあったお手洗いで着替えるマツリ。

自分で選んでおきながらこう言うのも不思議な話だが、マツリの白い肌を引き立たせるように水色のワンピースが光っていて、水の妖精のようだと思った。

それ即ち、すごく似合っていた。

 

「と、トモヤっ! なんでパンツもワンピースもサイズぴったりなのよっ! 気持ち悪い!」

「ふふん、お前が服だの下着だのを選んでるところまで全て尾行済みだ! どうだ、最高のプレゼント選びだろう? 男として見直してくれてもいいんだぜ? お?」

「だーめだこの人、脳みそおしっこで出来てる」

 

俺は抜かりないプレゼント選びをした自分を讃えていたのだが、なんだ。

最後にはマツリの口からも脳みそがおしっこで出来てるなんて光栄な言葉を貰っちまった。

 

時刻はもう夕方。

オレンジ色の西陽に照らされながら、なんだか幻想的な雰囲気で城をバックに二人。

実を言うと、今日のデートはこの瞬間のために動いていたようなものでもあった。

場所選びから観光までを二人で行なうことで、マツリと俺がいかに似た感覚を宿し、息が合っているのか。そして、いかにお互いのことを大切に思っているのか。

それを再認識して、この場を迎えたかったがために俺が仕組んだ計画のうち。

俺はこの場で……幼なじみに、告白する。

 

意識するとなんだか指先が冷たくなって、血液が胸と頭に集まって、俺の身体は中枢の器官だけで動いてるただの容れ物なんじゃないかなんて、そんな訳も分からないことが脳裏によぎった。

そんな現実逃避にも似たような不思議な理性の逃避行を半ば強制的に腕を引っ張って止めると、俺はベンチで横並びに座っている幼なじみに向けて言葉を紡ぐ。

……いや、実際は顔を合わせることが出来なかったわけだがそういうことにしておいていいだろう。だって、ここには二人しかいないんだから。

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