言われて下を見てみると、よく俺の目に馴染んだベッドの上に噴水があった。
それは「シャァァァッ」と勢いよく音を立てて噴き出していて、滴り落ちて水たまりを作っている。
さっきまで下校中の子どもたちの声が賑やかに聞こえていたというのに、誰かさんのおもらしの音を境にぴったりと音がやんだように錯覚してしまうのだから不思議だ。
「え、えーっと……トモヤ、ごめんね?」
おしっこを漏らしてこれ以上ないくらいに真っ赤になって震えていた本人が、俺の顔色を伺いながら謝罪をしてくる。
そんな幼なじみに俺は、聖人のように対応する。
「いや、いいんだマツリ。人には失敗の一つや二つあるものだし、俺とお前は幼なじみ。お互いの性格や特性も理解してるはずなのに、異変に気づいてやれなかった俺が悪いんだ……」
「……と、トモヤ……っ」
マツリが、目に涙を溜めてうるうるしている。俺の広い心と神対応、俺たちの友情に感動してしまったらしい。
と、俺も罪な男だなあと我ながら感心していると、マツリがなにやら考え込み始めた。
「……いや、ちょっと待ってよ……? 私が、お、おしっこを漏らしたのって元はといえばパンツを取られて恥ずかしかったからで……。そのパンツを切り刻んで脱がしたのって……」
「……俺だな」
「……じゃあ悪いのは元々トモヤじゃないっ! なんで私の代わりに罪を被ったいい人みたいな顔してるのっ」
……バレてしまった。
以前クラスメートにおしっこのギミックを熱弁したときはあんなにも簡単に納得してくれたのに、この幼なじみは勘が鋭いらしい。
でもこれ……。
「後処理どうするかぁ……」
「……うぅっ……それはほんとにごめんね……」
クリーニングに出すか、買い換えるか。
一般人が漏らしたおしっこだったら、そんな選択肢の中から一つを選んで実行するだろう。
だが、今回俺の布団をおしっこまみれにしたのは何を隠そう、放尿系美少女のマツリである。つまり、俺の迷うところは……。
「マツリのおしっこに毎晩包まれて寝るか、マツリのおしっこをこの場で布団から吸い出して飲むか……」
「……ふぇぇっ!」
俺がこの世で最も崇高な悩みに頭を捻っていると、なぜかマツリが素っ頓狂な声を上げた。なんだか驚いてるようだけど、なにかびっくりすることでもあったんだろうか。
「……トモヤっ……それ……」
「……ん? なんだ、マツリもどっちがいいか一緒に考えるか?」
「……えぇ、いや……あの……飲むの……?」
「ん? なにがだ?」
「……わ、私のお、おしっこ……飲む……の……?」
またも耳まで真っ赤にして恥ずかしそうに、さも俺が不思議な行動をとっているかのように聞いてくるマツリ。
なんで俺はこんな当たり前のことに回答しなくちゃならないのかと疑問に思いながらも返事をする。
「……当たり前だろ? だってもったいないじゃないか」