妹。
夏はなにかと喉が渇くものである。
ただ家でスマホをスクロールしてゴロゴロしているだけでも、身体の水分はじわじわと奪われていくのだ。
ほら、テレビ番組でも熱中症対策に関するコーナーが今も放送されている。
ということで、リビングにて読書をしていた俺も例外ということはなく、なんとなく気怠くなってきたので水分をとることにする。
「おーい、千夏。お兄ちゃんにいつものー」
「……はーいっ、ちょっとまっててね! ……」
とたとたと、二階の部屋からリビングに下ってくる足音が聞こえる。
その音が止んだかと思うと、すぐに小さな影が寝てる俺の枕元まで近づいてきて……。
「直接飲む? コップで飲む?」
「……あーっと、今日はコップで頼む」
と、おしっこの飲み方を尋ねてきた。
今日は温かいおしっこをそのまま喉に通すのははばかられるような気温だったので、俺はコップで飲む方を選択する。
「お兄ちゃん、今日はね、千夏、いっぱいお水飲んだから薄くていいおしっこが出ると思うよ!」
「そうか、千夏は偉いな……ありがとう」
俺は、薄いおしっこを作り出すために尽力する妹の頭を丁寧に撫でてやる。
シルクのように手に馴染むさらさらの髪が艶やかで、肌に気持ちよかった。
「……でもお兄ちゃん、最近よく薄いおしっこがいいっていうけど、この前はよく濃いおしっこが飲みたいっていってたよね?」
「……ああ、それはだな……」
どうして? と千夏が言うので、詳しく説明してやる。要約すると、おしっこの需要と供給は季節によって変わってくるという話だ。
それも、残酷なことに夏と冬には需要と供給が反転してしまい、自然なままでは満足のいくおしっこを楽しむことは出来ない。
メカニズムを説明すると、おしっこの質には気候が密接に関係しているというわけだ。
当然のことだが、夏は暑く冬は寒い。
夏はよく汗をかくし、冬は汗をかきにくい。
そうすると体内の水分量は、夏は少なくなって冬は多くなる。だから自然と夏は濃くて水気の少ない黄色いおしっこが出て、冬は透明で薄い水に近いおしっこが出る。しかしここで問題なのが人間の求める水分の質だ。
熱中症への対策が必要な夏は水分量の多い冬に出るおしっこが欲しくなり、逆に水分量の多い冬は味や成分が濃厚な夏に出るおしっこが欲しくなる。つまり、需要と供給の反転が起こってしまうというわけだ。
「……だから千夏にはいつも冬には運動をしてもらって、夏には水をいっぱい飲んでもらってるってことだな」
「そっかぁ……! じゃあ千夏、いっぱいお水飲んでおいしいおしっこつくるねっ!」
なにかに憧れるようなキラキラした表情をする千夏だったが、元気よく頷くとそのまま履いていた短パンを脱ぎ去る。
そしてパンツに手をかけるーーかと思いきや、表れたのは白い布地ではなく、肌色の未発達な柔肌だった。
「お前……パンツはどうした……?」
「あのね、お兄ちゃん。パンツはおしっこするのに邪魔だから、履いてないよっ」
「もしかして、俺のいいつけを守って……」
去年の夏、俺は千夏にパンツ撤去命令をしたことがある。確か、夏の濃いおしっこを野外で直飲みすることにハマっていた時期だっただろうか。そこから誤解を与えてずっと妹がノーパン生活をしていたとは、なんとも申し訳ないことをしたもんだ。
千夏が高校生になったらストッキングを履かせて、その少し引っかかるくらいの粗い布地で漉したおしっこを飲みたいと思っていたのに、その計画が破綻するところだった。
ストッキングの薄い黒越しに見える白いパンツを見ながら一杯舐めるのが素晴らしいのに、危ないところだったな。
「……ってわけだから、これからはちゃんとパンツを履くんだぞ」
「うん、わかった!」
兄としてきちんと躾を施すと、千夏は元気よく頷いてズボンを足首から抜き去った。
そしてガラスの底の深いコップを下の方に構えると、縁をおしっこが入りやすいようにくっつけたりはせず、見応えのある遠距離のパフォーマンスとして放尿する。一筋のおしっこの線が一直線にコップへと向かっていて、その熟練された匠の技には感服せざるを得ない。
さながらその光景は水の女神を思わせる神聖な姿であり、見るものの心を浄化するほどの清らかな魅力に満ちていたといっても過言ではないほどだ。
千夏はおしっこを注ぎ終わると、早く俺に飲んで欲しいとばかりにその改良を重ねて上手になった夏のおしっこを手渡してくる。
両手で大切なプレゼントを渡すかのようにおしっこを渡して微笑む妹が、今日も最高にかわいかった。