タイトルの意味は片翼の想い歌。
青年は戦う、片翼の少女の夢を守る為に……
もう一人の片翼は安心する、夢を諦めた少女がもう一度空へ羽ばたくのを見て……。
――三人称視点――
――リディアン音楽院、屋上――
「復帰ステージのライブですか!?」
トラブルもあった楽しいデート回(少し違うが)から翌日。昼休みのリディアンの屋上で翼に呼ばれた響と未来は、翼からアーティストフェスのチケットを手渡された。
「ああ。アーティストフェスが十日後に開催されるのだが、そこに急遽ねじ込んでもらったんだ。中止になったライブの代わりというわけだ」
「なるほど」
「あ……」
翼の話を聞いた未来が納得していると響がどこのステージなのかチケットの裏側を確認するとそこには二年前の悲劇が起きた響にとって因縁あるステージの名前が書かれてあった。
「翼さん、ここって……」
「……すまない、立花にとって辛い思い出のある場所なんだ……―「ありがとうございます。翼さん」―え?」
問われた翼は悲しい表情で響に謝罪するが突然、響からのお礼を言われ顔をあげて彼女の顔を見上げる。そこには力強い笑みを浮かべた響が真っ直ぐに翼の顔を見つめていた。
「響……?」
「いくら辛くても過去は絶対に乗り越えていくことができます!そうですよね?翼さん!」
「……ああ、そうだな。私も、そうなりたいと思っている」
響の言葉を聞いて優しい笑みを浮かべた翼は再び上着のポケットから封筒を取り出して二人に手渡した。封筒を受け取った未来が中身を見ていいかと許可を得てから、中身を確認すると中には先ほど渡されたのと同じアーティストフェスのチケットが7枚入っていた。チケットを見た響が翼の顔を見ると翼はコクりと頷いた。
「翼さん。これ、もしかして……?」
「ああ、如月さん達の分だ。あの人達にも世話になったお礼にな。如月さん達の連絡先が知らないから、手間をかけてすまないが、もし如月さん達の都合が良ければ誘ってくれないか?」
「まかせてください!弦太郎さん達なら、絶対に行くと思います!」
「みんなで応援してますね」
「ああ。その時はよろしく頼む」
「「はい!」」
翼からの頼みを聞いて二人は元気よく返事を返した。
◇◇◇
――アーティストフェス、ライブステージ入り口前――
十日後、アーティストフェス当日。響からライブの誘いを受けて二つ返事で了承した弦太郎達は、開演時間前に既に到着して響と未来が来るのを待っていると、ユウキが小走りで向かって来る未来の姿をみて大きく手を振って呼び掛ける。
「あ!おーい、未来ちゃん!こっちこっち!」
「すみません。待たせちゃって……!」
「あれ?響はどうしたんだ?」
「響はその、補習で……」
その言葉を聞いた弦太郎達はああ、なるほど……となんとも言えない表情を浮かべていた。
「どうする?後30分で開演するぞ?間に合うか?」
「うーん……よし!ちょっくら俺がマッシグラーで迎えに行って……―ピピピピッ!―っ!はい、こちら弦太郎」
『はい、響です』
自分の腕時計を見た隼が響が間に合うか心配の言葉を言うと腕を組んでいた弦太郎が迎えに行こうと提案すると二課から渡された通信機から通信が入り、それを聞いた弦太郎は目付きを変え、通信に出ると同じく通信が繋がった響の声も聞こえた。
『ノイズの出現パターンを検知した。翼にもこれから連絡を―「待ってくれ、弦十郎さん」―……なんだ弦太郎君』
「現場に行くのは俺と響だけで行かせてくれ。今回のライブは翼にとって大事なライブなんだ。だから、絶対に中止にしたら駄目だ。翼には連絡しないでくれ。いいよな響?」
『はい!私も同じ意見です!翼さんには自分の戦いに望んで欲しいんです。あの会場で最後まで歌いきって欲しいんです……!お願いします!』
「…………やれるんだな?二人とも?」
二人の想いを聞いた弦十郎は目を見開き、口元に笑みを浮かべた後、二人に出来るかと質問する。
「『ああっ!(はいっ!)』」
それを聞いた二人は力強い返事を返し、通信を切った。通信を切った弦太郎は後ろにいる未来達の方を振り向いて申し訳なさそう表情を浮かべていた。
「わりぃ、みんなそういう訳だから……」
「そんな顔をするな弦太郎」
「……賢吾?」
「俺達もお前と同じ気持ちだ。今回のライブは彼女にとって大切な事だ。ノイズなんかに邪魔されてもしたら、風鳴の夢に泥を塗ることになる。だから……立花と共にさっさと片付けてこい!」
「賢吾、未来、みんな……。ああ!まかせろ!俺達の分まで翼の応援してくれ!じゃあ行ってくるぜ!」
親友の言葉を聞いた弦太郎は胸が熱くなり、笑みを浮かべサムズアップをしてから賢吾達から走り出した。
しばらく街中を走っていた弦太郎は、人通りが少なくなったのを確認するとフォーゼドライバーを腰に巻いた弦太郎はフォーゼドライバーにある4つの【トランスイッチ】を全て倒し、フォーゼドライバーのバックル中央の液晶画面【ステイタスモニター】に光が灯る。走りながら弦太郎は左腕を顔の前に右手をフォーゼドライバーの右横にある【エンターレバー】を握るとフォーゼドライバーからカウントダウンが流れる。
―3―
―2―
―1―
「変身っ!」
エンターレバーを引き右腕を空に翳すとベルトから二本の輪が展開され軽快な音が流れると同時に光と蒸気が弦太郎の身体を包み込み、光と蒸気が収まると弦太郎は仮面ライダーフォーゼ・ベーシックステイツに変身した!
【―ロケット・オン―】
「宇宙……キターーーーーーッ!!!」
変身が完了したフォーゼはロケットモジュールを
◇◇◇
「いい加減、しつこいんだよ!」
ノイズが現れた街から離れた港の倉庫街でイチイバルを纏ったクリスが一人で倉庫街をひしめくノイズ達と戦っていた。クリスはガトリングやミサイル等を使ってノイズ達を次々と殲滅させていくがノイズ達を倒してもその数が一向に減っていなかった。
その原因はノイズ達の奥にいるそれぞれ二つの砲門を持つ、竜のような顔を模した二本首の要塞型ノイズが減らされた以上の数のノイズを生み出していたからだ。
クリスは先に要塞型ノイズを倒そうとするが要塞型を守るように他のノイズ達がその行動を阻害され、攻めあぐねていた。
「なっ!?まずいっ!」
邪魔をするノイズ達の攻撃をかわしながら、要塞型にガトリングとミサイルの雨をくらわせるが狙いが甘く決定打に欠けていた。クリスは移動しながら、ここいらで大技を繰り出そうと思考を割いていると要塞型から繰り出された砲撃に気づくのが遅れてしまい、なんとか直撃は避けようと地面を蹴ってその場から離れるが地面に着弾した時に起きた爆風に煽られ、地面を何度も転がった。
「くっそ、やりやがったな……っ!しまっ……!?」
悪態をつき直ぐに地面から立ち上がろうとするが、要塞型ノイズの追い討ちの砲弾がまだ地面に倒れているクリスに向かって放たれた。
回避が間に合わず放たれた砲弾がクリスに直撃すると思われたその時――。
「はあっ!」
「オラァッ!」
直撃する直前、仮面ライダーフォーゼとガングニールを纏った響が彼女の前に立ち、響は蹴りでフォーゼはハンマーモジュールで砲弾を叩き落としクリスの危機を救った!
「っ!お前ら!」
クリスは自身を助けた二人を見て驚きの声をあげるが、二人は顔をクリスに向け言葉をかけず笑みを浮かべて頷いた後、ノイズの群れに向かっていった。
【クロー・チェーンソー・オン】
ノイズの群れに向かったフォーゼは
「次はこいつだ!」
【マジックハンド・ホイール・ジャイロ・オン】
クローとチェーンソーのスイッチを切ってスイッチをクロースイッチ、ドリルスイッチ、ハンマースイッチを抜き取ると、代わりにフォーゼドライバーにマジックハンドスイッチ、ホイールスイッチ、【アストロスイッチ37・ジャイロスイッチ】をそれぞれ○、△、□のスロットに装填、すぐにスイッチを入れて
「はあぁぁぁぁぁっ!」
同じくノイズの群れに突っ込んでいった響は背後からきた人型ノイズを裏拳で怯ませると、そこから肘打ちを当て炭に変え、正面からきた二体のノイズの内一体に正拳突きを繰り出し、息つく間も無くもう一体に回し蹴りをくらわせる。
「おぅらぁっ!割って、差す!」
【―Nマグネット―】
【―Sマグネット―】
目の前にいたノイズを前蹴りで蹴り飛ばしたフォーゼは取り出したNSマグフォンを開いて両手に持つとマグフォンを二つに割って右手に【アストロスイッチ30・Nマグネットスイッチ】、左手に【アストロスイッチ31・Sマグネットスイッチ】をフォーゼドライバーの両端のスロットに装填させ、二つのスイッチを入れる。
【―N、S、マグネ~ット・オン―】
二つのマグネットスイッチから頭部アーマーとキャノン砲を備えた肩と胸部アーマーが現れ、フォーゼの左右に半透明の巨大なU字磁石が現れるとフォーゼの身体を挟み込み、アーマーの装着が完了したフォーゼの砲撃形態。
仮面ライダーフォーゼ・マグネットステイツ(以下:フォーゼMS)にステイツチェンジした!
「さらに!」
【―ランチャー・ガトリング・オン―】
「一斉掃射っ!」
フォーゼドライバーの×スロットと△スロットに装填して
フォーゼMSと響が地上でノイズを次々と倒していくなか、空中から槍のように襲撃してくる複数の飛行型ノイズが二人の頭上から強襲してきたが、横から放たれた無数の銃弾が飛行型ノイズ達の体を撃墜させ、空中に炭に変えた。
「「っ!」」
「これで貸し借り無しだぁ!」
放たれた銃弾の音で不意打ちを受けそうになった事に気付いた二人は銃弾が放たれた方を向くと、そこにはガトリング形態のアームドギアを構えたクリスが宙を舞いながら、先ほど助けられた借りは返したと言って他のノイズに向けて銃弾を放っていた。
「クリスちゃん……!」
「ありがとなっ!クリス!」
二人は笑みを浮かべてクリスに礼を言って、再び構えノイズを倒していく。フォーゼMSと響が加わった事により先ほどより早い速度でノイズはを殲滅していく三人。残りは最初より数が減ったノイズとそれを生み出す要塞型が残っていた。
「よし、一気に決めるぞ!」
「はい!」
「あたしに指図すんな!」
フォーゼMSが二人を鼓舞するとそれに元気よく響が答え、クリスがフォーゼMSに文句を言いながらも、両手のガトリングとリアスカートから展開したミサイルを撃ち放ち、空中にいる飛行型ノイズ達を全て撃ち墜としていく。
クリスの後に続くように響が飛び上がり、一回転してから手動で限界まで引き上げた右腕のガントレットを地面に叩きつけると地面が崩壊しその衝撃で要塞型以外のノイズ達を炭に変えた。
フォーゼMSはフォーゼドライバーのエンターレバーを引いて、両肩のNSマグネットキャノンが肩から分離して空中でU字磁石状に合体、自身の前方に待機させ最後の一体になった要塞型ノイズに狙いをつけ、フォーゼドライバーに装填されたNマグネットスイッチの後部のカバーを外し、カバー下のボタンを押してフォーゼMSの必殺技を放つ。その必殺技の名は……
「ライダー超電磁ボンバーッ!!!!!
!!!!!」
合体させたNSマグネットキャノンの両砲から赤と青の閃光を束ねた紫の光弾が放たれ、光弾が直撃した要塞型ノイズの巨体を赤と青の球体の力場に捕らえ、球体の内部に小型ブラックホールが発生され、要塞型ノイズの巨体がどんどん圧縮されていき、圧縮したエネルギーが臨界になり内部から爆発した!
全てのノイズが大量の炭になって辺りを降り注ぐ中、響とフォーゼMSは翼が歌っているライブステージの方角を見上げて、彼女の歌を、夢を守る事が出来て笑みを浮かべていた。
◇◇◇
―アーティストフェス、ライブステージ―
響と弦太郎がノイズを全て倒し終えた頃、ステージに立って自身の想いを込めた歌を歌い終え、ステージにいるファンから惜しみない拍手と歓声が沸き起こっていた。
「ありがとうみんな!今日は思いっきり歌を歌えて気持ちよかった!」
翼が心からの感謝を伝えるとそれを聞いたファン達から再び歓声が沸き起こる。
翼は一度深く呼吸してから、心から全力で歌ったおかげで忘れていた気持ちを思い出し、歌を歌いそれを聴いてくれる人達の前で歌うのが大好きだという気持ちをファン達に向かって告白した。
そして、自身が国を越えて歌を歌わないかと誘われた事を静かに自身がそれを迷っていた事を伝えた。だが、翼は例え言葉が伝わらなくても、世界中の人達に自身の歌を聴いてもらいたいとそして自分の歌が誰かの為になると信じている事を告げる。
「たった一つのわがままだから、聞いて欲しい……許して欲しい……!」
そう言った翼の頭の中に彼女の大切な片翼の姿が思い浮かぶ……。
「許して、欲しい……」
悲しい表情で俯く彼女に
―許すさ、当たり前だろ……?―
「……えっ?」
その声に驚いて顔をあげた瞬間、ステージ中からファンの励ます声が沸き起こる。翼はファンの励ましの声を聞きながら、大切な片翼の声を聞いた翼は涙を流しながら感謝の言葉を言った後、顔を上げて夜空を見上げ心の中でありがとうと伝えていた。
「(ありがとう……奏……)」
◇◇◇
『―《もう大丈夫みたいだな……》―』
ライブステージの真上に広がる夜空に浮かんでいる赤い長髪の一人の女性がステージに立つ翼を優しい笑みを浮かべながら見下ろしていた。
普通の人が空中に浮かぶのは普通ならあり得ない筈なのだが、よく見ると女性の身体は半透明だった。
『―《全く、最後まで心配かけてくれちゃって、おちおち死んでいられなかったよ、翼……》―』
女性の名は【天羽 奏】。二年前にこのライブステージで命を落とした、翼の大切な片翼だった人だ。
彼女は死んだ後、自分のせいで背負わせてしまった翼の事が心配で今日まで翼を見守ってきた。
だが、二ヶ月前に自分が助けた少女が自分と同じガングニールの装者として、そして同時に生前耳にしてた都市伝説の存在である仮面ライダーが翼の前に現れたおかげで自分が知る優しい翼に戻ってくれた。
そして今回の復帰ライブで歌う翼の姿を幽霊の特権で間近で彼女の歌を最後まで聴いていた。そして歌を歌い終えた翼の言葉を聞いた奏は悲しい表情で俯いている彼女の前に立ち、聞こえないとわかっていても自分の言葉を彼女に伝えた。
奇跡かまたは偶然か奏の声が聞こえた翼が顔を上げたのを見て奏は驚いてしまったが軽く笑った後、身体を浮かび上がらせて、夜空広がる空まで上がり今に至る。
奏は視線をライブステージから反対の方向を見つめると視線の先からガングニールを纏った響を背負って、ロケットモジュールで急いでライブステージに向かっている仮面ライダーフォーゼの姿が彼女の視界に入ってきた。
「ウオォォォォォォッ!?間に合えぇぇぇぇぇっ!!」
「急いでください、弦太郎さん!今ならまだ閉演前のトークまでには間に合う筈です!」
「おう!わかってる!しっかり掴まっていろよ!」
『―《……あはははっ!カッコいい事言った癖に締まらないな……!》―』
幽霊の身体のおかげかまだ離れた距離にいる二人の姿と会話がに耳に入り、その内容を聴いた奏は死んでから久しぶりに心から笑いだした。
『―《ははは、はぁ……あんた達のおかげで翼はまた、再び羽ばたく事が出来たよ。ありがとな》―』
ようやく笑いが治まると奏はライブステージに急いで向かってくるフォーゼと響に礼を言うと奏は消える前に彼女の横を通り過ぎるフォーゼに向けて最後の言葉を伝える。
『―《翼の事を頼んだよ……仮面ライダーフォーゼ》―』
「っ!」
「わわっ!ど、どうしましたっ?」
「……いや、わりぃ何でもない。急ごう!(……ああ、まかせろ)」
突然、空中で方向転換したフォーゼに振り落とされそうになりつつもしがみついた響がフォーゼに質問すると、空中で滞空しながらフォーゼは自身の耳に聞こえた自分の名前を呼んだ女性の声に驚いていたが、何でもないと伝えるとフォーゼは胸の内で先ほどの声に答え、急いでライブステージに向かっていった。
――三人称視点、終了――
いかがでしたか?クロトダンです。
ちょっと話が急過ぎでしたね。
しかし、ようやくこの作品も佳境に入りました。アニメの一話を半分ずつ分けながら書いてきましたが、後少しであの友情のスイッチが登場させる事が出来ますね!
このままの勢いを忘れずに最終決戦までいきたいです!
それでは!
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