友情絶唱 宇宙、キターーーーーッ!!!   作:クロトダン

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あれ?一万文字近く?マジで……?
区切ろうにも中途半端になるし、うーんよし!このままいきます!
そろそろ話も佳境にはいるので今回は少し駆け足気味です。


タイトルの意味は繋いだ手が紡いだ心。


青年は手を伸ばす、絆を掴んだその手を銀髪の少女に向けて……

撃槍の少女は手を握る、誰かと手を握る為に……


14:繋、手、紡、心!

―郊外の屋敷前―

 

――三人称視点――

 

 

 街から離れた郊外にある屋敷の前で、数名の部下達を率いた弦十郎が、一連の事件の首謀者であるフィーネが潜伏している屋敷の前に立っていた。

 

「突入の準備が出来ました。いつでも動けます。司令、指示を」

 

 突入の準備をしていた部下の1人が突入の準備完了したと報告を受け、弦十郎は一度目を瞑り今回の事件の首謀者である彼女の姿を思い出していた……。

 

「(出来ればそうでないと心のどこかで願っている自分がいる。だが!これ以上罪を重ねる前に君を止めたい)……よし、いくぞ!」

 

「了解です!」

 

 弦十郎の合図と共に両開きの扉を開け、突入した部下達と共にが警戒して各部屋を確認しながら通路を進んでいく。しばらく奥に進んで行くと一つだけ他の部屋とは違う雰囲気の部屋が見えてきた。さらによく見ると扉が開いていたのが確認出来た。

 先に中に入ろうとする部下を止め、代わりに弦十郎が部屋の中に入ると恐らく彼女の研究室だと思われる部屋に入り、部屋の中には複数の武装した男達が事切れた姿で倒れており、さらに部屋の中心には彼が助けたかった少女―雪音 クリスが部屋に入ってきた弦十郎の顔を見て佇んでいた。

 

「違う……あたしじゃない!やったのは……!」

 

 後退りながら怯えた表情でこの惨状を否定するクリスだが、部屋に突入した部下に一瞬身構えたが、自分を無視して通り過ぎたのを見て、戸惑っている彼女に近付いた弦十郎は安心させる為にクリスの頭に手を乗せ、心配するなと声をかける。

 

「誰も君がやったと思ってない。全ては……君や俺達の側にいた、彼女の仕業だ……」

 

「え……?」

 

「(もう君を止める事が出来ないのか?了子……)」

 

 そう言って弦十郎は、部屋の惨状を引き起こしたこの場にはいないいつも笑顔で二課を元気つけてくれた櫻井 了子の顔を思い浮かべていた。

 

「風鳴司令……!」

 

 死体の一つを調べていた部下の1人が声をかけてきて、死体に張り付けてある【I LOVE YOU SAYONARA】と書かれた紙を取ろうと手を伸ばしていた。

 

「っ!?待て!触るな!」

 

 それを見て何かに気付いた弦十郎が制止の声を出すが時既に遅く、その紙を持ち上げた瞬間、全ての死体の真下から光が溢れ出すとそこから死体を押し退けて真下から、弦太郎の報告にあった八体の黒い忍者―ダスタード達が現れた!

 ダスタード達は突然の事で驚いている部下達に死体を投げ動きを止め、その隙に横を通り過ぎその先に立つ弦十郎達に狙いを定めて、その手に持った刃を振り翳してきた!

 

「っ!?(聖詠を……駄目だ間に合わない!)」

 

 目の前に迫ってきたダスタードを迎え撃とうと聖詠を唄おうとしたが、それの前に速く相手が刃を振り下ろそうとしたその時――。

 

「ハァッ!」

 

「なっ!?」

 

 振り下ろされる直前に弦十郎がクリスの前に出てきて、握り締めた拳を襲い掛かってきたダスタードの身体に叩き込み、その身体をボールのように突き飛ばし壁にめり込みダスタードは一瞬痙攣した後ガクリと首垂らし星屑を散らしながら消滅した。

 

「フンッ!ハァァァァァ……ハアァッ!!!」 

 

 次に弦十郎は飛ばしてきた手裏剣を視認すると気を纏わせた震脚で地面を捲らせて即席の盾にしてそれを防ぎ、気を込めて突き出した事で壁を砕き、即席の砲弾にして瓦礫を飛ばし三体のダスタード達の身体を穿き貫いた。

 

「む……っ!おおぉぉッ!フンッ!」

 

 残った四体のダスタード達は弦十郎の四方を囲み、弦十郎の動きを阻害しようとその手に持つ刀を振り上げ斬りかかってくる。だが、弦十郎はそれ避けるのではなく一歩踏み込んで、その内の一体に近付き、膝を軽く曲げて懐に入り込むと相手の胸に背中を当て、その大柄な身体から繰り出した鉄山靠で吹き飛ばし、次に左右から振り下ろしてきた刃を左右の二本の指で挟み、腕を振り上げ刀を奪い捨てると得物を失った二体のダスタードにそれぞれ拳と蹴りを喰らわせ地面に叩きつけ星屑を散り果てる。

 最後の一体のダスタードが繰り出してくる刃をかわして右手を手刀にして刃をへし折った。

 得物を折られた事に驚いていたダスタードに弦十郎はとどめの一撃を放ち、ダスタードの身体は奥の機材が乗った机がある場所まで吹き飛ばされた。

 このまま機材ごと巻き混んで倒れるかと思われたが、ダスタードは吹き飛ばされながら身体を捻って地面に着地したが、ダスタードの左腕が肩から弾けとび地面に倒れこんだ。恐らく拳をくらう直前に身体をずらし、直撃を避けたようだ。

 

「司令!ご無事ですか!?」

 

「ああ、問題ない。だが、油断するなまだ終わっては……何だとっ!?」

 

 残心を取った弦十郎に起き上がった部下の一人から声をかけられ目線を外さずに返事をするが、突如左腕を失くしたダスタードの残った右腕に握られた長方形の機械を握り締めているのを見て驚愕の声をあげる。弦十郎が阻止しようと動こうとするがダスタードはそれより早く赤いボタンを押し。次の瞬間、屋敷全体に爆発が起こり、その衝撃で屋敷の天井が崩れ落ち弦十郎達の上に落下した。

 

 

◇◇◇

 

 

 爆発により起きた煙が晴れると崩れ落ちた天井の一部を片腕で支え、落ちてくる瓦礫に当たらないようにクリスを抱き寄せた弦十郎が立っていた。一緒に崩落に巻き込まれた部下達もかすり傷を追ってはいたが立ち上がる姿が確認出来た。

 

「どうなってんだよ、こいつは……!?」

 

「安心しろ、衝撃は発勁で掻き消した」

 

「そうじゃねーよ!なんでギアを纏えないやつがあたしを護ったんだよ!?」

 

 弦十郎のずれた発言に突っ込みをして彼の腕から抜け出したクリスは、弦十郎から距離を取って睨み付ける。弦十郎は支えていた瓦礫を下ろすとクリスの質問に答える。

 

「俺がお前を護るのはギアのあるなしじゃなくて、お前より少しばかり大人だからだ」

 

「大人…?」

 

 その言葉を聞いたクリスは眉間を寄せ、その言葉を否定するように弦十郎に自分の気持ちをぶつけるように吐き出した。

 

「あたしは大人は嫌いだ!死んだパパとママも大っ嫌いだ!とんだ夢想家で臆病者!被災地で難民救済?歌で世界を平和にする……?大人が夢なんか見てるんじゃねーよッ!?」

 

「大人が夢を……ね」

 

「本当に戦争をなくしたいなら、戦う意思と力を持つ奴らを片っ端から片付ければいい!それが一番合理的で現実的だ!」

 

「……そいつがお前の流儀か?なら聞くが、そのやり方でお前は戦いをなくせたのか?」

 

「それは……」

 

 そう吐き捨てると話を聞いていた弦十郎からの言葉に戸惑うクリス。弦十郎は黙ったクリスに自身の考えを伝えようと口を開いた。

 

 ――弦十郎は語る。

 

 いい大人は夢を見ない。だが、大人だからこそ夢を見る。大人になれば背が伸び、力も強くなる。財布の中の小遣いも少しは増える。ただ夢を見るだけだった子供でも、大人になれば叶えるチャンスが大きくなり夢を見る意味が大きくなると……。クリスの両親はただ夢を見に戦場に向かったのでなく、自分達の信じる歌で世界を平和にするって夢を叶える為に自らの意思でこの世の地獄に足を踏み込んだんじゃないのか?とクリスに告げる。

 

「なんで、そんな事……?」

 

「お前に見せたかったんだろう……。夢は叶えられるという、揺るがない現実をな……」

 

 そう告げた彼の言葉を聞いて息を呑んだクリスに歩みよった弦十郎が彼女の前に立つと優しい言葉を告げてから優しく彼女を抱き締めた。

 

「お前は嫌いと吐き捨てたが……、お前の両親はきっと、お前を大切に思っていたんだろうな」

 

「うぐ、うあぁあぁぁぁ!」

 

 クリスは弦十郎の優しさと暖かさ、そして亡くなった両親の思いを受け、涙を流し今まで溜め込んでいた気持ちを吐き出すように泣き出した。

 

 

◇◇◇

 

 

――数時間後――

 

「カ・ディンギル……か」

 

 賢吾とユウキと一緒に帰っている途中、二課からの通信が入り、報告を聞いて通信を切った弦太郎が弦十郎が言った言葉を口に出していた。

 

「な~んか、凄そうな名前だね?天を衝く塔だっけ?検索しても関係ないゲームのサイトばっかり出てくるよ」

 

「ああ。だが、そんな塔が造られているなら耳に入るはずだ。一体どこに……?」

 

「うーん……そうか!わかったぜ!」

 

「何かわかったの、弦ちゃん?」

 

 カ・ディンギルについて頭を悩ませていると、腕を組んでいた弦太郎が何かわかったのか指を鳴らした。

 

「ああ。もしかしたら、カ・ディンギルって地面の下に建てられているんじゃないか?」

 

「いやいや、弦ちゃん。さすがにそんなデカイのだと地面の中でやったら周りが大騒ぎだよ?」

 

「あ、そっか!」

 

「全く、相変わらず君は面白い事を言うな……ん?」

 

 弦太郎の言葉に肩を竦めていた賢吾が何か引っ掛かったのか、顎に手を当て今まで手に入れた情報を整理する。

 

「(手を衝く塔、その名の通り天に届くほどの高さの塔が誰にも知られずに建てられるか?本当に弦太郎の言う通り地下に建造されていたとしても、噂ぐらいは耳に入る筈だ。いや、何か引っ掛かる。俺は何を見落としている?…………っ!?)……まさか」

 

「どうした賢吾?急に黙りこんで?何かわかったのか?」

 

 点と点が繋がってそれに気付いた賢吾が目を見開いているとその様子に気付いた弦太郎が声をかける。

 

「……そうだ。君が言った言葉のおかげでな。そして……フィーネの正体もな」

 

「ええっ!?」

 

「それはマジなのか賢吾!?」

 

「ああ、カ・ディンギルの場所。そして立花とアストロスイッチを狙っていた今回の事件の犯人、フィーネの正体は……」

 

 、賢吾の言葉を聞いて驚きを隠せずに賢吾に質問する二人に賢吾が答えようとした瞬間。

 

「「「っ!?」」」

 

 突然、街中にノイズが出現したのを告げるアラートが三人の耳に入る。

 

「―ピピッ!―はい、こちら弦太郎」

 

 ノイズの出現に身構えていると二課から通信が入る。内容は超大型の飛行型のノイズ6体が一度に出現、市民を襲わず真っ直ぐスカイタワーを目指して市街地の上を飛んでいるとの事を告げられる。

 

「わかった。すぐに現場に向かう。という訳だ。二人は直ぐにシェルターに向かってくれ」

 

「弦ちゃん……」

 

「心配すんなって、ユウキ。さっさと片づけてくるから安心しろ」

 

 通信を切ってこちらを見る二人に大丈夫と笑みを向けてから取り出したフォーゼドライバーを腰に巻いていると賢吾が声をかける。

 

「弦太郎。恐らく今回の出現は陽動の可能性がある。もしフィーネが仕掛けてくるなら、何かある筈だ。警戒しておいたほうがいい」

 

「賢吾……ああ、わかったぜ!」

 

 賢吾の言葉を聞いてサムズアップを出した後、フォーゼドライバーのトランスイッチを全て押し、変身ポーズを取り、カウントダウンが流れる。

 

 

 

 

 

 

「変身!」

 

 ドライバーのエンターレバーを引いて、蒸気と光に包まれると弦太郎は仮面ライダーフォーゼに変身が完了した。

 

「宇宙…………キタァァァァァッ!

 

 フォーゼが身体を屈めてから、両腕を上げて立ち上がりその叫びが太陽まで届いたあと、懐からオレンジ色のロケットのブースターが付いたスイッチ、【アストロスイッチSー1・ロケットスーパーワンスイッチ】を取り出し、それを握りしめ声をかけた後フォーゼドライバーに差し込んでスイッチを入れた。

 

「力を借りるぜ!ナデシコ!」

 

【―ロケットスーパー―】

 

【―ロケットオン―】

 

 その音声の後、フォーゼの両腕に二基のロケットモジュールが装着されると同時にボディカラーもロケットモジュールと同じオレンジ色に染まり、複眼も青に変化した姿。

 

 仮面ライダーフォーゼ・ロケットステイツ(以下:フォーゼRS)にステイツチェンジした!

 

「久しぶりのロケットキター!♪」

 

 フォーゼRSの姿を見てテンションが上がったユウキが両手を使って頭の上で合わせロケットの形にしながら声をだした。

 

「んじゃ、行ってくるぜ!フッ!」

 

 ロケットモジュールが装着された片腕を上げて二人に声をかけた後、両腕のロケットモジュールから炎を噴射させ、フォーゼRSは大空を高く飛び上がりノイズが向かうスカイタワーに向けて飛び立った。

 

 

◇◇◇

 

 

 フォーゼRSが現場に向けて飛行していると目的地であるスカイタワーに集まる6体の超大型飛行ノイズの姿を目視した。しかもよく見るとゆっくり旋回しながら超大型飛行ノイズの真下から無数のノイズが地上にばらまかれていた。

 

「これ以上好き勝手させるか!」

 

【―ロケットリミットブレイク―】

 

 それを見たフォーゼRSは左腕のロケットモジュールを一時解除して、ドライバーのエンターレバーを引いて左腕を空中に分解状態で留まっていたロケットモジュールを再装着し、ロケットモジュールを前後に腕を回す、加速して錐揉み回転をしながら超大型飛行ノイズに向けてキックを放つ、フォーゼRSの必殺技。その名は――。

 

ライダーきりもみクラッシャァァァーーッ!!!

 

 フォーゼRSの繰り出した必殺技が一体の超大型飛行ノイズの体を貫通し、その勢いのまま真下にばらまいていたノイズも撃破しながら地上に降り立ち、それと同時にもう一体の超大型飛行ノイズを撃破したガングニールを纏った響がフォーゼのちょうど後ろに着地した。

 

「弦太郎さん!」

 

「響か!ちょうどいいタイミングだな!」

 

「―Imyuteus amenohabakiri tron―」

 

【―蒼ノ一閃―】

 

 二人が話しているとちょうどバイクに乗っていた翼も現着し、バイクから飛び上がって蒼ノ一閃を放つが、空中にいる無数の飛行型ノイズを斬り裂きながら減衰され、超大型飛行ノイズに当たる直前に消滅するのを見て歯噛みする。

 

「相手に頭上を取られるのが、こうも立ち回りにくいとは!」

 

「なら、もう一度俺が空から攻撃をするぜ!」

 

「それなら私達もヘリを使って……ああっ!」

 

 響の声を聞いて視線を空中に向けると響を運んでくれたヘリが操縦席ごとノイズに撃墜され爆発した。それを見た翼はノイズに向けて剣を構えるが、飛行型ノイズが三人に襲いかかってくるが三人は飛び退いてそれを避ける。

 

「くっ!仕方ねー!」

 

 空中に飛び上がったフォーゼRSは自身に向かってくる飛行型ノイズを相手取りながら、もう一度ライダーきりもみクラッシャーを超大型飛行ノイズに繰り出し撃破したが間を開けず短時間に二度のリミットブレイクをしたことでロケットスーパーワンスイッチのコズミックエナジーが空になってしまい、ロケットステイツから通常のベースステイツに戻り地上に降り着地する。

 

「くそ、すまねぇナデシコ……!」

 

 コズミックエナジーが失くなったロケットスーパーワンスイッチを見て謝罪した後、懐に仕舞い、新たに襲いかかってくるノイズを迎撃しながら他の二人と合流する。

 

「弦太郎さん、さっきの姿は……!」

 

「すまねぇ、連続でリミットブレイクしたからコズミックエナジーが空になってしばらく使えない」

 

「そんな……」

 

「臆する二人とも、我々が後退ればそれだけ戦線が後退することだ」

 

「ああ、それはわかってるが……この数をだとスイッチが持つか……なんだッ!」

 

 三人が襲いかかる飛行型ノイズを迎撃しようと構えようとした直前、突如横から放たれた無数の銃弾が飛行型ノイズを撃ち落とした。それを見た三人は驚きを隠せずまさかと思い銃弾が放たれた方を向くとそこにいたのは、イチイバルを身に纏ったクリスが片手にガトリングを装着し、空いたもう片方の手に握りしめた弦十郎に渡された通信機を三人に見せつけるように突きだした。

 

「フンッ!コイツがピーチクパーチク喧しいから、ちょっと出張ってきただけだ。それに勘違いするなよ、あたしはお前らの助っ人になったつもりはねぇからなっ!」

 

『助っ人だ。少々到着が遅くなったがな』

 

「うぐ……っ!」

 

 握りしめた通信機から聞こえた弦十郎の言葉にクリスの顔が赤くなり、それを聞いた弦太郎と響は笑みを浮かべるクリスの顔を見る。

 

「助っ人?」

 

『そうだ。第二号聖遺物、イチイバルのシンフォギア装者、雪音 クリス君だ』

 

「クリスちゃーんっ!ありがとう、絶対わかりあえるって信じてたよ!」

 

「この馬鹿!?あたしの話を聞いてなかったのかよっ!?」

 

 それを聞き終わった響が感極まってクリスに抱き着き、抱き着かれたクリスはまた顔を赤くして響の顔を押し退け、引き剥がそうと苦戦する。

 

「さっきは助かったぜクリス!俺達と戦ってくれんだな!」

 

「はぁっ!?お前まで話聞いてなかったのかよっ!?馬鹿しかいないのか!」

 

「んんっ!とにかく!今は連携してノイズを!」

 

 抱き着かれているクリスにフォーゼが礼を言って嬉しそうに質問し、それを聞いて驚きの声をあげていると、気を取り直した翼が剣を構える。

 

「ふんっ、知るか。勝手にやらせてもらう。あたしの邪魔だけはすんなよ!」

 

「ええぇぇぇぇっ!?」

 

「お、おい!クリス!」

 

 フォーゼ達の声かけに目もくれず、ガトリング形態からボウガン形態に変形させたアームドギアを空にいる飛行型ノイズの群れに向けて撃ち放ち、次々と撃墜していく。

 

「ど、どうしましょう!?」

 

「とりあえず、空中のノイズはあの娘に任せて私達は地上のノイズを!如月さんは遊撃をお願いします!」

 

「わかった!」

 

「は、はい!」

 

 そう言って前に出て刃を振るう翼に続いて、二人も各々ノイズを撃破していく。翼がノイズの一体を斬り裂いて地上から跳び上がりビルの屋上に降り立つと先に屋上でノイズを攻撃していたクリスの背中にぶつかり、アームドギアを解いて攻撃をやめたクリスが翼に噛み付いた。

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「貴女こそいい加減にして!一人で戦っているつもりなの?」

 

「あたしはいつだって一人だ!こちとら仲間になったつもりはこれっぽっちもねぇよ!」

 

「確かにあたしらが争う理由もない、かといって争わない理由もあるものかよ?こないだまで戦っていたんだぞ?そんな簡単に人と人が……ッ!?」

 

 突然手を握られたことに驚いたクリスは言葉を止め手を握ってきた響の顔を見る。

 

「出来るよ、誰とだって仲良くなれる」

 

「響の言う通りだ」

 

「あ……」

 

 そう言って響の隣に立ったフォーゼは翼の手を取り、それをみて目を丸くした翼はフォーゼの顔を見る。響は空いた片方の手をフォーゼが差し出した手を握り、目を瞑り二人に自身の想いを伝える。

 

「どうして私にはアームドギアがないんだろうって、ずっと思ってた。最初はいつまでも半人前だから焦っていたけど、今は思わない。何も握ってないこの手は誰かの手を握る為にあるから、こうして二人の手を握りあえることが出来る、弦太郎さんみたいに友達に、仲良くなれるってね!」

 

「立花……」

 

「なっ!この馬鹿に当てられたのかよ!?」

 

 響の想いを聞いた翼は握っていた剣を地面に突き刺して手を伸ばし、クリスの手を握り、それに驚いたクリスはその手を振り払って翼に質問する。

 

「そうだと思う。そして、きっと貴女も……」

 

「冗談だろ……!」

 

「本気だぜ、クリス?」

 

「お前……」

 

 顔を背けるクリスにフォーゼが彼女に近づき、声をかけ手を伸ばす。

 

「確かに俺達は最初は敵同士だった。でも、そんな俺達が今はこうして一緒に戦っている。けど、ぶつかりあったからこそ、そいつの心に触れる事が出来る!だから、俺達とダチになってくれクリス!」

 

「……なんだよそれ。めちゃくちゃじゃねーか。でも、悪くねぇな……!って、おい!何を?」

 

 フォーゼのめちゃくちゃな言葉に呆れていたが、不思議と悪い気がしない自分に気付いて、自然とニヤリと笑みを浮かべるとフォーゼの手を取って握りしめると、突然フォーゼが手を組み換えたフォーゼに驚くが、フォーゼは更に拳を三回ぶつけるフォーゼ(弦太郎)オリジナルの【友情の証】を交わした。

 

「これで俺達はダチだ!」

 

「……ふんっ」

 

 仮面越しでも感じる笑顔のフォーゼにクリスはそっぽを向くが、超大型飛行ノイズの影が四人を覆い被さり、四人は一斉に上空を見上げる。

 

「大元を仕留めないとキリがない……!」

 

「だったら、あたしに考えがある」

 

「何か手があるのか?」

 

 翼の呟きに答えるようにクリスが不適に笑う。彼女の言葉を聞いたフォーゼが質問する。

 

「イチイバルの特性は長射程広域攻撃。派手にぶっ放せる、あたしでなきゃ出来ないことだ」

 

「まさか、絶唱を……?」

 

「ばーか、あたしの命はそんなに安くねぇ」

 

「なら、どうやって?」

 

 響の問いにクリスは否定すると今度は翼が出した問いに答える。

 

「簡単な事だ。ギアの出力を上げつつも放出を抑える。行き場の無くなったエネルギーを臨界まで溜め込んで、一気に解き放つ」

 

「しかし、チャージ中は身動きが取れない危険過ぎる」

 

 クリスが出した案に翼が指摘するとそれを聞いたフォーゼが前に出て、三人に自分の考えを告げる。

 

「なら、俺達がクリスを護ればいいだろ?簡単じゃねーか」

 

「そうですね。私達がクリスちゃんには指一本も触れさせない!絶対にね!」

 

 フォーゼの言葉に賛同した響が両手を握って自信を持って言った後、三人はビルの屋上から飛び降り、ノイズがクリスに近づかないようにノイズの大群に向かっていく。

 

「ッ!……へっ!(頼んでもないことを……あたしも引き下がれないじゃねぇか!)」

 

 戦っている三人の背中を見たクリスはその気持ちを表すように胸に浮かんだ歌を唄う。

 

「やぁ!ハッ!(誰も繋ぎ、繋がる手を持っている!私の戦いは誰かと手を繋ぐこと!)」

 

 拳や蹴りを繰り出して、ノイズの体を打ち砕いていく響が。

 

「ふっ!セイッ!(砕いて壊すも束ねて使うも力。ふふっ!立花らしいアームドギアだ!)」

 

 剣を振るい、返す刀で刃を閃きノイズを両断する翼が。

 

「おらっ!ソラッ!(最初は出会いが最悪だった。けど、響が手を伸ばして握りしめたからこそ、今こうしてダチになれた!だから……)」

 

「「「託した!」」」

 

 右腕のクローモジュールで切り裂き、右足のチェーンソーモジュールでノイズの体を両断したフォーゼがギアの出力を上げているクリスの方を向いて、言葉を告げるとそれに答えるようにクリスが力を解放し、背部に四基の大型ミサイル、拡がったリアスカートから多数のミサイルポッドが、そして両腕にガトリング形態にしたアームドギアを同時展開し、上空のノイズに向ける。

 

【―MEGA DETH QUARTET―】

 

 自身の今の想いを込めて撃ち放ったMEGA DETH QUARTETが一斉に撃ち放たれた!

 撃ち放たれたガトリングの銃弾が手前にいる飛行型ノイズを撃ち墜とし、ミサイルポッドから放たれたマイクロミサイルが奥にいる飛行型ノイズに迫り、撃墜していく。最後に大型ミサイルが三体の超大型飛行ノイズに直撃にその全てが爆炎に包まれながら炭素に変わり墜ちていく。

 それと同時に翼が最後の人型ノイズの体に剣を突き刺し、空を見上げその光景に呟くとそれを聞いたクリスがニヤリと笑ってそれに答える。

 

「やった、のか……?」

 

「ったりめぇだ!」

 

 その言葉の後に倒したノイズだった黒い灰が街に降り注いだ事がそれの証明をしていた。

 

 

◇◇◇

 

 

「やった、やったぁ!クリスちゃーん!」

 

「うわぁ!?やめろ馬鹿!何しやがんだよ!?」

 

 屋上から地上に降りたクリスに響が喜びながら抱き着き、それに照れたクリスが引き剥がすと四人はギアと変身を解除して元の姿に戻ると響がもう一度クリスに抱き着いた。

 

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよ~!えへへ~♪」

 

「ああ、お前が来てくれたおかげだ。ありがとなクリス!」

 

 抱き着いた響を引き剥がし、頬が赤くなった顔を響に向けて口を開く。

 

「だ、だからやめろと言ってるだろうが!?いいか!お前達の仲間になった覚えはない。あたしはただ、フィーネと決着を着けて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけだ!」

 

「それは本当か!」

 

「夢!クリスちゃんの!?どんな夢なの!聞かせてよ~!」

 

「うるさい馬鹿っ!そこのヘンテコ頭もお前も本当の馬鹿!?」

 

 クリスが夢を見つけたと聞いた弦太郎が自分の事のように喜び、響が笑顔で再び抱き着くがすぐに引き剥がして顔を更に赤くして、それを見られないように顔を下に向ける。その様子を見た三人は笑みを浮かべていると響の持つ通信機から通信が入った。

 

「はい?」

 

『響!学校が、リディアンがノイズに襲われて……―ブツッ―』

 

「未来!?どうしたの!?返事をして!そんな……!?」

 

 通話の途中で未来の通信が途切れ、響は親友の名前を呼ぶが通信機からは雑音が流れるだけだった。通信が繋がらない事に響がショックを受けていると、彼女の肩に弦太郎の手が置かれる。

 

「弦太郎さん、未来が……!」

 

「落ち着け響、話は聞いた。急いでリディアンに向かうぞ!」

 

 弦太郎の言葉を聞いた三人は頷いて、急いでリディアン音楽院に向けて駆け出して行った。

 

 

――三人称視点、終了――

 




話の都合上フォーゼRSが不遇になってしまいました。すみません。

ようやく弦太郎がクリスと和解出来ました。そして未来からリディアンが襲われたとの通信が!
そして次回から遂にフィーネとの決戦になります!
楽しみにしてください!

エレキステイツの好きな必殺技は?

  • ライダー100億ボルトブレイク
  • ライダー100億ボルトシュート
  • ライダー100億ボルトバースト
  • ライダー電光ドリルキック(ダイザー無し)

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