友情絶唱 宇宙、キターーーーーッ!!!   作:クロトダン

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お待たせしました。
区切りが悪くなったので分割しました。
 

青年は怒りを抱く、再び見る事しか出来ない己の不甲斐なさに……

絶刀の少女は高く飛ぶ、大切な片翼と共に……



16 : 絶、刀、燃、翔!

 ―――カ・ディンギルによる月の破壊はかろうじて阻止された。

 

 ―――しかしその代償は彼らにとって、あまりにも大きかった……。

 

 

「クリスちゃん……せっかく、せっかく仲良くなれたのに……!もっと沢山話したかった……っ、話さないと喧嘩することも……今よりもっと仲良くなれることもできないんだよっ!」

 

 地面に手を着き、命を落としたクリスの為に涙を流す響。

 

「立花……」

 

「…………ばかやろう。世界を守っても……お前がいなくなったら守った意味ねーだろうが……っ!」

 

 泣き崩れた響を悲しげな表情で見つめる翼の隣に立つ仮面ライダーフォーゼは仮面の下で涙を流しながら、拳を握りしめ叫んでいた。

 

 だが、命をかけた彼女の行動を―――。

 

「自分を殺して月への直撃を阻止したか……ハッ!無駄な事を……見た夢も叶えられないとは、……とんだ茶番だな!」

 

 ―――フィーネは嘲笑した。

 

「あんた、何で笑ってんだ……?クリスの……クリスがやった事の何がおかしいんだっ!?」

 

「命を燃やして、大切なものを守り抜いた者の思いを……無駄だと笑ったのか!?」

 

 フィーネの言葉に怒りを抱き、フィーネに向けて今にも飛び出さんとした。だが―――

 

 

「……そレガ

 

 

 ――ゾクッ!――

 

 二人の背後から憎しみの声が聞こえた。

 

夢ト命ヲ握リシメタヤツノ、言ウ事カァァァァァッ!!?

 

「響!?」

 

「なっ!?」

 

 二人が背後を振り向くとそこには全身を漆黒に染まり、憎しみに支配された響だった一匹の獣が雄叫びをあげた姿だった。

 

「おい、立花……っ!?」

 

「これって、デュランダルを掴んだ時と……!?」

 

 変貌した響の姿に戸惑う翼とかつて輸送任務でデュランダルを掴んだ時と同じ姿に驚愕するフォーゼ。

 そして、変貌した彼女を見てフィーネは笑みを浮かべていた。

 

「融合したガングニールの欠片が暴走したか。制御で出来ない力に、やがて意識が本能に塗り固められていく」

 

――『響ちゃんの心臓にあるガングニールの欠片は前より体組織と融合してるみたいなの。驚異的な力と回復力はそのせいかもね』――

 

「「っ!?」」

 

 その言葉を聞いて翼と弦太郎は二課で聞いた言葉を思い出した。

 

「まさかお前……立花を使って実験を……っ?」

 

「実験を行っていたのは立花 響だけではない。見てみたいと思わないか?ガングニールに呑み込まれ獣として墜ちていくそいつの姿を……?」

 

 その言葉に二人は再び怒りを覚える。

 

「お前はそのつもりで立花を……っ!奏をっ!!」

 

「あんたは人をなんだと思ってんだっ!」

 

 フィーネに向けて叫ぶ二人の横を獣のように四つん這いになった響がフィーネに襲いかかった!

 

「立花っ!?」

 

「待て、響!」

 

「……ふっ」

 

【―ASGARD ―】

 

 二人の制止の声を耳に入らくなった響は地面を蹴って飛び上がり、空中からフィーネに向けて蹴りを突きだした。それをフィーネは表情を変えず鞭を網目状に束ねてバリアを展開、響の攻撃を防いだ。

 しかし、響は更に力を込めてバリアを破壊したと同時にフィーネに()を振り下ろしフィーネ諸とも地面を砕き、その衝撃に土煙が沸き起こった。

 

 土煙が晴れるとフォーゼと翼の視界に上半身が顔から左右に引き裂かれたフィーネの姿が映りこんだ。

 通常なら即死してもおかしくない状態だが、フィーネはこちらを見ている二人にギョロリと眼を合わせ笑みを浮かべた。その少し離れた場所で瓦礫を吹き飛ばした響が姿を現した。

 

「もうよせ、立花!これ以上……聖遺物の融合を促進させるだけだ!」

 

「翼の言う通りだ!人間に戻れなくなる、止まれ響っ!?」

 

グゥゥゥゥ……ガァァァァァァァッ!!!!

 

 二人の呼び掛けに答えない響は赤い瞳で二人を睨み付け、フィーネから標的を変えて仲間である二人に向けて襲いかかった。

 

「っ!?」

 

「くっ、すまねぇ響!」

 

 ―シールド・オン―

 

ガァァッ!!

 

 真っ先に翼に襲いかかった響に翼の前に出たフォーゼが起動したシールドモジュールで防ぎ、響に謝罪してから蹴り飛ばした。

 蹴り飛ばしされ地面を転がった響はゆっくりと立ち上がり、再び二人に襲いかかろうと姿勢を低くしていた。

 

 

◇◇

◇◇

◇◇

 

 

「どうしちゃったの響!?弦太郎さんと翼さんだよ!?目を覚まして!」

 

 地下シェルターで地上の様子を見ていた未来は暴走した響の様子に戸惑い、画面に映る彼女に声をかけるが――。

 

「もう、終わりだよ……私達……」

 

 ぽつりと弓美が諦めの言葉を呟いた。

 

「学院もメチャクチャになって……響もおかしくなって……」

 

 弓美の言葉に未来は反論しようと口を開く。

 

「終わってない、響だって弦太郎さんと一緒に私達を守ろうとして――」

 

「あれのどこが守ろうとしてる姿なの!?」

 

 未来の言葉を遮り、弓美がその言葉と共に画面に指を指す。画面には仲間であるフォーゼと翼に襲いかかる獣と化した響の姿が映っていた。

 

「私は響を信じる」

 

 だが、未来はそれでも信じると口にする。それを見た弓美は顔を俯かせて、涙を流して床に崩れ落ちる。

 

「私だって響を信じたいよ……!でも……でも……!」

 

「板場さん……」

 

「……もう嫌だよっ。死にたくないよ……誰か助けてよ……響ぃぃっ!?」

 

 だが、彼女が助けを求める者の耳には届かず、声だけがシェルター内に響き渡るだけだった……。

 

 

◇◇

◇◇

◇◇

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……っ!」

 

「ぐっ!?もうやめろ、響……っ!これ以上は、お前が……苦しくなる、だけ……うあっ!?」

 

「如月……さん……」

 

 地面に突き立てたアームドギアを支えに、響の猛攻を受け、ボロボロの姿になった翼は、荒くなった息を整えながら自分の代わりに攻撃を受けているフォーゼに申し訳ない表情を向ける。

 

「フフフ……どうだ?立花響と刃を交えた感想は?」

 

 そんな彼女にフィーネが響に引き裂かれた筈の身体を巻き戻しのように身体を再生しながら煽るように声をかける。

 

「もはや、人の在り方すら捨て去ったか……!」

 

「私と融合したネフシュタンの再生能力だ。面白かろう?そして……」

 

 フィーネが視線を横に向けるとカ・ディンギルが再起動し再びエネルギーを溜め始めた。

 

「そんな……!?」

 

「そう驚くな。……カ・ディンギルがいかに最強最大の兵器だとしても、たった一撃を放つだけで終わってしまうのであれば兵器として欠陥品。必要が有る限り、何度でも撃ち放てる。……その為のエネルギー炉心には【不滅の刃】であるデュランダルを取り付けてある、……それは尽きる事のない無限の心臓である」

 

「だが、お前を倒せばカ・ディンギルを動かす者はいなくなる!」

 

グゥゥゥゥ……

 

 剣をフィーネに突きつけた翼の前にフォーゼの首を掴み、用はないと地面に落とした響が彼女の前に立ち塞がる。

 

「(すみません、如月さん……私を庇って……。立花を止めるにはもう、これしかない)……立花」

 

 目を瞑り、地面に倒れているフォーゼに胸の内に謝罪をし、響の動きを止めてカ・ディンギルを阻止する一つの方法を選択した翼は目を開き響に声をかける。

 

「私はカ・ディンギルを止める。だからお前も……」

 

ガァァァァァァァッ!!!!

 

 翼の言葉を最後まで聞きもしない響は伸ばした()を向け飛び出した。

 

「…………」

 

 翼は剣を地面に突き刺し、しっかりと彼女の姿を見つめその一撃を無防備に受け入れ鮮血が舞った。

 

「翼……っ!?」

 

「な……!?」

 

 地面に倒れたフォーゼが血を流した翼に驚愕の声をあげるが、それに構わず両腕を拡げ響を優しく抱きしめた。その行動に更に驚き、シェルターでその様子を観ていた未来達も驚愕し、フィーネもあまりの行動に言葉を失う。

 

「……この拳(これ)は、束ねて繋げる力の筈だろ?」

 

 血にまみれた響の腕を取った後、右腰のリアアーマーから短刀を手に取るとそれを響の影に向けて投げつけた。

 

【―影縫い―】

 

 翼は地面に突き刺した剣のアームドギアを引き抜き、動かなくなった響の横を通り過ぎ様に声をかける。

 

「立花……奏から継いだ力を、そんな風に使わないでくれ……」

 

 その言葉を聞いた響の赤い瞳から涙が流れていた。

 

「つ、ばさ……」

 

「如月さん……」

 

 地面から立ち上がったフォーゼが肩で息をしながら自身の横を通り過ぎようとした翼に声をかける。

 

「お前、まさか……」

 

「……すみません、如月さん」

 

 彼女のこれからやろうとしてる行動に気付いたフォーゼの言葉を遮り、翼は悲しい笑みを浮かべる。

 

「立花と……この世界を頼みます」

 

「身体が……っ!翼お前……!?」

 

【―影縫い―】

 

 翼を止めようと腕を伸ばそうとしたフォーゼが自身の身体が動かない事に驚き、翼が響と同じように自身に影縫いをしたと気付き、声をあげる。

 自身の名を叫ぶフォーゼの横を通り過ぎ、フィーネの前まで歩き立ち止まる。

 

「……待たせたな」

 

「どこまでも剣と生きるか……」

 

 フィーネはつまらなそうに翼をみる。翼は剣を強く握りしめ、自身の覚悟をフィーネに向ける。

 

「今日に折れて死んでも、明日に人として歌う為に……!風鳴 翼が歌うのは戦場ではないと知れ!」

 

「人の世界が、剣を受け入れる事など……ありはしないっ!!」

 

 フィーネが鞭を振るい翼に襲いかかるが、翼は地面を蹴って空中に飛び立つ。フィーネは今度は二本の鞭を操り、空中にいる翼を攻撃するが、翼は両脚部のブレードを展開する事で鞭を捌き、アームドギアを大剣に変形させ自身を襲う鞭に向けて【蒼ノ一閃】を放ち動きを止め、地面に降り立つ。

 フィーネはすぐに二本の鞭を振るい翼に襲いかかるが、翼は姿勢を低くする事でそれを回避し、一気にフィーネの懐に潜り込むと大剣を振るい、カ・ディンギルの方へ飛ばし壁に激突した!

 翼は畳み掛けるように地面を蹴って空高く飛ぶと通常形態にしたアームドギアを投げつけ、巨大剣に変形させライダーキックのように右足を突きだした。

 

【―天ノ逆鱗―】

 

「チィっ!!」

 

 フィーネは鞭を幾重に束ね、三枚のASGARDを展開、天ノ逆鱗ノ一撃を受け止めた。

 受け止められた天ノ逆鱗がテコの原理で徐々に垂直に上がり、垂直になると両腰のリアアーマーから双剣を引き抜くと同時に双剣に炎が纏い、炎の翼を羽ばたかせてカ・ディンギルに向けて飛び立った!

 

【―炎鳥極翔斬―】

 

「初めから狙いはカ・ディンギルかっ!!」

 

 翼です狙いに気付いたフィーネは二本の鞭を操り、飛翔する翼の跡を追跡し、叩き落とすことで飛翔を阻止された。

 

 

◇◇

◇◇

◇◇

 

 

 飛翔を阻止され、意識を失い、墜落しながら翼は諦めかけていた。

 

「やはり……私では……」

 

『何弱気になってんだい?』

 

「えっ?」

 

 弱気になっていた翼が眼を開くと、二年前に失った自身の大切な片翼である少女――天羽 奏が彼女の目の前にいた。

 

「奏……?」

 

『翼……』

 

 驚く翼に奏は笑みを浮かべて手を伸ばす。

 

『あたしとお前……両翼揃ったツヴァイウィングなら、どこまでも遠くに飛んでいける……だろ?』

 

「……ああ、そうだね、奏」

 

 それを見た翼も笑みを浮かべ奏の手を握りしめると彼女の意識が戻った。

 

 

◇◇

◇◇

◇◇

 

(そうだ……両翼揃ったツヴァイウィングなら!)

 

 閉じていた眼を開き、双剣に炎を纏わせ、姿勢を整えカ・ディンギルの壁を蹴り、再び空を高く、更に高く飛び立った!

 

 

「(どんなものでも、……越えてみせる!)立花ァァァァァァァッ!!!!」

 

 フィーネの追撃を鳥のように避け、赤い炎を蒼炎に染め上げ、まるで何度でも飛び立つ不死鳥となりカ・ディンギルに突撃した。

 カ・ディンギルから光が溢れ、溜めていたエネルギーが逆流が起こり、行き場がなくなったがエネルギーが臨界に到達、そして……。

 

 

 爆発。

 

 

 カ・ディンギルの近くにいたフィーネは爆発に呑み込まれ、身体が動けない響はただ涙を流す事しか出来ず、フォーゼも動かない自身の身体に怒りを抱き、仮面の下で涙を流して塔へ飛び立った彼女の名前を叫ぶ事しかできなかった……。

 

「翼ァァァァァァァッ!!?」

 




どうもクロトダンです。
イヤーこの作品を投稿して約二年も経ちました。
始めた時は最後までいくのかと不安でしたがよくここまでこれたなと思いました。
そして、無印編も残り二話となりました。皆様、最後までお付き合いください。

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