そして訃堂の爺はアダム以上の人でなしですね。
少女は困惑する、自身の姿と宇宙の力を持った青年の姿に。
青年は戦う、宇宙の力を身に纏い友達である少女を守る為に。
――三人称視点――
あまりの光景に少女は驚きを隠せなかった。
久しぶりに再会した恩人が光と蒸気に包まれた後、全身を白いスーツに身に纏い、顔は額に触覚が付いたロケットの形をした頭部を付けて、その下は全体を白をメインにした宇宙服を彷彿させるスーツを纏っていた。
更にその姿をよく見ると四肢には○(右腕)・×(右脚)・△(左脚)・□(左腕)のあるゲーム機のコントローラーのボタンのマークが刻まれていた。
「ウォラァッ!」
如月 弦太郎――【仮面ライダーフォーゼ・ベースステイツ】に変身した彼は、ノイズに向かって駆け出していってからジャンプして大きく振りかぶった右拳を目の前にいたノイズに突きだした。
響はその後の光景が頭によぎり、ノイズに触れて炭に分解される彼の姿を幻視して目を瞑ったが、彼――仮面ライダーフォーゼは少女の予想を大きく覆した。
フォーゼの振り抜いた拳は分解される事もなくノイズの身体を貫いたからだ!
フォーゼはその勢いを緩めず拳の他に前蹴りでノイズを蹴り飛ばし、ノイズの身体を掴んで頭突きを喰らわせたりと不良の喧嘩のような戦い方で次々とノイズを倒していく。
「まずはこいつだ!」
【―ロケット・オン―】
目の前のノイズを蹴り飛ばしたフォーゼは自身の腰に付いているベルト――フォーゼドライバーに刺さっている右端のボタン【アストロスイッチ01、ロケットスイッチ】を押すとフォーゼドライバーから機械の音声が流れた後、彼の右腕にオレンジ色のロケット【ロケットモジュール】が装着された。
「ライダー……ロケットパーンチッ!」
ロケットモジュールを装着したフォーゼは、腰を落として構えると技名を叫びながらノイズの群れにロケットのように突っ込んでいき、ノイズ達を空高く吹き飛ばし、そのまま炭に分解されていく。
「次はこれだ!」
【―ランチャー・レーダー・オン―】
右腕のロケットモジュールを消した後、次に【アストロスイッチ02、ランチャースイッチ】と【アストロスイッチ04、レーダースイッチ】のスイッチを入れるとフォーゼの右足に青いミサイルランチャー――【ランチャーモジュール】―が装着され、左腕にはアンテナが付いた仲間との通信に利用でき、また標的を探したり敵に狙いを定めるためのサーチャーにもなる【レーダーモジュール】が装着されるとレーダーを前に突きだし、レーダーについているモニターにロックオンカーソルが映し出される。
「ロックオン!いっけー!」
狙いを定めたフォーゼは右足を前に出して力強く踏み込むと、ランチャーモジュールから5本のミサイルが発射され狙いを定めたノイズに着弾すると爆発が起きた。さらにミサイルの爆炎により周りにいた複数のノイズもそれに呑み込まれて炭に分解されていく。
それを観ていた響と幼い少女は次々とノイズを倒していくフォーゼの動きに思わず喜びの声をあげてしまう。
「白いお兄ちゃんカッコいい!」
「弦太郎さん、すごい……!あ、弦太郎さん後ろです!」
「え?後ろ……って、うおぉぉっ!?」
人型のノイズに頭突きを喰らわしていたフォーゼの背後に近づいた巨大ノイズが振り上げた挟みがフォーゼに向けて振り下ろされた。それを見た響の避けろという声に反応したフォーゼは慌ててその場から急いで離れようとしたが、それより早く巨大ノイズの挟みがフォーゼに当たろうとしたその時――
「―Imyuteus amenohabakiri tron―」
―斬!!―
――歌が聴こえた直後、蒼い斬撃が巨大ノイズの身体を真っ二つに斬り裂き大量の炭に変えた。
巨大ノイズを斬り裂いた斬撃を放った主は地面に着地すると視線を響の方を向く、響はその人物の顔を見て驚いてその人物の名前を口にした。
「翼さん!?なんで?」
「呆けないで、貴女はその子を守りなさい」
響の言葉を遮るように言った翼はアームドギアの刀を手にまだ残っているノイズに向けて走っていき、ノイズを斬り裂いていく。翼が人型のノイズを倒していると翼の背後からカエル型ノイズが襲い掛かる。
それを確認した翼はアームドギアを大きく変形させて【蒼の一閃】で迎え撃とうと刀を振りかぶろうとした瞬間。
【―クロー―】
【―クロー・オン―】
「セイヤー!」
【アストロスイッチ33、クロースイッチ】をロケットスイッチと入れ替え、右腕にクローモジュールを装着したフォーゼは背面に付いているジェットパックユニット・スラストマニューバーを噴出させ、彼女の前に飛び出してクローモジュールでカエル型ノイズを斬り裂いた。
「貴方は……!」
「っとと、大丈夫かお前?俺は仮面ライダーフォーゼ!さっきは助けてくれてありがとな!」
翼は自身を守ったフォーゼに驚いていると、フォーゼはたたらを踏んで姿勢を整えた後、翼の顔を見て大丈夫かと声をかける。助けてくれたフォーゼに声をかけようとしたが、まだ残っているノイズが二人に向けて飛び掛かってくるがそれに気付いた二人はその場から飛び退く。
「よっと、残りの数も少ないな。これで決めるぜ!」
【―ロケット―】
【―ロケット・オン―】
【―ドリル・オン―】
「ハッ!」
地面に着地したフォーゼはドライバーの右端の【◯スロット】に挿入されているクロースイッチをロケットスイッチに差し替えるとロケットモジュールを展開するとロケットモジュールから炎が噴射され空中に飛び上がると同時に【△スロット】に挿入されている【アストロスイッチ03・ドリルスイッチ】を起動、△が記されている左足に黄色のドリル【ドリルモジュール】が展開、左足に装着する。
フォーゼは空中に一度滞空して左手をドライバーの右側に付属している【エンターレバー】に伸ばしてエンターレバーを引くと、フォーゼドライバーから機械音声が流れる。
【―ロケット・ドリル・リミットブレイク―】
その音声が流れた後、角度を斜め下に向けた右腕のロケットモジュールで加速して左脚のドリルモジュールで敵を貫く跳び蹴りの姿勢でノイズ達に突撃していく。
起動中のアストロスイッチの貯蔵しているコズミックエナジーを大幅に消費する仮面ライダーフォーゼの必殺技の一つ、その名も―――
「ライダーロケットドリルキィィィック!!」
―ギュリギュリギュリ、キキィィィィッ!―
残っていたノイズの群れを一直線に貫いたフォーゼはそのままドリルモジュールで地面に着地すると技の勢いが止まらずその場で数回ほど回転した後、回転が止まると左膝に左腕を乗せ、ロケットモジュールを上に掲げた姿勢を取ると遅れてノイズは爆発。近くに残っていたノイズもそれに巻き込まれて連鎖的に爆発し、一つ残らず炭に変わった。
――三人称視点、終了――
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――響視点――
あの後、政府の人達がやって来てノイズだった物を掃除機みたいなので吸い込んでいるのを見ていると白いスーツから元の姿に戻った弦太郎さんが近づいてきた。
「ふう、終わった終わった~。大丈夫だったか響?」
「あ、あの弦太郎さん!さっきは助けてくれてありがとうございます!それにさっきの姿は――」
私は弦太郎さんに助けてもらったお礼を言った後、ノイズを倒した力と姿について質問しようと――
「温かいもの、どうぞ」
制服を着た女の人が温かい飲み物を差し出してくれた。
「あ、温かいものどうも。……ふは~、え?あ……!」
コップを受け取った私はそれを飲んだ後思わずホッとすると私が纏っていたスーツが解けて、元の制服姿に戻りそれに驚いてコップを落としてしまい、そのまま後ろに倒れそうになる。
「ありがとうございま……あ、ありがとうございます!実は翼さんに助けてもらったこれで2回目なんです!」
「2回目……?」
倒れそうになった私をリディアンの制服を着た翼さんが受け止めてくれて、私は体勢を整えてお礼を言うと翼さんは首をかしげる。
「あはは……それじゃあ、私達はこれで、弦太郎さんいきましょ……」
私が助けた女の子がお母さんと抱き合っているのを見た後、弦太郎さんと一緒にその場を去ろうとしたけど……。
―ザザッ!―
翼さんを中心に黒いスーツを着た人達が私達の周りを囲んでいた。
「悪いけど、あなた達をこのまま帰す訳にはいきません」
「はあ、なんでだよ!?」
「あなた達を特異災害対策機動部二課まで同行してもらいます」
「だからどうしてなのか理由を教えて―ピーガチャッ!―ガチャッ?って、なんだよこれ!」
弦太郎さんが翼にどうしてなのか理由を聞こうとしていると弦太郎さんの両腕に手錠が掛けられた!
「弦太郎さん!?―ピーガチャッ!―って、私もぉ!?」
「すみませんね。あなた達の身柄を拘束させていただきます」
弦太郎さんに声を掛けようと手を伸ばそうとしたら、いつの間にそこに現れた男の人に私の両腕に手錠を掛けられてた!
「な、なんでぇぇぇぇぇぇっ!?」
そのまま私達は車に乗せられ、どこかに連れて行かれてしまった。
これから私達、どうなっちゃうの!?
――響視点、終了――
うわー短い、まだアニメ2話の前半だぞこれ?
どうもクロトダンです。
いかがでしたか?
やっぱりフォーゼは面白いですねー!
戦闘描写を書くときフォーゼの戦闘シーンを何度も繰り返し観ながら書きました。
アストロスイッチの種類と効果いくつか忘れて苦労しました。
そして仮面ライダージオウ最終回面白かった!
龍騎の最終回と似た展開でしたが、個人的にはこういう終わり方もありだと思います!
そしてオーマジオウ、スペックがムテキよりチート過ぎる……!
ゼロワンも楽しみです!
次は二課との顔合わせとフォーゼについての話です。
次回はフォーゼサイドのオリジナルキャラクターが出ますのでお楽しみください!