あ痛!ごめんなさい!石を投げないで!
青年は知る、片翼の少女の胸の内を
片翼の少女は語る、自身が抱いた気持ちを
――フィーネの屋敷――
――三人称視点――
「化け物め……!」
街から離れた郊外にある屋敷の側の巨大な湖の前に完全聖遺物《ソロモンの杖》を持った一人の少女――雪音 クリスが先日起きた起動した完全聖遺物《デュランダル》を持った立花 響が暴走した出来事を思い出していた。
(このあたしが二度の確保をさせるくらい、フィーネは
クリスは唇を噛み、先日に起きたもう一つの出来事を思い出す。
『ハァ、ハァ、ハァ…怪我、ないみたいだな……良かった……』
(なんでアイツはあたしの身を心配なんかしたんだ!敵であるあたしを、なんで……!)
デュランダルから自身を助けてくれた仮面ライダーフォーゼの行動にしばらく考えた後、理解できないと頭を左右に振っていると自身の背後に人が立っている事に気付いた。
クリスは背後を振り向くと背後に立っていた黒い服を着た金髪の女性―フィーネの顔を見るとを目尻を上げて口を開いた。
「わかっているよ。自分が課せられた事くらい……!」
クリスは持っていたソロモンの杖をフィーネに向けて投げ渡した。投げられたソロモンの杖を受け取ったフィーネは完全聖遺物であるソロモンの杖を投げた事をクリスに咎めず黙ったまま彼女の顔を見る。
「
そう言ってこの場から立ち去るクリスの後ろ姿を見たフィーネはクリスの姿をサングラスに隠された冷たい瞳で彼女見つめ続ける。
「……計画の為に手元に置いたがここまで役に立たないとは……捨て時か」
クリスの姿が見えなくなった後、呟いたフィーネはコートのポケットに手を入れるとポケットから長方形のスイッチが付いた機械を取り出した。
「財団と名乗る奴らから渡されたコレがあの娘より役に立てばいいがな……」
そう言ったフィーネの顔には冷たい笑みを浮かべていた。
・
・
・
――二課直轄の医療施設、個人病室――
場面が変わり、以前絶唱を唄った風鳴 翼が入院している病院。そこには前回の任務で負傷して入院した弦太郎がいる病室に彼以外の数人の人達が集まっていた。
「でもよかったー。弦ちゃんが入院したって聞いて心配してたけど、怪我が軽くて安心したよ」
最初に口を開いたのは腰まで伸びた黒髪の女性で弦太郎の幼なじみの《城島 ユウキ》。かつて弦太郎と賢吾と共に《仮面ライダー部》に所属していた女性であり、その持ち前の明るさと豊富な宇宙知識を持つ仮面ライダー部の二代目部長を勤めていた。
「そうね。でも、車に轢かれそうになった子供を助けて怪我をしたら元も子もないわよ?」
ユウキの次に口を開いたのは、首筋まで切り揃えた茶髪の女性は《風城 美羽》。弦太郎、賢吾、ユウキの一つ上の先輩であり、仮面ライダー部の初代部長を務め、卒業後は会長に就任した実績を持つ女性。
天の川高校の元
「美羽の言う通りだ変身しなくなったから鈍ったんじゃないか弦太郎?退院したら俺が直々に鍛え直してやろうか?」ティリーンッ☆
美羽の言葉に同意して星を飛ばした男は《大文字 隼》。美羽と同じ弦太郎達の先輩であり、仮面ライダー部のサポートマシン《パワーダイザー》のパイロット。
最初は美羽と同じく弦太郎達を見下していたが弦太郎と関わっていく内に和解後、ダイザーに乗り込みフォーゼと共に戦ったり、周囲へ及びそうな被害を抑えこんだりと、フォーゼの活躍に無くてはならない頼れる先輩である。
ゾディアーツ事件終結は美羽に指輪を渡しながら告白し(その後ちょっとした事があったが)恋人関係になっている。
「いやいや隼先輩、退院後に鍛えるのは流石にまずいっしょ?」
隼が言った言葉に苦笑しながら喋ったのは弦太郎達の後輩である《
かつては友情を軽視していた事があり、弦太郎の人の良さにつけこんで用心棒代わりに近づいて、彼が持っていたエレキスイッチを盗んだ経緯もあったが、ユニコーン・ゾディアーツとの戦いの中、弦太郎の助力後その曲がった根性を直すと弦太郎直々に仮面ライダー部に強制入部された。
本名は神宮 海蔵。ただし本人はこの名前を気に入ってない。
「これ、お見舞いのバナナとリンゴです」
一人だけ冷静に見舞いの品を渡したのは野座間 友子。
ネットで仮面ライダーの都市伝説を見かけ、フォーゼを最初に【仮面ライダー】と最初に呼んだのは彼女であり、弦太郎達の後輩でJKと同じ同級生の少女。
PC機器を利用した、JKとは異なる方面での情報収集に優れており、ゾディアーツの正体を調べて知らせる等の活躍を仮面ライダー部に貢献してきた。
かつては行動や感性がズレていた所謂【霊感少女】であり、他人が感じることのできないモノが見えたり感じたりできるという境遇故、その言動から周囲に拒絶されて生きてきた。月の力で新しい自分に生まれ変わるためにアルター・ゾディアーツの計画に参加していたがフォーゼに変身した弦太朗によって月まで連れて行かれ「月には何も無い、自分は自分なんだから変わる必要は無い」と諭されフォーゼと共にアルター・ゾディアーツの計画を阻止した。
【アストロスイッチ20・ファイヤースイッチ】の能力にいち早く気づく等の侮れない一面を持つ。
弦太郎いわくかなりの美少女なのだが本人はすっぴんを嫌っており、いつも目の下に黒いメイクをしている。
「いやー、すまねぇなみんな。気付いたら身体が勝手に動いてさ」
全く相変わらずだなー、と弦太郎の言葉を聞いた面々が弦太郎の変わらない性格に笑みを浮かべる。
弦太郎はみんなと笑いあった後窓際に立つ賢吾に視線を向けると賢吾が彼の側に寄り、他のみんなに聞こえないように口を開いた。
(おい賢吾、どうしてユウキ達に俺が入院してるって知ったんだ?それに子供を助けたってどういう事なんだ?)
(すまない。大学から出る所でユウキに捕って、誤魔化せず任務の事を伏せて君が子供を助けた時に怪我をして入院してる事を話したら、彼女が慌てて見舞いに行くと騒いで、そこから風城先輩達が聞き付けてJK達を呼んで今に至る)
(そうか、わりーなこの礼は後でするからな)
(ああ、そうしてくれ)
「ちょっと、二人して何をコソコソ話しているのかしら?」
二人が話しているとそれに気付いた美羽が腰に手を当て、声をかけてきた。
「いや何でもない。弦太郎に講義に使ったノートの内容を見せてくれと頼まれただけだ」
「そ、そうなんだよ!今日受ける予定の講義は外せないからな!」
「ふーん、そう……ま、いいわ。入院したって聞いて心配したけど、弦太郎が元気そうで安心したらお腹空いちゃった。だから……」
「ん?」
理由を話す二人の様子を見た美羽は一瞬目を細めた後、すぐに元の不適な笑みを浮かべると賢吾の腕を取ると後ろに立つユウキ達の方に身体を向けるといい笑顔で口を開いた。
「それじゃ今からお昼食べにいきましょうか。賢吾の奢りで!」
「はあっ!?」
その言葉を聞いた賢吾は文句を言おうと声を上げるがそんな彼の首に腕を回した美羽は他の面々に声をかける。
「お?マジっすか?賢吾さんゴチになりまーす!」
「そんな訳あるか!先輩どういう事ですか!」
「えっ?えっ?あの美羽さん賢吾君困ってますよ」
「いいからいいから。ホラ、準も友子も行くわよ。それじゃね弦太郎、また来るわ」
「お、おう……」
弦太郎にまた来ると言って賢吾を引きずって美羽は他の面々を引き連れて病室をあとにした。
「賢吾すまねぇ……今度なんか奢らねーとな」
自分だけになった病室で弦太郎は申し訳ないとこの場にいない賢吾に合掌した。
・
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・
――お好み焼き屋ふらわー――
「それじゃ話してもらうわよ?」
「……何の事だ?」
病院から商店街にあるお好み焼き屋ふらわーに移動した賢吾達は店長であるおばちゃんに注文した後、病室で二人に何か隠してると勘づいた美羽が隣に座らさせた賢吾に質問をした。質問された賢吾は彼女が自分達が何か隠してると勘づいて質問していると察し、みんなを巻き込む訳にもいかないと質問をはぐらかした。
「誤魔化しても無駄よ。あの弦太郎が子供を助けて簡単に怪我をする訳ないでしょ?それで、あんた達何を隠してるの?」
美羽の的を射ていた指摘に賢吾は内心冷や汗をかいていた。高校からの長い付き合いでありフォーゼとして戦ってきた弦太郎を知っている彼女達からしてみれば、何らかの事件に巻き込まれている、又は関わっているのではないかと結論付けた美羽は賢吾を連れ出して彼を問い詰めた。
それを聞いていた他のみんなも気になり全員の視線が賢吾のに集中する。
「何を言ってるんだ。さっきも言った通り弦太郎は子供を助けた時に壁に頭を打って――「あら?頭を打ったのなら病衣の下に包帯なんか巻く必要はない筈よ?」――ぐっ……」
誤魔化そうとした賢吾の言葉を遮るように指摘され、賢吾は思わず顔をしかめてしまう。
「(流石は風城先輩、勘の鋭さは相変わらず健在か。だがそれでもこちらの問題で彼らを巻き込む訳にはいかない……!)だから弦太郎の怪我は――」
賢吾がもう一度発言しようとした直後、ガラリとふらわーの扉が開かれ賢吾達の視線がそちらに向けられる。
「あ、未来ちゃん!久しぶりー!」
「え、ユウキさん?それに賢吾さん、美羽さん、隼さん、JKさん、友子さんも!どうしてここに?」
ふらわーに入ってきたのは二年前の付き合いであり、弦太郎が助けた立花 響の親友の小日向 未来が卒業までお世話になった賢吾達が店内にいる事に驚いていた。
・
・
・
――医療施設――
「あれ?翼?」
「如月……さん?」
賢吾達が病室から出て行ってから数時間後。弦太郎は飲み物を買いに行った後、気分転換に屋上に向かうとそこでベンチに座っている翼を見かけ、少し驚きながら声をかけると呼ばれた翼も声をかけてきた人物が屋上にいることに驚いていた。
「えーと、もう歩けんだな。身体は大丈夫なのか?」
「あ、はい。ご覧の通り歩けるまでに回復しました。ご心配をかけてすみません」
「お、おう…気にすんな」
「「…………」」
その後の会話が途切れてしまい互いに何を話せばいいのか分からず暫し無言になってしまう二人。
「あの如月さん!」
「ん?」
弦太郎が何か話したらいいかと悩んでいると翼がベンチから立ち上がって声をかけた。
「あの時、絶唱を唄った私を助けてくれてありがとうございます!それにあなたと立花に対して今まで失礼な態度を取ってしまいすみませんでした!」
「あ、ああ。どうしたんだいきなり?」
弦太郎は礼を言って頭を下げた翼の様子に驚きつつも話を聞こうとベンチに座るように促してからベンチに座ると翼はその理由を話し出した。
「私は奏が死んだのは自分が弱かったからという後悔の念からその使命感を糧にこの二年間己を一振りの剣としてノイズと戦い続けました。
ですが、立花の胸に奏のガングニールが宿っている事を知り、彼女に対して複雑な思いを抱き、戦う覚悟がなかった彼女が奏のギアを受け継ぎ奏の代わりに戦うと聞いた私はそれを否定する為に彼女に刃を向け、そして彼女と私の間を取り持ってくれたあなたに対して冷たく接してました」
ベンチに座っている彼女の姿に弦太郎は黙って彼女の言葉を聞いて、翼に声をかけようと口を開こうとしたが――
「けど、あの出来事をきっかけに覚悟を決めてから努力するようになったと叔父様と小川さんから話を聞きました。そして今日、見舞いにきてくれた彼女と話をしました」
――翼が発した次の言葉を聞いてその口を閉じた。
「彼女に覚悟を問いました。その問いに彼女は護りたいものがあるからと答えました。誰かをノイズの手から最速で、最短で、真っ直ぐに一直線に駆け付けたいと彼女の胸の想いを告げられました。それを聞いて以前とは違う彼女を見て、彼女は一人の戦士として戦えると安心しました」
そう言った翼の顔は以前とは違う優しい笑みを浮かべていた。彼女の笑みを見た弦太郎も笑みを浮かべて口を開いた。
「……そうか。それを聞いて俺も安心した。響もそうだけど、お前があいつと胸を割って話してくれた事が俺も嬉しいぜ。それに――」
一度言葉を切ると顔を翼に向けてニカッと笑顔を浮かべ言葉の続きを言おうと口を開いた。
「お前、笑うとスゲーかわいいな」
「なっ!かわっ!?」
弦太郎の発言した言葉を不意打ち気味に聞いた翼は顔を真っ赤にして口をパクパクしていた。そんな彼女の反応を見た弦太郎は思わず吹き出してしまい、それを見た翼はからかわれたと気付くと顔を真っ赤にしたま弦太郎に文句を言った。
だが、そんな彼女の表情は年相応の少女のように笑っていた。
「ははっ!わりーわりー―ピピピッ―ん、賢吾?はい、こちら弦太郎」
翼と笑いあっているとNSマグフォンに賢吾から通信が入った。何かあったのかと通話ボタンを押し通信を繋げると通話口から賢吾の声が彼の耳に入る。
『弦太郎!ネフシュタンの少女が現れた!』
「あいつが!場所は!」
『場所は森林公園、今立花が彼女と交戦中だ!』
「響が……わかった!直ぐにそっちに向かう!」
『ああ。……それともう一つ伝える事がある。……小日向とユウキ達が現場に居合わせ、立花がギアを纏った姿を見られた』
「なっ!?」
賢吾が言った内容に弦太郎は驚いて声を失うが、直ぐにユウキ達が無事かどうか質問する。
「賢吾、未来とユウキは無事なのか!他のみんなは!?」
『安心しろ小日向と彼女を庇った大文字先輩がかすり傷を負ったが、他のみんなは俺を含めて怪我をしていない』
「そうか……」
その言葉を聞いた弦太郎は未来と準が怪我した事に心を痛めるが頭を振って、気持ちを切り替え直ぐに向かうと伝えるとマグフォンの通信を切るとマグフォンの会話を聞いた翼が声をかける。
「ネフシュタンの少女が現れたのですね?」
「ああ、今響があいつと戦っている。それに俺のダチがその場に居合わせちまった」
「如月さんの……!お友達は無事ですかっ?」
「大丈夫だ。かすり傷を負った以外みんな無事だ。俺は直ぐに響の下に行かねーと」
「如月さん、私も一緒に連れて行ってください」
懐からフォーゼドライバーを取り出して腰に押し当てベルトが彼の腰に巻かれると翼は彼に自分も連れて行ってくれと声をかけた。その言葉を聞いた弦太郎はそれに驚くもまだ体調が回復仕切ってない彼女の身を案じて止めようと口を開いた。
「駄目だ!お前はまだ病み上がりだろ!その状態で行ったらまた倒れるかもしれねーんだぞ!?」
「それは如月さんも同じ事でしょう!」
「うぐっ……!」
翼に痛い所を突かれてしまい口を閉じると翼はそのまま畳み掛けるように言葉を続けた。
「確かに私は一度ネフシュタンの鎧を纏った彼女を見て立花の言葉を聞かずあのような結果をしてしまいした。ですが、装者としてではなく一人の仲間として立花を助けにいきたいです!」
「翼………よし、わかった!お前がそう決めたならもう言わねー。でも、無茶はすんな?お前はもう一人じゃないからな」
そう言った弦太郎は自身の右手を彼女に差し出すとその意味に気付いた翼はフッと笑みを浮かべると礼をいいながらそれに答えた。
「はい、ありがとうございます」
握手をした後拳をぶつけ合う【友情のシルシ】をした二人は互いに笑みを浮かべた後、弦太郎はフォーゼドライバーの赤いレバー【トランスイッチ】を全て下ろし、フォーゼドライバーからカウントダウンが流れる。
―3―
―2―
―1―
「変身!」
その言葉の後にドライバーの右側にあるエンターレバーを右手で引くとフォーゼドライバーから光輪が現れ、そこから光と蒸気が弦太郎に降り注ぎ、光が治まるといつもの弦太郎の姿ではなく、宇宙と世界の平和を護る戦士、仮面ライダーフォーゼに変身した。
「宇宙ぅぅぅ……………キターーーーーーーーーーー!!」
変身したフォーゼはいつものように身体を限界まで縮め、いつもより長く溜めた後、フォーゼの叫び声が地球から太陽まで届くとフォーゼは左手で翼の腰を抱き寄せる。
「よし!それじゃいくぜ翼!」
「えっ?あの、如月さん、何をそれに行くってどうやって…………まさかっ!?」
フォーゼのいきなりの行動に翼は顔を赤くしてどうやって現場に行くのかと質問しようとしたが、フォーゼのやろうとしてる事に気付き顔を青くする。そんな翼の様子に気付かないフォーゼはフォーゼドライバーに装填してあるロケットスイッチを起動させ、右腕に
「しっかり捕まっていろよ?」
「ま、待ってください!このまま飛ぶと病衣がはだけます!せめてギアを纏ってからで―「いっくぜぇぇぇっ!」―キャァァァァァァァァァァッ!?!?」
翼の願いも虚しく、ロケットモジュールの推進力で空に飛び立つフォーゼと風圧で病衣がはだけないように力いっぱいフォーゼの身体に抱きつき、早く現場についてくれと翼の頭の中はその言葉がいっぱいになっていた。
――三人称視点、終了――
どうも皆さん、お久しぶりです。クロトダンです。
今回は仮面ライダー部のみんなと翼の胸の内を語る話でした。
そして、財団Xがフィーネに渡した機械とは……次回をお楽しみに。
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